2022年3月、北海道日本ハムファイターズの本拠地(当時は、札幌ドーム)の開幕戦セレモニーで、新庄監督が“空飛ぶバイク”に乗って登場し、場内を沸かせた。
あれから1年、海外への本格的な事業展開を前に“空飛ぶバイク”「XTURISMO」(エックスツーリスモ)の搭乗イベントが開催され、テレビ朝日経済部自動車・モビリティ担当の平田淳一記者が体験。その乗り心地と空飛ぶバイクの未来を聞いた。
――空飛ぶバイクのスペックは?
“空飛ぶバイク”(ホバーバイク)は、東京のスタートアップ 「A.L.I.Technologies」が開発したもので、ガソリンと電気を使用し6つのファンで浮上する。最高時速は100キロで、地上2〜3メートルを推進し、40分間飛行可能。価格は7770万円(税込)。2022年末に国内で一般の顧客に向け初めて発売され、現在は2023年11月中東のドバイで開催される航空ショーへの出展に向けて機体を改良化させ海外事業を本格化させる方針だ。
――操縦方法は?
基本的には二輪車のバイクと同じで、推進させる時にハンドルを回してエンジンをふかす。ただ、空飛ぶバイクは上下左右に動かせるスイッチで安定性を保つ必要がある。私は初めての搭乗だったので、遠隔でラジコンを動かすようにプロのドライバーに操縦してもらった。
――難しい印象はあった?
空を飛んでバランスもとる必要があるので、練習しないとすぐにはできない。車もバイクも免許を取るために教習所で学ぶのと同じように訓練が必要だ。
――どんな用途があるのか?
“大きなドローン”として、災害時に救助等で活躍できる見込み。土砂崩れなどで隔離された村落に物資を運ぶこともできる。ちなみに、現在のモデルで最大の積載量は100キロだ。また、橋などの古くなったインフラ点検などでも活用できるだろう。さらには、エンターテインメントなどでの利用も並行してお行えるなど、様々な可能性が考えられる。「従来のモビリティでは、なかなか行けない砂漠地帯、湿地地帯への移動」という需要を満たすことができるため、ドバイの航空ショー参加でも、海外から注目があつまるだろう。
――法整備など、乗り越えるべきハードルは?
長い歴史を経て飛行機・ヘリコプターなどに関する航空法が作られたが、ホバーバイクには違う法律が適応される見通し。現在、国土交通省や専門家との協議の中で、「小型無人機等飛行禁止法」という法律に則って実装させていく方針のようだが、環境整備も含めて時間がかかりそうだ。現在、公道は走れないが私有地であれば問題ない。
――SFで描かれたような世界も夢ではない?
子供の頃に夢見た世界に確実に近づいている実感が湧いた。「こんなものが自分で生きている間にできたんだな」と。これからの未来の世界を考えるとワクワクする。