安倍元総理銃撃事件から、来月で1年が経つ。山上徹也被告の初公判は来年だが、関係者の取材によると、公判前整理手続に山上被告本人が出席することがわかった。
【映像】山上被告のDMに…鈴木エイト氏が送った返答文&やりとり(画像あり)
一体、山上被告から何が語られるのか。ニュース番組「ABEMA Prime」に出演した、ジャーナリストの鈴木エイト氏はこう話す。
「弁護人に話を聞いたが『おそらく本人が出てくるだろう』と言っていた。進行協議だと法曹三者、裁判官、検察、弁護人だけの出席になるが、公判前整理手続では本人も出られる。一部のジャーナリストから『公開すべきだ』という声もあったが、非公開だ。弁護側の方針も決まっていくので、ここからが始まりだ。山上被告本人の肉声を聞けるのは、おそらく公判が始まってからだろう」
動機の解明や、量刑の判断が注目されているが、鈴木氏はどのように見ているのか。
「生育歴に関しては、間違いなく情状減刑、情状酌量の判断になると思う。一方で計画性を持って、元総理、政治家を狙ったことをどう判断するかだ。全く荒唐無稽な思い込み、勘違いで狙ったわけではなく、山上被告の中である程度、一定の蓋然性や合理性がある。どっちに振れるか分からないが、僕は見合った量刑を受けるべきだと思っている」
旧統一教会を長年にわたって取材している鈴木氏。「今年1月に初めて、山上被告の弁護人から聞かされて知ったこと」として、事件の9日前に山上被告本人とTwitterのDMでやり取りしていたことを明かす。
「彼のアカウントが凍結されてしまっていて、確認できていなかった。彼のTwitterアカウントが特定されたのは、事件翌週だった。気づけなかったのは、僕の落ち度だ。当初は僕宛にメッセージを送ったが『返事がない』と言っていたと聞いて、かなり落ち込んだ。もし、メッセージの内容が事件を示唆するような内容なら、自分は事件を止められる存在だったのではないか。ただ、実際にはやり取りをしていて、僕が書いてきた記事を全て読んでいた」
山上被告が鈴木氏に送ったDMには「コロナ禍で大規模な集会は控えてきた統一教会だが、何年振りかに活動を始めるのではないかと懸念している」とつづられていた。
「彼は安倍元総理を中心とした政治家と旧統一教会の関係性をずっと時系列で追っていた。つまり一昨年、安倍元総理がビデオメッセージを教団の関連団体に送るに至るまで、全ての道程を分かった上で、事件を起こした。彼がビデオメッセージについて知ったのは僕の記事だ。『安倍元総理を狙ったのは鈴木エイトの記事だ』となってしまう。僕の書いた記事の確度が、より問われる事態になったと思った」
山上被告は2019年10月に旧統一教会の文鮮明総裁を火炎瓶で殺害しようとしたが「近づけなかった」と供述している。DMにある「この大会について参加者等、ご存じのことはないでしょうか」という言葉は何を示しているのか。
「旧統一教会の総裁を狙ったが、できなかった。彼はその日に『ジョーカー』という映画を見て影響を受けて、Twitterのアカウントを開設した。最初のツイートには『安倍政権に何があっても自分は知ったことではない』と書いている。その時点で安倍晋三という政治家をターゲットにしていた可能性もある。彼が実際に公判で彼が何を話すか。決めつけずに、いろいろな尺度の幅を持って見ていくべきだと思う」
ネット掲示板「2ちゃんねる」創設者のひろゆき氏は「旧統一教会の幹部に対して、何らかの危害を加えようと思っていたのは事実だ。そのために手製の銃のようなものを作った」と指摘。
「山上被告は大会に旧統一教会の誰が来るかを知りたかったのだと思う。ターゲットは基本、旧統一教会の人だった。ただ、島根在住のジャーナリストに犯行をほのめかす手紙を投函してしまった。日数が限られている中で、たまたま自分の行動範囲内に安倍元総理が来た。ここで『安倍元総理でもいいや』となったのではないか。そこは『計画性がなかった』と立証可能なのではないか」
重大事件として、今後歴史の教科書などに掲載される可能性もある。ひろゆき氏は「かなり難しい気がする。『事件を解決するために、安倍元総理を暗殺した人がいた』であれば、教科書としての筋書きは説明できる。旧統一教会が日本政府に何をやっていたか。安倍元総理がなぜ死んだのか。犯人は何を狙っていたのか。その説明がないまま、日本で一番長い政権を持っていた安倍元総理が暗殺された。簡単な事実ベースで書いてしまっていいのか。教科書を書く人はかなり大変だと思う」と述べる。
鈴木氏は「少なくとも、この事件をこのままうやむやに終わらせないでほしい」と話す。
「なぜこういう政治家が狙われたのか、旧統一教会と政治家の関係はどうだったのか。ちゃんと後世に伝えられるような形で報告書を作るべきだと思っている。実際、オウム事件の後に報告書が作られたが、それが全く活かされないまま、公文書館にしまい込まれていた。カルト絡みの事件が日本で二度も起こってしまっている。これが我々に課せられた使命だと思う」
(「ABEMA Prime」より)
■Pick Up
・「ABEMA NEWSチャンネル」がアジアで評価された理由
・ネットニュース界で話題「ABEMA NEWSチャンネル」番組制作の裏側