ワグネル反乱は思惑どおり? 「プリゴジンは用済み。もうどうでもいい」 舛添氏が指摘する“KGB出身”プーチン大統領の行動原理
【映像】若かりし頃のプーチン氏 原点の“KGB”とは
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 民間軍事会社「ワグネル」創設者のプリゴジン氏による進軍は、ロシアの首都モスクワまで200キロに迫ったところで、突如として収束した。わずか1日の「プリゴジン氏の乱」に対して、ロシアのプーチン大統領は「まさに裏切りだ」とコメント。しかし、日本在住ロシア人YouTuberのあしやさんは、これはスピーチライターではなく自身で書いたものだとして、自身を強く見せる必要のあるプーチン氏が「弱く見せる言葉づかい」をしていることから、「確実に弱くはなっている印象」だと分析する。

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 不可解だったのは、プーチン氏が就任以来初の反乱を受けても、プリゴジン氏や戦闘員らの罪を問わないとしたこと。ワグネル戦闘員には「ロシア軍と再契約」「除隊し家族の元に帰る」「ベラルーシに行く」の3つの選択肢を提示している。

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 国際政治学者の舛添要一氏は、3つ目は「ベラルーシに行って戦ったら許す」ことを意味し、それ以外の選択肢がないと指摘。ベラルーシの南には、ウクライナの首都キーウがあるため、そこから攻めさせる思惑があるのではと推測する。

 今回仲介役となったのは、プーチン氏と蜜月の仲であるベラルーシのルカシェンコ大統領だ。ルカシェンコ氏は、プリゴジン氏に「好きにすればいい。しかしこのまま行けば虫けらのように潰される」と伝え、これを受けて進軍を諦めたとされる。その後プリゴジン氏はベラルーシへ入国したが、一部では「ロシアに潜伏している」との情報もある。

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 そんななか、ロシア軍の前総司令官でウクライナ侵攻の副司令官であるスロビキン氏が、内乱を事前に知っていた疑いで逮捕されたとロシア紙が報じた。スロビキン氏は2022年10月に総司令官に就任したが、3カ月で解任。プリゴジンとは兼ねてより深い仲だったとされ、CNNによると、スロビキン氏はワグネルの秘密VIPメンバーだったという。

 西側メディアは「プーチン政権の弱体化」を指摘するが、舛添氏は「実はプーチン大統領の思惑通りに進んでいるのではないか」との見方を示す。目的のためには自国民すら殺せる人物だとして、「なめてはいけない」と呼びかける。その目的とは「最強のロシア、大ロシアの復権」だ。

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 世界最大の領土を有するロシアは、「侵略された歴史」を持つ。13世紀にはモンゴルが侵略し、約240年支配された。その後もナポレオンや、ナチス・ドイツの侵略を経験している。

「国境が陸続きのロシアは、国を守るため軍事力こそすべてという考え。それを邪魔する勢力は、海外であれ国内であれ、抹殺するという思想がプーチン氏には根強くある」(舛添要一氏)

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 プーチン氏の行動の原点は、ロシアの諜報機関「KGB」、つまりスパイだ。東ドイツに勤務し、ベルリンの壁崩壊を経験。加えて、舛添氏は「1000万人以上を殺害したとされる独裁者スターリンを参考にした」とみている。大統領就任の前年(1999年)に起きたチェチェン紛争では、モスクワの高層アパートが連続爆破されたが、これも一説には「プーチン氏の自作自演」との分析があった。舛添氏は「自作自演なんて朝飯前。自国の国民をそれで殺害することも大ロシアのためなら平気だ」と語る。

 プーチン氏は2000年の大統領就任直後、「オリガルヒ」と呼ばれる新興財閥の財務状況を徹底調査した。「自分の軍門に下らない者は、次々に逮捕・暗殺した」(舛添氏)。利用できる人物は利用し、不都合な人物は粛正してきたプーチン氏だが、オリガルヒであるプリゴジン氏との関係はどうなるのか——。

「プーチンはKGB出身。簡単に事故に見せかけ暗殺も指示する。核兵器も世界一保有している。プリゴジンの反乱ごときでは、大ロシアを目指すプーチンの相手にもならない」(舛添氏)

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 プーチン氏には、大統領就任から20年以上の間、さまざまな政敵排除の疑惑があった。これまで政商やジャーナリスト、野党指導者らが、謎の死に見舞われている。しかしプリゴジン氏に対しては、反乱を起こしていながら罪を問わない方針が示されている。

 そこで舛添氏は、プリゴジン氏とプーチン氏が「つるんでいる」可能性を指摘する。ベラルーシには8000人収容できる宿営地が用意されているという。「ワグネル戦闘員が5万人ぐらいいて、2万5000人ぐらいが動いているが、何人がベラルーシに行くのか。誰もわからないその数字を出すことが『インテリジェンス』だ」と舛添氏は語る。ウクライナ・ゼレンスキー大統領の立場なら援助を受けるため「大きく出したい」、しかしプーチン氏側は状況に応じて変わるため、弱体化を指摘するのは時期尚早ではとの考えを示す。

 舛添氏の見立てでは、「金の切れ目は縁の切れ目」。他の民間軍事会社も多数あるなか、すでにプリゴジン氏は「もう用済みで、どうでもいい」という。またルカシェンコ体制もロシアの支援がなくては成り立たないため、こちらも「カネ」の関係ではないかと推測する。

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 今後について舛添氏は、クリミア半島とドンバス地方の扱いが定まらない限りは、停戦できないのではとみる。ウクライナはロシアを「お手上げ」状態にしてから停戦に持ち込みたいが、核兵器を使わずにロシアが降参するか、と疑問を呈した。

「かつてスターリンは、ウクライナの農民を何百万人も殺害した。何のためかというと、農民が食べるはずだった小麦を輸出するため。それで外貨を稼ぎ、戦車や戦闘機を作ってナチスに勝った。その例をまねたいと、『スターリンのやり方が素晴らしい』と言っている男がプーチンだ」(舛添氏)

(『ABEMA的ニュースショー』より)

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