エホバの証人輸血問題 宗教2世「子どもに信仰を押し付けるのは殺人と同じだ」医師「目の前に助かる命があるんだったら裁判になってでも助ける」
【映像】現役幹部しか閲覧できない内部文書「S-55」

 いわゆる“宗教2世”の問題をめぐり、「教義による子どもへの鞭打ちや輸血拒否が児童虐待にあたる」と国から指摘を受けているエホバの証人が5月10日、「虐待は容認していない」と信者に周知した。

【映像】現役幹部しか閲覧できない内部文書「S-55」

 しかしこれを受け、5月22日、元2世信者らは「中身が不十分。これでは根本的な解決にならない」「内容を充実した上でもう一度信者に周知をするべき」と訴えた。

 エホバの証人とは、100年以上前にアメリカで設立したキリスト教系の宗教団体であり、世界中には約850万人、国内には約21万人の信者がいる。聖書に「血を食べてはならない」という教えがあることから、輸血を拒否することでも知られる。

ABEMA倍速ニュース』ではこれまでも厚生労働省によるガイドライン明示後も「子どもに輸血をしてはならない」と明示した「S-55」と呼ばれる内部文書を現役幹部の協力を得て公開するなど、エホバの証人の輸血問題を追いかけてきた。そして、6月8日の番組放送に向けて教団側と10回程度文書でやり取りを行った。以下は、エホバの証人側の回答である。

「輸血を拒否するよう誰かに強制することはありません」
「親が子どもの代わりに医療上の決定をする必要があります」
「医療上の選択を自由に行いたいと考えているならエホバの証人になることはできません。また、エホバの証人を辞めるという意思を示すことも可能です」

 ここからは「エホバの証人輸血問題」を継続して取材しているテレビ朝日社会部 厚生労働省担当の松本拓也記者に話を聞く。

――事実上強制のようにも感じるが、教義を無視して輸血したり、辞めることはできないのか?

「教団の教えに反すれば破門などの処分になるが、破門になった人とは家族であっても会話ができなくなる。実際に教団の教えに疑問を持ち脱会した人の中には、家族と絶縁状態になっている人も多い。取材に応えてくれた現役の信者や幹部たちも信者である親の老後の介護などを考えると教義を無視できず、『家族を人質にとられているようなもの』と話している」

――輸血拒否に対して、医療現場はどのように対応しているのか?

「実は、成人の信者に対して医療現場が十分な説明をせずに輸血をし、信仰の自由の観点から裁判で負けたケースがあり、足かせになっている。とはいえこれは成人のケース。2008年に『15歳未満の子どもの場合は親が輸血を拒否した場合に、親権停止などの手続きを踏めば輸血が出来る』ようになった」

――子どもについてはこれで問題解決なのか?

「全くそんなことはない。交通事故など出血多量の場合などは一刻を争うが、家庭裁判所などを通しての親権停止には時間がかかる。弁護団は『親権停止の制度は整ってきているが、3〜4時間かかる。時間が足りない』と訴えており、国会でもこの仕組みを変えることができないかと質問が飛んでいる」

――問題解決に向けて、現在どのような動きがあるのか?

「弁護団が輸血拒否の実態調査を始めていて、集まったデータを国に提出する予定で動き始めている。また国も今年度、輸血拒否を含む宗教虐待の実態把握を進めると明らかにした」

――取材を通して印象的だったことは?

「現役の信者が『親には信仰の自由があるが、それを判断ができない子どもに押し付けるのは殺人と同じだ』と話していた。また、ある医者の『目の前に助かる命があるんだったら裁判になってでも助ける。罰金なら払うよ』という言葉は忘れられません」

(『ABEMA/倍速ニュース』より)

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