安倍元総理銃撃事件から1年、山上被告の裁判を巡って第1回公判前整理手続が間もなく開かれる見通しだ。
山上被告は旧統一教会の信者だった母親が多額の献金をしたことで、家庭が崩壊し、教会を恨むようになったとされる。安倍元総理が旧統一教会に向けてビデオメッセージを送ったことを知り、計画を実行したと見られている。
今年1月、旧統一教会を巡る被害者救済の新法が施行されたが、何か変化はあったのか。ニュース番組「ABEMA Prime」に出演した、ジャーナリスト・鈴木エイト氏は「国内でやってる感だけ出して、実際は何もやっていないのと同じだ」と述べる。
「旧統一教会は被害弁護団からの集団交渉にも応じていない。韓国からの献金要請に対しても、ちゃんと反抗していない。内部会議の資料を見ると、教団は政治家への渉外活動をやっていて、表向きの発言と実際に中でやっていることが全然違う。時間の無駄だと思う」
旧統一教会と政界の関係をずっと追ってきた鈴木氏。事件後、政治家と旧統一教会の関係がクローズアップされたが、鈴木氏はどう感じているのか。
「自民党が点検をしているが、最初から党として関係がないことを前提にしていて、点検項目が少ないと思った。非常に不十分なまま、なし崩しに救済新法ができた。政治家の思惑としては『去年のうちに全て終わらせてしまおう』と思っていただろう。当然、そうさせてはいけない。実のところ、解散命令請求も着々と進んでいる」
ネット掲示板「2ちゃんねる」創設者のひろゆき氏は「政府が宗教法人のお金の流れを管理しないと防げないのではないか」と指摘する。
「だが、それをやろうとすると、既存の宗教団体からめちゃくちゃ反発がある。何らかのメスを入れないと、おそらくこのまま逃げ切って、今まで通り何も変わらないのではないか。今、自民党の支持率が上がっている。岸田総理はウキウキだろう。旧統一教会に解散請求をしなくても、何の問題もないという構造に向かっていないか」
ひろゆき氏の疑問に、鈴木氏は「文化庁はちゃんと調べて粛々と進めている。変な政治家の横やりが入らない限り、ちゃんと進んでいくと思う。団体として信仰、信教の自由はあるので、そこまで制限するわけにはいかない。宗教法人としての優遇はなくして、宗教法人格を剥奪する。宗教法人の解散は最低限必要だ」と答える。
「霊感商法で商品を介在した金集めをやっていないにしても、それと同じだけの金額を信者が献金して送っている。実態は変わっていない。2世信者が人権侵害を受けているのであれば、そこは全員がちゃんと救われるような状況になっていくべき。完全にマインドコントロールされて、自ら進んで生活破綻するケースは今後も起こりうる。韓国の本部は『税金を払った上で献金を集めればいい』と言っているので、日本のことなんてその程度にしか思っていない」
その上で鈴木氏は、過去に起きたオウム真理教事件でも「2世たちへのケアが全くできない」と訴える。
「当時、省庁連絡会議ができて『2世問題をどうするか』『これは宗教ではなく、カルトの問題だ』とちゃんと国は認定している。そこで議論したにも関わらず、全く活かされてない。本当に救われないままずっとつらい思いをしている信者2世・元2世たちが日本の中にたくさん生まれてしまった。再発防止はちゃんと検証しないといけない。本来であれば、自民党の中から『なぜ事件に発展したのか検証すべき』という声が起こって然るべきだ。それがなく、みんな保身に走っている。もっと第三者機関や国会が動いて検証するべきだ。再発防止のために、ちゃんと社会が見届けましょうという空気を作っていかなきゃいけない」
ひろゆき氏は「オウム真理教でも2世だった子どもが、学校の入学を拒否されて、裁判になった事例がある。日本社会では、親が宗教に狂ったとしても『子どもは関係ない。学校は行かせてあげるべき』と思われなかった。臭い物に蓋をして、なかったことにした。今回、一歩踏み込めるといいと思うが、今の日本社会では難しいと思う」と述べた。
来年以降に控えている山上被告の初公判。裁判員裁判で審理される見通しで、動機の解明、刑事責任能力の有無などが争点になりそうだ。(「ABEMA Prime」より)
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