「まず何よりも、立憲民主党をつぶさなアカン。日本には必要ない政党だ。野党第一党になって、立憲を消滅させるんや」こう鼻息を荒くするのは日本維新の会・馬場伸幸代表だ。
馬場代表は立憲に対して「ぬるま湯につかって、気持ちがいいと思っている野党第一党がいることが日本の政治をだめにしている」と指摘する。わずか半年前まで友好関係にあった両党が、なぜこんなことになったのか。
憲法審査会をめぐり、憲法改正に慎重な立憲の小西洋之議員が、議論を進めたい維新に対して、「毎週開催するのはサルがやることだ。蛮族の行為で野蛮だ」と批判した。発言の炎上により、小西氏は党の参議院政策審議会長を辞任したものの、馬場代表は「謝罪の意があるのかないのかよくわからない。党内で処分をしたようだが、単なるパフォーマンスかと疑ってしまう」と、立憲との決別を明言した。
また、出入国管理法の改正案では、廃案を進めたい立憲に対して、維新は独自の修正案で自民・公明・国民民主と合意し、賛成に回った。立憲などの反対派は、参院法務委員会で、採決阻止に向けて「肉弾戦」を行ったが、これにも維新は批判的だ。
「暴行となると民主主義の否定。いつも、そういうこと(民主主義)を強調している方に限って、暴力的な行為に出るのはなぜなんだろう。国民からバカにされないような国会を目指して、やっていただきたい」(馬場代表)
両党を完全に決別させたのは、国会終盤に野党が「お約束」のように提出する、内閣不信任案だ。馬場代表が「夏になれば盆踊り。正月前になれば餅つき。そういった前例・慣例で内閣不信任案を出すということは、逆に国会から緊張感を奪う」と批判すると、立憲の泉健太代表は「闘うことを忘れた野党。『御用野党』の本領が、まだ発揮されている」と返した。
国会対策委員会でも対立する。維新・遠藤敬国対委員長が「(立憲は)昭和の国対をやり続けるそうです。我々は令和の国会戦略をやり続ける。共闘ご破算だと言われたら、ああ、そうですかと。それ以上は大人の対応で、お好きにどうぞ」と突き放せば、立憲・安住淳国対委員長は「昭和も令和も関係ない。ダメなものはダメ。都合よく自民党の後ろについて行って、金魚のフンになったら終わり」とやり返す。
また、福島第一原発の処理水海洋放出に反対して、立憲議員5人が韓国の野党議員と共同声明を出したことにも、馬場代表は「安直に他国の議員と反対のアクションを起こすことは、常識のある議員であればできない」とバッサリ斬った。
馬場代表を長年取材している、朝日新聞の今野忍記者が「立憲とのつぶし合いは、結局は自民が漁夫の利を得るだけ」と指摘すると、馬場代表は「いや、とにかくあいつらだけは、つぶさなアカン」と強気だ。では、当の立憲議員は、どう受け止めているのか。
「もうめちゃくちゃ。何でも派手な花火を上げるだけ。それでも批判されないのは、府議会も市議会も自分たちではなく、維新の力で通してもらった議員ばっかりだから、議会のチェック機能も働いていない」(立憲・参議院議員A)
万博やIR、コロナ禍の医療政策などを念頭に、議会のチェック機能が働かないと、もし権力が誤った判断をした時に危険なのではないかという指摘だが、馬場代表は「大阪では実績がある。どっちが信用できるか」と話す。一方で、「あまりにも数が増えてくると、民主主義が機能しないという状況も考えられ、どんどん政策を出して、確実に実行していく。ずっと追われている状況。しんどい中で、やっていかないといけない」と語る。
「報道では維新が勝った、立憲が負けたって報道ばかりだけど、私たちはそんなに負けていない。自民党批判の受け皿は維新ではなくうちだと思っているよ。政策面の完成度もベーシックインカム100兆円とかカジノとか万博とか旧態依然とした経済成長モデル、イメージ先行だよね。国民が冷静に真剣に維新をみたら皆さん『あれ?』ってなるんじゃない」(立憲・党幹部)
今野記者の解説によると、統一地方選で維新は躍進したが、まだ立憲議員の方が多く、衆院補選でも「立憲は負けたけれど、そこそこ良い勝負を5選挙区のうち3選挙区ではした」として、必要以上に低評価されている印象を、立憲側は感じているという。しかし馬場代表は「負け犬の遠吠え」と一蹴する。
「野党として自民党と対峙する政党ではないってことでしょ?あくまで第二自民党、自民党の補完勢力でしかない、ってことがわかる。安住さんが『金魚のフン』って言っていたけど、まさにね。立憲つぶすって言っているのは結局自民党を利するだけ。本当に自民党と対峙するっていうなら、そんな言葉は出ないよ。あくまで自民党と組みたい、って本音が出てるんじゃない。もともと自民党の地方議員が多いでしょ。だからそれをいうとムキになって反論してくる」(立憲・党幹部)
1人しか当選しない小選挙区制度では、野党が割れれば、自公候補が優位になるという指摘だ。これに対して、馬場代表は「維新が目指しているのは、アメリカのような二大政党制。ときどき政権が変わると、非常に緊張感がある政治になる」と語る。そのためには、野党がひとつにまとまる必要があるが、その手法に違いがあるという。
「立憲は『カラスを白と言う人と、黒と言う人が一緒になって、ひとかたまりになりましょう』という主張。我々は『カラスは黒いから、「黒」と言う人だけ集まりましょう』、そして自民党と対峙する。対決していくためのプロセスの途中なので、カラスを白と思っている皆さん方は退場願いますという状況」(馬場代表)
そのために、まずは立憲を消滅させるべきだ、というのが馬場代表の持論だ。
「第一自民党、第二自民党でいい。それが改革合戦をやる。どんどん改革をやって国家国民のためになることを競い合う。それが政治を良くしていくことにつながる。立憲民主党さんがいらっしゃっても、日本は何も良くならない」(馬場代表)
(『ABEMA的ニュースショー』より)
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