33歳の頃に脳梗塞を発症。糖尿病が悪化し左目を失明。さらに、40歳で腎不全も発覚し、医師から余命5年を宣告された“隻眼のラッパー”ダースレイダー。46歳になり、余命5年を乗り越えた彼が今、伝えたいこととはーー。
ダースレイダーは東京大学在学中に大手レーベルと契約。その後、音楽活動に集中するため東大を中途退学し、2004年に自身のレーベルを立ち上げた。
ラッパーとしてのキャリアを着実に積んでいく中、プライベートでは、2007年に一般女性と結婚。2009年には、第1子となる長女が誕生した。公私ともに順風満帆な日々を過ごす中、突如、人生が一変した。
「青山のイベントの司会を頼まれていて出かけていって、ダースさんそろそろ出番ですって言われたタイミングで顔洗ったら行くよってトイレに入って顔を洗おうと思ったら、その瞬間にぐわんと部屋が一回転した。立っていられなくなって、本当に感覚としては世界がぐわんって一回転したんですよ。一気に気持ち悪さが込み上げてきて、ゲーゲー吐いちゃって。救急病棟に行って、倒れちゃったから、とりあえず連れてきたからなんとかしてくれって言って、CTとMRIという脳の検査をしたら、脳梗塞だということがわかったんです」
33歳という若さで「脳梗塞」を発症。さらに、検査の過程で「糖尿病」も患っていることが判明した。その悪化に伴い、左目の視神経に異常が発生し、失明。それからは眼帯をトレードマークにし、活動を再開した。
「病人は弱い、迷惑な存在、あるいは病気というのは悪いことしたからなったとか、そういうレッテルを全部剥がす。そのためにちょっとド派手な病人として、病気をレペゼンしていこうという考え方になりました」
片目というハンデの中でも前を向き続けたダースレイダー。しかし、さらなる試練が彼に降りかかる。
「どうも腎臓の数値がどんどん悪くなっていますよという話になってきて、40歳のタイミングで糖尿内科に行ったら、ちょっと今日は腎臓の先生の話を聞いてくれというふうに言われて何も手を打たなければこのまま腎臓が悪化して、5年後には亡くなっている可能性がありますよと、ボンっと突きつけられるんです」
腎臓が正しく機能しない「腎不全」が発覚し、医師から余命5年を宣告。この時、ダースレイダーには、もう1人の娘が生まれたばかりだった。
「もうその場がどこなのか一瞬分かんなくなる感じというか初めて会った医師にも言われているってのもあって、これは今現実にこんなことが起こっているのかという気持ちには一瞬なりました」
ーー家族には伝えましたか?
「もちろんもちろん。こんなことを言われちゃったという話をして。うちの場合、妻が心強いというか全く慌てない人で、何も手を打たなければということは、やれることをやってみようよという風に言ってくれたのは、すごく支えになりました」
ーー(当時8歳の)長女にも伝えましたか?
「もちろん。それは妻との雰囲気も含めて、僕がいないところでその話をしたときには、すごく悲しんでいたっていうのは聞きましたけれど、僕と一緒の時にはじゃあ頑張ろうっていう風に言ってくれました」
それからは治療のため、毎日注射を打ち、8種類の薬を服用。さらに毎月、定期検査を受けるという生活を送ることとなった。
死と隣合わせの日々を過ごすダースレイダーは家族のため、常に持ち歩いているものがあるという。
「自分と死を一緒に歩くというイメージを具体的に持つために、遺書を持って歩くことにしたんです。それをPDFにプリントアウトしてUSBに入れて、キーチェーンにこうやって一緒にぶら下げて。これは毎日持ち歩いています。まず僕は葬式をあんまりやってほしくなかったりもして。あとは僕の場合、お墓に入るっていうイメージもあんまりピンと来ていないので、遺灰は海に撒いてほしいなみたいなのがあって、散骨を希望しますって。これは実は娘には反対されていて、娘はそんなのどっかに入っておかなかったら、会いに行けないじゃんみたいなことを言うから、それはどこでも好きな場所に会いに行った時にいるという風に思えばいいよみたいな。そういった死後の会話を、これをきっかけに家族としています」
そして、46歳の誕生日を迎えた4月11日にライブを開催。集まったファンの耳に届けたのは
余命を宣告された40歳の時に作った曲「5years (満期5年)」。会場には、中学2年生になった長女の姿も見られた。余命5年を乗り越えた今、ダースレイダーが届けたい想いを語った。
「毎年誕生日にライブをするようにしていて、これを定点観測と生存確認みたいなので、その時にみんなの前に立っていてライブしている、リブしているっていうのを確認してもらう、ちゃんと生きているかというのを確認してくれる人があれだけ来て盛り上がってくれたっていうのは、すごくうれしかったし、それを更新していこうという風に考えます」
「僕が元気に派手に、あいつ死にそうだとか言っているのに、なんであんなにライブやっているんだとか、片目見えないって言っているのに、なんであんなに楽しそうなんだという風にしていくのが、ある種の使命だと考えています」
(『ABEMA NEWS』より)
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