「何度も何度も息子に言った頑張れ。今はひたすら自分に頑張れ頑張れと言い聞かせる毎日です」大分・別府ひき逃げ事件 天国の息子へLINEを送り続ける被害者の両親が明かす胸の内
【映像】被害者の母親からの手紙
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 2022年6月29日に大分県別府市で発生したひき逃げ事件。信号で止まっていたバイク2台に軽乗用車が追突し、大学生1人が死亡、1人がけがをした。警察は現場から逃走した八田與一(はった・よいち)容疑者(26)を道路交通法違反の疑いで全国に指名手配しているが、行方はわかっていない。

【映像】被害者の母親からの手紙

 『ABEMA的ニュースショー』では、元徳島県警刑事の秋山博康氏がこの事件を追跡取材。追突され亡くなった19歳の大学生Aさんの両親が、犯人逮捕に繋がるならと苦しい胸の内を明かした。

 Aさんの父親にとって、息子は希望そのもの。親元離れて過ごすAさんとは毎日のように日々起きたことをLINEで報告。実は2、3日後に帰省する予定だったという。

「1日前の本当に24時間前までLINEが来ていたので。2~3日後にまた帰るねという。
息子が車を買い直そうという話をしていて」
「息子は世界で事業をしたいという気持ちを持って大学に進学し、目標を持って勉強していました」

 Aさんの幼い頃からの夢は世界で活躍するプロサッカー選手になること。スペインにサッカー留学の経験もあった。しかし、試合中の怪我で断念。やがて、世界への目標は父親の背中を追うことに変わった。Aさんは大学進学時にこんな将来のビジョンを書いていた。

「何度も何度も息子に言った頑張れ。今はひたすら自分に頑張れ頑張れと言い聞かせる毎日です」大分・別府ひき逃げ事件 天国の息子へLINEを送り続ける被害者の両親が明かす胸の内
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「世界中に多くの仲間を作り、彼らと協力しながら、国際社会に貢献していく。そして、世界を動かすような影響力のある経営者となる。それが今の僕の新たな目標である。これまで、僕にいろんな世界を見せてくれた父の背中を追っていることもあるだろう。同じような志を持った人を増やせるような発言、発信をできる人になりたい」

 そんな息子の命を奪ったひき逃げ。当初、逃走した八田容疑者は警察がすぐに捕まえてくれると信じて疑っていなかった。しかし、逮捕されぬまま10カ月が経過した。

「こんなに長い間捕まらないとかいうことがあり得るとか思ってなかったので、このままだと道交法で時効なんて迎えることもあるのかなと」

 道路交通法違反での容疑には時効がある。そこで遺族ら有志で、情報収集を独自に開始。SNSなどを使って、懸命に情報提供を呼びかけ始めた。その後、家族自らが容疑者逮捕に繋がる有力な情報に500万円の懸賞金を出すことも決意した。

「1日も早くこういう事件があったということをみんなに知ってもらって、みんなに協力してもらって1日も早く逮捕してほしい」

 事故から2週間後。しばらく途切れていたLINEに父親がはじめてメッセージを送った。
「がんばれよ。俺ももちろんお前を一生忘れないし頑張る。また会うぞ!」

 今も父親は天国のAさんにL I N Eを送り続けている。

 Aさんの母親は息子への想いをメッセージで明かしてくれた。全文掲載する。

「頑張るやつはカッコいい!それを全うした19年だった。
頑張るやつはカッコいい!息子が大事にしてきた言葉です。小学1年生の時に最初に入ったサッカーチームの監督から教わりました。試合中の苦しい時、悔しい時、鼓舞する時、何度も何度も繰り返し言われ、息子の心に強く刻まれました。

 亡くなって2カ月ほど経った頃、卒業アルバムの作文を見返そうと息子の部屋に行きました。いろんな思い出に浸りながら部屋を整理していると、卒業証書の間から私に宛てた手紙が見つかりました。卒業式の日に渡すはずだったものと思われますが、照れ臭かったのか渡せなかったのでしょう

 いっつも文句言うのも、「勉強しろ」って言うのも、俺のためと思って言ってくれてるの分かっとる。でも、何か自分が負けてるようで言い返してしまう。ごめんね。心配してくれとるのに、勝手に自分の道に進んで行こうとしてごめんね。でも、絶対に後悔させないから。どこに行っても頑張るから、これからもよろしく。本当にいつもありがとう。

 そう書かれてました。

 高校に入ってからも私はずっと頑張れと言い続けていました。もっともっと大きくなって欲しくて、一つ目標クリアしては次の目標に向けて、休む間もなく頑張れ頑張れと言いました。

 一つずつしっかり褒めてあげればよかった。
 一つずつしっかり認めてあげればよかった。

 サッカー選手の夢を諦める時、苦しみながらも見つけた次の目標。スポーツから勉強へ方向転換した後の息子の頑張りには本当に感心させられました。仕事に就いた時、目標だった父親を超える経営者になった時、よく頑張ったと言ってあげたかった。一緒に祝杯をあげて、お酒を交わしながら、いつもの得意気な顔でする自慢話を聞きたかった。

 たくさん一緒にやりたい事があった。
 たくさん一緒に行きたい所があった。

 簡単で便利な言葉、頑張れ。何度も何度も息子に言った、頑張れ。
今はただひたすら自分に頑張れ頑張れと言い聞かせる毎日です。」

 警察は改めて情報提供を呼びかけている(別府警察署:0977-21-2131)ほか、番組でもTwitter(ABEMAニュース/@News_ABEMA)のDMでも事件や容疑者に関する情報を求めている。
(『ABEMA的ニュースショー』より)

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