宇宙飛行士の野口聡一氏が、6月24日の『NewsBAR橋下』にゲスト出演。国際課題の解決について、“地球視点”で橋下徹氏と議論を交わした。
【映像】橋下徹×野口聡一 宇宙飛行士のウラ話…無重力生活とは?エイリアンいる?
NASAや宇宙空間で様々な先端技術、思想、文化に触れてきた野口氏にとって、日本が遅れていると思う部分が多々あるという。特にSDGsについて、宇宙飛行士として思うところがあるようだ。
「『世界が滅びるとしたら理由は何でしょう?』と聞かれたら、1年前だと日本人のほとんどはコロナと放射能をあげていたと思うが、ヨーロッパは圧倒的に温暖化。今はウクライナの問題があるが、それでもだ。日本では“外から言われるから数字を合わせる”という取り組みが多いと思われるが、欧米がそれぐらいの感覚でいろいろと決めていることを理解していないと遅れていってしまう」
一方、橋下氏は政治の判断について、野口氏に科学者としての視点から意見を求める。
「コロナを抑えるために社会経済活動を止めろ、という議論があった。政治家の視点で言えば、社会経済活動を止めるといろいろな生活が困難になってしまう。“あっちを取ればこっちが立たず”というトレードオフの関係だ。温暖化の問題も、CO2が年間310億トンくらい排出されているうち、日本は10億トン程度。全体で温度を1.5度下げるためにはインドや中国が先に行かないといけないが、それらの国が本気にならない段階で、日本が生活を犠牲にして削減していくのか、そういう国の犠牲はものすごく大きいのではないか、と思ってしまう。しかし、科学者の視点としてはきれいな地球を守らないといけない。そのあたりについてはどう思うか?」
これに野口氏は「“一緒にやる”というのが大事なところで、それぞれにできることをやる。そして、他の国々は真剣にこの問題を考えているということを理解しないといけない。環境活動家の美術品にトマトスープをかけるといった手法には賛同しないけど、それぐらいの切迫感と義務感を持って彼らは動いていることは理解しておく必要がある。金融業だけで動いてる国と、日本みたいに自動車を作っている国ではそもそも戦い方が違うということも言いたくなるが、地球規模で見た時には、全体で減らしていかないとこの星に人間がいられる場所はなくなってしまう。そういう感覚は一緒に持っていないとダメだ」と答えた。
さらに、地球を宇宙から見た視点として次のように話した。
「よく国境はないと言うが、国境はある。日本の場合は列島で、大陸とは異なる。アメリカとメキシコでは、宇宙から見ても線が引いてあるように“こっち側は光がいっぱい、こっち側は真っ暗”という場所がある。北朝鮮と韓国もそうだ。でも、“この星の人は同じ空気を吸って、同じ水を飲んでいるんだ”と。二酸化炭素が地球全体を覆って、温度が上がったことで異常気象が起きている。ある国にだけ土砂降りが起きていて、ほかはハッピーな国、とはならない。あまり責任の押し付け合いにならないように、最後は地球全体で危機意識を持ち、結果を負わないといけない。そのためにそれぞれの国でできることをやりましょう、というのが政治だ」
橋下氏は、ロシアによるウクライナ侵攻を引き合いに、「いろいろな場所で紛争があるが、戦争指導者こそ真っ先に宇宙に行くべきだ。ロシアの言い分でウクライナにミサイルを撃ち、一般市民が犠牲になっているが、1回宇宙に行けば“なんなんだこの争いは”という気持ちになるのかなと。理想だけで世界平和を語るのは難しいと思うけど、宇宙に放り込むことで、“こんなバカなことやるなよ”という説得力はあると思う」との考えを述べる。
野口氏は「それはあると思う。国レベル、部族レベルでも、外から危機が迫った時に一致団結すると思う。できれば、温暖化が地球全体をまとめる“敵”になってほしい」と訴えた。(ABEMA『NewsBAR橋下』より)