2022年6月29日に大分県別府市で発生したひき逃げ事件。信号で止まっていたバイク2台に軽乗用車が追突し、大学生1人が死亡、1人がけがをした。警察は現場から逃走した八田與一(はった・よいち)容疑者(26)を道路交通法違反の疑いで全国に指名手配。逮捕につながる有力な情報提供には遺族が最高500万円の懸賞金をかけているが、10カ月経った今も行方はわかっていない。
『ABEMA的ニュースショー』が改めて現場の取材や容疑者の足跡を追う中で、亡くなったAさんの幼なじみや友人が複雑な思いを語ってくれた。
Aさんの幼い頃からの夢は世界で活躍するプロサッカー選手。世界のレベルを知りたいと、スペインにサッカー留学の経験も。しかし、試合中のケガで断念。やがて目標は父親の背中を追うことに変わった。大学へも目標を持って進学し、その向上心の塊は幼なじみたちも間近で見てきた。
「『何でもできるようになりたい』と。例えば誰かすごく大物の人に会いたいと思った時にすぐ会えるぐらい、『自分がしたいことをできるようになりたい』というのを聞いたことがある」(幼なじみ・Cさん)
「寮が同じで、同じフロアに住んでいた。男子校みたいな感じで、すごいじゃれて仲良い友達。『将来こういうことをしたいんだよね』という話をずっと聞いていて、『ボス(父親)を超える』っていうのを言っていて、一番真面目に将来について考えていた」(大学の友人・Dさん)
「『経営者になりたい』というのが2人共通の目標で。それに向かって一生懸命これから努力して、っていう時期だった」(大学の友人・Eさん)
午後7時45分頃、交差点でバイクに跨がり信号待ちをしていたAさんと友人・Bさんの後ろから、八田容疑者の車が猛スピードで追突した。Aさんは全身を強く打ち、偶然現場近くにいた医療関係者が賢明に心臓マッサージなどを行ったが、その時すでに心肺は停止。即死状態だったとみられる。
Aさん死亡の知らせに、友人たちも言葉をなくした。
「大学でフットサル大会があって、それに一緒に出ようというのを話していた。彼はいつも返信がめちゃめちゃ速いのに、2時間ぐらい経っても返信がなくて珍しいなと。そうしたら、Yahoo!ニュースの一番上に事件のことが出ていて、1人意識不明の重体というのを見て『これじゃないよね?』と思っていたら、写真のバイクが見覚えのあるものだった。大学生1人死亡というのを見て、その時は衝撃というか、『現実じゃないよね?』って思っている自分がいた」(大学の友人・Eさん)
事故に遭いバイクは激しく飛ばされたものの、体が車の上を超えるかたちで地面に叩きつけられたことで、けがで済んだBさん。彼も複雑な思いを巡らせていた。
「亡くなったって聞いたのは、事故があった次の日の朝。頭の中が真っ白だった。何で俺だけ助かったんだろうと…」(Bさん)
Aさんの通夜・葬儀にはのべ約800人が参列。19歳という若い死を悼んだ。事件は未解決のまま年を越し、生きていれば晴れの舞台・成人式の日、仲間たちはAさんの遺影を持ち一緒に式に参加した。
「中学校のメンバーってすごく仲良いので、全員で『成人式どうする?』という話はもうしていた。だから、そこにいないっていうのはすごくみんな悲しがっていた。僕たちを含めて」(幼なじみ・Cさん)
事件後、有力な情報は入ってこず、しかも別府市内では「容疑者は死んでしまったのでは?」という声もまん延。事件の風化が危惧されたが、それは道路交通法違反容疑には時効があるためだ。
そこで遺族ら有志で、情報収集を独自に開始。SNSなどを使って、懸命に情報提供を呼びかけ始めた。その後、家族自らが容疑者逮捕に繋がる有力な情報に500万円の懸賞金を出すことも決意した。
「1日も早くこういう事件があったということをみんなに知ってもらって、みんなに協力してもらって1日も早く逮捕してほしい」(Aさんの父親)
警察も改めて情報提供を呼びかけている(別府警察署:0977-21-2131)ほか、番組でもTwitter(ABEMAニュース/@News_ABEMA)のDMで事件や容疑者に関する情報を求めている。(『ABEMA的ニュースショー』より)
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