漫画『美少女戦士セーラームーン』の最新アニメ、劇場版「美少女戦士セーラームーンCosmos」の前編が6月9日、後編が6月30日に公開される。劇場版のキーとなるキャラクターを演じるセーラー火球/火球皇女役の声優・水樹奈々と、セーラースターファイター/星野光役の声優・井上麻里奈に、インタビューを実施した。
『美少女戦士セーラームーン』は、1991年から1997年に渡り少女漫画雑誌「なかよし」(講談社)で連載された武内直子氏の作品。単行本の世界累計発行部数は4600万部(紙、電子合計)にのぼり、1992年~1997年はTVアニメシリーズを放送。さらに、2014年から原作漫画を忠実にアニメ化したリメイクシリーズがスタートし、同シリーズの最終章となる劇場版「美少女戦士セーラームーンCosmos」を2023年6月に前後編の2部作で公開する。
――劇場版「美少女戦士セーラームーンCosmos』に出演が決まった時の率直な感想をお聞かせください。
井上:星野光という大役をいただけたのは本当に光栄でしたが、実感が湧かず、役が決まったときのご連絡をいただいたときに「ありがとうございます」といいつつ、事実ではないのではないか…?という不思議な感覚でした。台本をいただいて香盤表を見て、自分の名前を見た瞬間にようやく実感が湧きました!
水樹:びっくりしましたし、私で良いのだろうか?と…。とても光栄で、震えました。ファンのみなさまの愛が強い作品なので、みなさまに納得していただけるキャラクターを作れるだろうかと、とてもプレッシャーがありました。
――声優が解禁されたときの反響を見ていかがでしたか?
水樹:みなさまからの反響は、最初怖くて見られなかったです(笑)でも、「すごく楽しみにしています!」とか「水樹さんぴったりですね」とか、「すでに脳内で再生してます!」という声をいただいて、嬉しい!!と思いました!
井上:反響見るの怖いですよね…。発表されたとき、思いのほかたくさんの反響をいただいて、みなさんの星野光に対する愛情の深さと思い入れの大きさに気後れしてしまいました…!それだけみなさんに愛されたキャラだということを目の当たりにして、よりプレッシャーを感じましたね。
ーー実際に映画をご覧になっていかがでしたか?
井上:本当に美少女戦士セーラームーンの世界に入っている!という感動と、自分のお芝居を見るのは気恥ずかしさがありつつも、一ファンとして最終章を見ることができ嬉しくもありました。うさぎちゃんに感情移入しながら見ました。
水樹;自分が声をあてているシーンはどうしても気になってしまって、ドキドキしながら見てしまうのですが(笑)、それ以外は一視聴者として作品の世界に入り込んで、うさぎちゃんに「私のパワーも届け…!」「そばにいるよ…!」という気持ちで見ていました!
――井上さんが演じる星野光は、作品で大きな人気を得ているキャラクターですが、今回演じることにあたり、どのようなことを意識しましたか?
井上:90年代アニメの星野光、原作の星野光、同じ人物でありながらも描かれているシーンが違うので、違う部分についてどうしようかなと思いました。その違いをどうやって落とし込んでいくかはとても悩みました。90年代のテレビシリーズの星野って、活発で強引で少し肉食な部分もあって。正統派が衛としたら、別のタイプのやんちゃな男の子という印象なんです。
原作では、星野は意外とクールで冷静で、ちょっと軽口も叩くけど使命に忠実に全うしていて、うさぎの悲しむ姿や戦う姿を目の当たりにして心惹かれていく紳士みたいな印象が強いです。私自身が作品の大ファンなので、ファンのみなさんの気持ちに寄り添えるようになりたいという想いもありました。みなさんが思い描く星野を作り上げたいと思い、模索しながら演じさせていただきました。
――星野光は月野うさぎに想いを寄せていますが、どのような解釈をしていますか?
井上:星野光が守るべき大切なプリンセスである火球皇女様を思い、探しながらも、月野うさぎという新たなプリンセスの存在もあって。星野はうさぎに対して特別な感情を抱いているので、作中にもあるように『銀河一身分違いな片思い』というのは星野にとって大きなキーワードだと思います。
私が三石琴乃さん(月野うさぎ/セーラームーン役)に抱いている気持ちも「銀河一身分違いな片思い」なんです(笑)私にとっては、三石さん演じるプリンセス・セレニティがプリンセスだと思って育ってきたので、三石さんを隣にして憧れや想いを抱くのは当然だなと。愛を伝えようとしたくても、愛を伝えてはいけない…私の思いなど…そんなの届くはずもないし…!(月野うさぎの恋人の)衛様がいるし…!
――(笑)
井上:この星野がうさぎに対する気持ちと、私の三石さんに対する気持ちがすごくリンクしていて、特に意識しなくても実感することができました。私も銀河一身分違いだ…!と本当に憧れのプリンセスを目の前に星野に感情移入しました。多分、星野もそうですよ!クールぶってるけどいろんな想いがあると思います。
――セーラームーンで憧れていたセーラー戦士はいますか?
水樹:私はヴィーナス(セーラーヴィーナス/愛野美奈子)が好きです!『コードネームはセーラーV』っていう…
井上:(食い気味に)わかるーーーーーー!Vちゃんからなんですよ!武内直子先生の「美少女戦士セーラームーン」シリーズを語るには!
水樹:うさぎちゃんが世界を救うために立ち上がる前から活動していたと思うと、より応援したくなるし、普段はミーハーなところがあるけれど、男前なところがあって素敵で!仲間のために命をかけて戦うという覚悟が強くて、太陽系のリーダーとして実は誰よりも肝が据わっているというところがかっこ良くて大好きです!
井上:今回はそれが出ている作品ですよね。私はバラのピアスに一目惚れして、まこちゃん(セーラージュピター/木野まこと)推しです!パワフルだけど家庭的で誰よりも乙女みたいなところがかわいくて、推しで言うとまこちゃんとほたるちゃん(土萠ほたる/セーラーサターン)なんですけど、ほたるちゃんがかわいすぎて…。ちょっと影を背負った感じが気になる!目の光の数が少ない黒い瞳に惹かれました。
――大人になって「美少女戦士セーラームーン」の作品の見方は変わりましたか?
水樹:子供の頃は深いところまで読み込めていなくて、今回改めて演じるにあたって読み返すと、こんなことが描かれていたのか…と泣けました。
井上;子供のときは、セーラー戦士たちがキャッキャと楽しんでいる日常パートが好きで、シリアスな展開は理解できていなくて。大人になってからDVD-BOXを買って見ているのですが、今見るポイントは全然違いますね。大人になってから見たからこそ泣けるんです。
――最後に、映画を見るファンのみなさんにメッセージをお願いします。
井上:劇場に足を運んでくださるみなさまはおそらく、大のセーラームーン好きだと思うので、まずは最終章を見届けていただきたいと思います。星野光はみなさまの初恋であるというお声をたくさんいただいて、自分の中では非常にプレッシャーを感じながらも、ファンの方に寄り添いたいという思いで精一杯演じさせていただきました。少しでもみなさんの好きな星野に近づけていたら嬉しいと思います。最後までうさぎちゃんの選択を見守ってください!
水樹:こんなにも長くコロナ禍で不安定な状況で、誰もが先が見えないという不安を抱えながら生活していく中、30周年の記念で制作された劇場版「美少女戦士セーラームーンCosmos」は、今だからこそ響くメッセージが込められていると思います。分断された社会で、繋がりというものがより大切だなと感じていて。うさぎちゃんは作品の中で孤独な戦いの中に身を投じるのですが、でも心で繋がっている、仲間がいるからこそ、見えない未来に向かって勇気をもって踏み出せていて…今の世界においても伝えたい事を戦士たちの戦いを通じて感じていただけたら嬉しいです。
(C)武内直子・PNP/劇場版「美少女戦士セーラームーンCosmos」製作委員会
■ヘアメイク(水樹奈々):大田葵
■スタイリスト(水樹奈々):KATAYAMA SAYURI
■ヘアメイク(井上麻里奈):MAKI(TOKYO LOGIC)
■スタイリスト(井上麻里奈):ナミキアキ