8月4日から公開の映画『炎上する君』。その主演を務めるうらじぬの(34)とファーストサマーウイカ(33)を取材し、撮影秘話を聞いた。
今作は、直木賞作家・西加奈子さん原作を映画化したもので、女性を取り巻く現実やルッキズム、無自覚な差別・偏見に日々傷つき憤る主人公の梨田と浜中を描いている。
2人は世にも奇妙な「炎上する男」の噂を聞き、好奇心からその男を探し始める。“サブカルの街”東京・高円寺で、時にはわき毛を見せながら踊りだすなど、とにかくキャラの濃さが際立っている。
演じたのは個性派俳優のうらじぬのとバラエティ番組などでも活躍するファーストサマーウイカの2人。なんと撮影期間はたったの3日間だったという。
うらじ:「なるべく短期間では撮りたい」というお話だったが、まさか3日間で撮るとは思わなくってびっくりした。
ウイカ:ある種、劇団がよくやるような舞台を一緒に作っていくような感じで、みんなで話し合いながら映画『炎上する君』が構築された。あの瞬間に生まれたことがすべて正解だったし、それを監督が絶対的な信頼を私たちに委ねてくれたし、私たちも絶対的な信頼の中でやった。3人の関係値みたいなものが十分出来上がった状態で入れたから、3日で全然事足りた感じがあった。
瞬間、瞬間に生まれることが積み重なってできた今作。わき毛を見せながら踊るシーンも実は、即興で行った部分もあったという。
ウイカ:街中突然踊るのとショーのように音楽をかけて踊るシーンがあって、どちらも完全にアドリブだった。普通は監督にすり合わせがあるはずだけど、(今回)はなかった。勝手にやって「すごいいい!」って言われてすぐ終わった。
容姿を揶揄される芸人や脱毛の広告をみて「なぜ見た目を変えなければいけないのか」と疑問を呈す梨田の前で、おもむろに浜中が踊り出して生まれたのが”わき毛ダンス”。2人の関係はまさに「唯一無二の親友」と思いきや、意外にも演じた2人の中では少し違うそう。
ウイカ:これを見て親友だと思う人は多分価値観がそこにあって、劇中で友達かどうかもわからない。そこも含めて自分にはそういう人はいないけど、“ただ味方だよって伝えたい人”は存在すると思う。その存在であることは間違いなくて、もろいようで、でも深い所でつながっているのを“親友”という言葉でくくりたくない、ひねくれた自分がいるかもしれない。「親友だよね。ニコイチだよね」ってそんな簡単なことじゃないって私は思う。
親友のあり方や解釈もひとそれぞれ。「ありのままの自分」を後押してくれるかのような今作は、キャッチコピーも「無様でも、もがいても、君はかっこいい」。メッセージ性あふれる今作の魅力を最後に聞いた。
うらじ:この作品は、自分にかけてる呪いとかを「許してっていいんだよ、解き放って言っていいんだよ」って後押しをしてくれるようなものになってるような気がする。作品の中で梨田が「君は悪くない」って言うんだけど、それが思ってる心にちょっと届いたりとかして、「明日もまあ、ちょっと元気に生きていこうかな」って思ってもらえる作品になれたらいいなと。
(『ABEMA Morning』より)