“エモい”は“ノスタルジー” 井樫彩監督・南沙良主演『恋と知った日』がZ世代に刺さる理由
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 新進気鋭の女優・南沙良の“沼”に、また一人ハマった。新たなるクリエイターの発掘&育成を目的とした短編映画制作プロジェクトMIRRORLIAR FILMSとABEMAが初タッグ。南沙良主演の短編映画『恋と知った日』がABEMAで独占配信中だ。メガフォンを取ったのは、映画『NO CALL NO LIFE』(2021年)『あの娘は知らない』(2022年)、連続テレビドラマ『隣の男はよく食べる』などで知られる女性監督・井樫彩監督。南との初の共同作業を終えた今、井樫監督は「次は長編で再会したい」と早くも創作意欲を刺激されている。

【動画】南沙良主演短編映画『恋と知った日』

“エモい”は“ノスタルジー”

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 南が演じたのは、マッチングアプリで出会いを探す大学2年生の吉乃渚。運命的に啓太郎(板垣瑞生)と巡り合うものの、悲しい現実が訪れる…。“Z世代が語りたくなるラブストーリー”をテーマに制作された。

 ノスタルジックなボーイ・ミーツ・ガールものに定評のある井樫監督とデジタルネイティブの“Z世代”。この組み合わせは異色のような気もするが、レコードやカセットテープなどアナログなアイテムに再び注目が集まる懐古主義がトレンドの昨今において、実はベストマッチなコラボレーションだったりする。

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 井樫監督は「TikTokで流れてくる今の若い子たちの動画を見ると、彼らのいう“エモい”と“ノスタルジー”には割と共通点なのかなと感じます。キスするカップルを直接写すのではなく、キスしている様子の影を映すのがエモいとかそのような反応を見ると、いわゆる壁ドンのような直接的なものが流行っていた世代とは感性が変わってきていると思う」と分析する。

 劇中には、青空を突き抜けるように滲む飛行機雲や風にはためく白いシーツ、窓ガラスに浮かび上がる手書きの思い出の絵など井樫監督ならではのノスタルジックなショットが挿入される。「見えないもの、示唆や奥ゆかしさ、分からなさがZ世代には刺さるかもしれない」と語っている。

意図をすぐにキャッチする繊細さ

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 まさにZ世代の女優・南沙良のことも前々から気になっていた。「南さんはこちらの興味を掻き立ててくるというか、どんな人なのだろうか?と深掘りして知りたくなるような魅力を持った不思議な人」とそのイメージを語りながら「いざ初めてご一緒してみると、20歳とは思えない大人な面と年相応の面の両方をバランスよく持っている方でした。芝居の技術も高いけれど、それ以上に感性が繊細。こちらの意図をすぐにキャッチしてお芝居に反映してくれる。そのレベルが抜群に高くて、すぐにメロメロになりました」と絶賛する。

 底が見えないところにも胸を撃ち抜かれた。「何があってそうなっているのか?一度ご一緒しただけではわからない。掴みどころがないというか、もはや南沙良“沼”です。次にご一緒する際は是非とも長編映画で手を組みたい。ジャンルはヒューマンドラマサスペンスなど。南さんには過去の影を背負った殺人犯というような役を演じてほしいです」と具体的な構想を挙げてラブコール。ちなみにMIRRORLIAR FILMS発起人の一人である山田孝之も南沙良“沼”にハマった一人だ。『恋と知った日』にも意外な形でカメオ出演しているので、そこにも注目してほしい。

MIRRORLIAR FILMSの魅力とは?

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 これまで短編映画制作プロジェクトMIRRORLIAR FILMS では、藤井道人、三島有紀子ら気鋭の監督のほか、水川あさみ志尊淳三吉彩花ら表現者たちも監督業に挑戦してきた。日本映画界に新しい波を起こしている同プロジェクトについて井樫監督は「様々な種類のクリエイターがオリジナル作品を作れるのが最大の魅力。フィルムからデジタルに変わったことで誰もが気軽に作品を作れる時代において、多様な人たちが撮った作品を提示できる場は今まであるようでなかった。表現者の母数が大きくなるのはいいことだなと思うので、そこから発掘される才能もある。クリエイターにとってMIRRORLIAR FILMSは面白い取り組み」と賛同する。

 MIRRORLIAR FILMSで井樫監督が手掛けたのは、『可愛かった犬、あんこ』に続いて2作品目。『恋と知った日』は「ちょっと寂しい一人の夜に電気を消して観てほしい。そして自分にとって大切な人や好きな人を想い返してもらえたら嬉しい」と願っている。

取材・文:石井隼人
写真:You Ishii

(C)2021 MIRRORLIAR FILMS PROJECT

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