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 『凶悪』(13)、『孤狼の血』シリーズ(18、21)で知られる映画監督・白石和彌が初プロデュースを手がけ、生田斗真を主演に迎えた映画『渇水』の完成披露試写会が5月11日、TOHOシネマズ六本木ヒルズにて行われ、主演の生田斗真、門脇麦、磯村勇斗、山崎七海、柚穂、尾野真千子、白石和彌プロデューサー、高橋正弥監督(※高は、はしごだか)が登壇。生田が撮影中に感じた子役・山崎、柚穂への罪悪感を明かした。

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 同作の原作は、1990年、第70回文學界新人賞受賞、第103回芥川賞候補となり注目を浴びた河林満による小説。水道料金を滞納する家庭の水を日々停めて回る業務に就く水道局員の岩切俊作(生田)は、ある日、二人きりで家に取り残された幼い姉妹との交流を通して、心の渇きにもがきながらも“生の希望”を取り戻していくという物語だ。

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 今回、高橋監督の「先々の情報をあまり伝えないで、終わりを教えないまま演じてほしい。人生というのは、一日先のことはわからないので、姉妹にはそういうことを体感して演じてもらいたい」という考えから、子役の山崎と柚穂には事前に脚本が渡されず、直前に口頭で伝えられての撮影になったという。

 生田はそんな特殊な撮影を「このお嬢さんたちは、ある日突然、(水道局職員の)僕と磯村が家にやってきて『水道停めます』と伝えられて、『え!なに!?どういうこと!?』となるという。生々しいお芝居お芝居が求められていたので、僕自身も彼女たちのシーンが浮かないように(頑張らないと)。全体的に生のお芝居が求められていたのかなと思います」と振り返った。

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 さらに、現場では子役たちと親しくなりすぎないようにとお達しもあったといい、生田は「長い撮影期間、いろんなお話をしたいですけど、監督やプロデューサーから『あの子たちとは喋っちゃダメ』って言われるんです。でも、彼女たちは何も知らないから、無邪気に『今日学校でこんなことあったよ』『宿題でこんなのしてるよ』と話しかけてくるから、『(会話を終わらす感じで)そうなんだ…』って。罪なことをしてしまった。でも、水道局員が停水執行をする痛みに似たようなものがあったのかなと思います。心苦しかったです。もっとお話したかったです」と葛藤があったことを明かした。

 これを受け、MCより当時の気持ちを聞かれた姉妹の姉・小出恵子役の山崎は「え…(苦笑)私も人知りすぎて、話せないというのが会って。どう関係を作ればいいのか。役としては、それが良かったのではないかなと思います」と、生田の気持ちに寄り添った回答。

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 門脇も「2人が姉妹のように仲良くなっていって、現場でもずっと2人でいて。私も仲良くなりすぎないように話しかけず、離れてお弁当を食べていました。心苦しかったです」と切なそうに語り、久々の2人の姿には「大きくなったね」と微笑み。妹・小出久美子役の柚穂は「はい!身長が10センチ伸びました!」と元気に答え、共演者らを驚かせていた。

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 なお高橋監督は、2人の演技を「勘がいいので、一回説明すると全部把握してくれました」と絶賛。

 さらに、「渇き」がテーマにも関わらず、雨続きだったという現場で2人からもらったという“てるてる坊主”を持参し、「台本に挟みながら、今日こそは晴れるぞと挑んでました」とお守りのように持ち歩いていたと感謝。雨男を自称する生田は、このてるてる坊主の存在を知らなかったそうで、「ごめんね。雨男モード全開になっちゃって…」と2人に謝り、柚穂は「全然平気です!」とにっこり。生田は「ありがとう。優しいね」と、気遣いに感謝していた。

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 最後に生田は、映画の見どころについて山崎と柚穂の存在をあげ、「映画はこの2人の新しい女優さんを発掘してもらう映画だと思うので、スクリーンの、フィルム映画の中で、彼女たちがいろんな感情を爆発させてる瞬間をぜひ目撃してほしいと思います」とアピールしていた。

ストーリー

 日照り続きの夏、市の水道局に勤める岩切俊作(生田斗真)は、来る日も来る日も水道料金を滞納する家庭を訪ね、水道を停めて回っていた。県内全域で給水制限が発令される中、岩切は二人きりで家に取り残された幼い姉妹と出会う。蒸発した父、帰らなくなった母親。困窮家庭にとって最後のライフラインである“水”を停めるのか否か。葛藤を抱えながらも岩切は規則に従い停水を執り行うが――。

写真:野原誠治
文:堤茜子

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