てんかん患者と専門医に聞く「救急車は呼ぶべき?」「激しい発作は少数派?」周囲にできることを考える
【映像】救急車は呼ばなくていい?
この記事の写真をみる(2枚)

 駅で倒れ、全身けいれんを起こしている人を見たら、どう対応するのが正しいのか?

【映像】救急車は呼ばなくていい?

 島野乃維さん(23)は「駅で30分くらい倒れ込んでしまったが、みんなが素通り。早く助けてほしい気持ちがずっとあった」と振り返る。島野さんは約100人に1人が発症すると言われる脳の病気「てんかん」を患っている。

 島野さんに声をかけなかった人たちは「ただ寝ているだけ」あるいは「酔っているのかもしれない」と判断した可能性もある。だが問題は「この病について知らないこと」だ。

ABEMA Prime』では、てんかんの原因、症状、けいれんなどの発作時の対処などについて、島野さんと専門医に学んだ。

てんかん患者と専門医に聞く「救急車は呼ぶべき?」「激しい発作は少数派?」周囲にできることを考える
拡大する

■てんかんの原因・症状・患者の悩みとは?

 てんかんは3歳以下の発病が最も多く、出生時のトラブルや脳出血など脳に損傷を受けた場合に起こるてんかんと、検査をしても異常が見つからない原因不明のてんかんの2つに分けられるという。

 症状や頻度は人それぞれ。島野さんの場合、高校1年で発病してからは毎週のように意識を失い、時にけいれんすることもあったが、2年以上大きな発作が起きない時もあった。

 発作は2つに分けられる。はじめから意識がなくなる「全般発作」と動作が停止したり手足がピクンと動く「焦点発作」だ。これらは意志と関係なく起こるためコントロール不能で、いつ起こるかも分からない。

 島野さんは数秒〜数分間、意識がはっきりしないことがあるという。意識を失ったことを自覚していないこともあるそうで、何をしていたのか分からないという怖さも感じている。てんかんといえば突然倒れ、けいれんを起こす発作をイメージしがちだが、フラフラと歩き回ったり、口をモグモグしたりといった動作を繰り返す症状も実は多いのだ。

 何が発作のきっかけとなるのか。島野さんは「ストレスから解放された時が一番発症しやすい」と述べたが、きっかけは人それぞれで「体温の上昇」「睡眠不足」「月経」「ストレス」「気圧などの気象条件」「光の点滅」などがある。

 治療の基本は薬物治療で、70%の患者が1年以上発作をおさえられるという。日本てんかん学会専門医の菅野秀宣氏は「抗てんかん薬で止めるだけではなく、発作を起こしている焦点を見つけて外科的に摘出する方法もある」と解説した。

 島野さんに今抱えている悩みを尋ねると「普段は健常者と変わらないため、発作に備えてヘルプマークを持つべきかを悩む」と答えた。

 これに菅野氏は「『抑制できているか』がポイントになる。治療にアクセスできている方は通常通りに暮らせるため、必ずしもヘルプカードは必要ないかもしれない。一方、なかなかコントロールできていない方は、通勤などさまざまなストレスで発作が誘発されるため、カードを持つ選択もあると思う」と説明した。

 発作は倒れるだけではなく、無意識に動き回ったりすることで駅のホームに落下するなどのケースも想定される。そんな時、ヘルプカードがあれば周囲が対応できる可能性も上がるだろう。

■救急車は呼ばなくていい?

 患者の発作に立ち会った場合、周囲はどう対応したらいいのだろうか。菅野氏は「1~2分くらいで治まることが多い。その間は、外傷を負わないように危険物を遠ざけるなどサポートしてほしい」と答えた。

 救急車は呼ばなくていいのだろうか。菅野氏は「この点は難しい。倒れた場に家族など症状を理解している方がいて、外傷がなければ、呼ばなくてもいい。ただ、理解者がいない際には救急車を呼ぶシチュエーションもあるだろう」と答えた。

 対策として、島野さんはApple Watchを着用している。もし転倒して、1分間動作が認められなければ、自動的に緊急通報サービスへ電話、さらには位置情報が通知される機能があるからだ。

 WEBクリエイターのシモダテツヤ氏は「発作に立ち会ったらApple Watchの表示を確認する、あるいはヘルプガードを探すなどといった認識が広がれば救助もしやすくなるはずだ」と述べた。
(『ABEMA Prime』より)

この記事の画像一覧
“トー横“少女が売春して貢ぐメンズコンカフェの闇
“トー横“少女が売春して貢ぐメンズコンカフェの闇
1日20時間の過眠も...クライネ・レビン症候群とは?当事者と夫が明かす日常とは
1日20時間の過眠も...クライネ・レビン症候群とは?当事者と夫が明かす日常とは
SNS夏の風物詩?浴衣・着物警察の正体は?「指摘よりも褒める文化を広げよう」
SNS夏の風物詩?浴衣・着物警察の正体は?「指摘よりも褒める文化を広げよう」
この記事の写真をみる(2枚)