2023年7月7日(金)より人気作「彼女、お借りします(かのかり)」のTVアニメ第3期の放送が始まっている。「レンタル彼女(レンカノ)」サービスを利用して出会った水原千鶴(みずはら ちづる)が、本物の彼女であると家族や友人に嘘をつき続ける主人公の木ノ下和也(きのした かずや)。千鶴との偽りの関係を維持していく中で、しだいに彼女が本気で女優となる夢を追いかけていることを知り、背中を押していく決意を固めていく。
第2期を通じて、ラブコメ的な展開から人間ドラマとしてのリアリティある描写が増えてきたが、第3期ではクラウドファンディングを実施して千鶴主演の映画を和也がプロデューサーとして作っていくというストーリーが描かれる。和也の部屋の隣に引っ越してきたコスプレイヤーにしてクラファンの経験者でもある新キャラの八重森(やえもり)みにも加わり、和也と千鶴の関係性がどう変わっていくかに注目したい。
本記事では、千鶴役の雨宮天とみに役の芹澤優にインタビューを行い、アフレコ現場でのお互いの印象を聞いてみたところ、しだいに「かのかり」本編にも通じるそれぞれの実体験のエピソードが語られていった。
――アフレコは一緒にされていたということで、芹澤さんから見た雨宮さんの印象はいかがでしたか?
芹澤:本当に天さんは芯の強さがすごいと思いました。天さん自身の芯の強さが千鶴に乗っているような感覚もあって。何人かでご飯に行かせていただいたときも「コンプレックスを倒す!」みたいなお話をされていて……。
雨宮:恥ずかしい!(笑)
芹澤:そこでも芯の強さを感じました! 千鶴も幼い時から祖父母に育てられていて、いろいろなことがあった中でどんどん強く振る舞うしかない中で、弱い部分を隠して生きていることによる意志の揺らぎのようなものが、声の揺らぎで表現されていて「すごいなぁ、素敵だなぁ」って思いました。
――逆に雨宮さんから見た、みにを演じる芹澤さんの印象はいかがでしょうか?
雨宮:第3期から初登場するのってめちゃくちゃプレッシャーがかかると思いますし、みには最初からたくさんセリフがあったり、和也とガンガン掛け合うシーンもあったりで大変だったに違いないのですが、まったくそれを感じさせないと言いますか。良い意味で遠慮なくガンガン和也に対して言っていくことで、ちゃんと存在感を示している。それがすごくカッコよくて、堂々たるみにちゃんっぷりが素敵だなと思いました。
――やはり第3期から加わることのプレッシャーはありましたか?
芹澤:ありましたけれど、それを感じていたら乗り遅れてしまうというか。ご一緒するキャストの皆さんは、いろいろな作品で活躍されて忙しい中でもきっちりと役にハマっている方ばかりなので、置いていかれないように食らいつかなきゃと最初から思っていました。
――みには和也にクラファンなどでの協力をすることで、一気に登場人物達の輪に加わってきますよね。芹澤さんご自身は誰かと協力していくということに共感する部分はありますか?
芹澤:私は「i☆Ris(アイリス)」というユニットで活動していますが、実はそれまでは共同作業とかができないタイプの人間で……。
雨宮:そうだったんだ。
芹澤:本当に初期は棘しかないような性格で嫌なことばっかり言っていたんですけど、声優としてのデビューよりもユニットとしてのデビューが先になったこともあり、声優をやるためにもユニットでの活動を頑張らないといけないという状況の中で、苦手と言っている場合じゃなくなって。
10年間続いている活動の賜物で、いろいろな人から丸くなったねと言ってもらえるようになってから、声優としてアフレコ現場に行くようになって、天さんに出会えて本当に良かったと思います。人との関わり方がちゃんとできるようになったので、もし初期の尖っているときに出会っていたら本当にご迷惑をかけていたような気が(笑)。
雨宮:そうなんだ! でも、私もすごく尖っていたので(笑)。
――雨宮さんも10代のころから声優としてご活躍されていますよね。
雨宮:声優を始めたころは「舐められたくない!」という気持ちが強くて、自分は声優になりたくてここにいるという気持ちもあって必要以上にツンツンとしていたのですが、それは声優としての自信がないことの裏返しでもあったなと思ったんです。自分の中に確固たる自信がないからこそ、態度に出てしまうと言いますか……。
でもいろいろな現場を経験させていただいて、ほかの役者さんやスタッフさんたちと飲み会などで話すにつけて、自分が思っていたよりも見てくれている人や認めてくれる人がいることがわかって。ちゃんと同業の人から見ても強みや魅力的に思えるものを持てていると感じられてから、徐々に楽になっていきました(笑)。
――ある意味、千鶴にも通じるところがありますね。自己評価での悩みはどうしても出てきてしまうと言いますか。
雨宮:尊敬している同年代くらいの役者の方から、嫌な感じじゃなく真っ直ぐに、(私が)もともと持っている声質について「嫉妬している!」と伝えてもらえる機会もあって。なんてありがたいことなのだろうと思ったことで、自分の自己評価を書き換えられた経験があります。そこで自分が「私なんて……」と思っていたら、その人たちの見る目を否定することにもなってしまうので。私は役者として強みがあるし良いところがあるのだと書き換えられたことは、大きな経験になりましたね。
――芹澤さんは、同年代の役者さんに言われて印象的だったことはありますか?
芹澤:桜沢墨(さくらさわ すみ)ちゃん役の高橋李依は同じ事務所のほぼ同期なのですが、私がみにちゃん役に受かったときに連絡をくれて「自分で役を勝ち取ってくれたことも嬉しいし、同期で活躍できてうれしい」と言ってくれたんです。その前後で「i☆Ris」の10周年ライブにも駆けつけてくれて「10年もユニット活動ができることは本当にすごいことだよ!」と言ってくれて。
私の中では高橋は同期なのですが、私がアイドル活動をしている間も彼女はずっと台本に向き合ってきていて、同じ声優という目でみたら羨ましいなと思う部分も尊敬できる部分もたくさんあるんです。やっぱり同期っていつも同じ作品に出られるわけではないですし、一緒にならないときは何年も会わないものなのですが、こうやって久々に一緒になれたときはもちろん、一緒じゃない時期もお互いに意識し合える関係でいられてすごく嬉しいです。
お互いの活動の経験が、千鶴とみにという役に重なる部分があると感じられるインタビューとなった。そんなリアリティある描写にも注目したいTVアニメ「かのかり」第3期は、7月7日(金)より放送中だ。
「彼女、お借りします」第3期
7月7日(金)25時23分より、MBS・TBS系全国28局ネット“スーパーアニメイズム”枠ほかにて放送中
【公式HP】https://kanokari-official.com/
【Twitter】https://twitter.com/kanokari_anime
(C)宮島礼吏・講談社/「彼女、お借りします」製作委員会2023
取材・テキスト・写真/kato




