今、独特の視点から描いた、あるミステリー作品が話題となっている。
「これはある家の間取り図です。あなたにはこの異常さがわかりますか?」
謎の覆面作家として注目される雨穴さんの作品「変な家」。動画と小説などを組み合わせた展開で、間取り図に着目した独自の世界観が話題となり、小説版は60万部を超える大ヒットを記録している。今年コミック版が発売され、来年には映画化も予定されている。
他にも変な間取りの物件を紹介するYouTubeチャンネル「あなたの理想不動産」が登録者20万人を突破するなど、“間取りコンテンツ”がジワジワ増加している。
実際に、家を建てる際、間取りはどのように決められているのだろうか。ニュース番組「ABEMA Prime」では、日本間取り学協会代表の上田康允氏と考えた。
上田氏は「建築士・建築業者は構造や法律、施工法に関しては非常に長けているが、間取りに関しては経験だけで作っている。『プロだからちゃんとした間取りで作ってくれるだろう』と思っている人もいるが、それは勘違いだ。流れ作業で間取りを作ってしまう業者もいる。どれだけ親身になって考えてくれるかが大切だ」と指摘する。
日本間取り学協会代表の調査では、95%が間取りを「やり直したい」と回答しているという。一体どのような間取りが正解なのか。上田氏によると「なるべく、動線は曲がる回数を少なくすることが大事だ」という。
「左の間取りは3回曲がってトイレに入って、帰ってくるときと合計6回曲がる。右の間取りは1回曲がって、往復で2回曲がるだけ。左は4回多い。1日トイレに何回行くか分からないが、10回だったら4回×10で40回も無駄な動作をしないといけない。歳をとってだんだんと足腰が弱くなったり、若くても骨折して松葉杖や車椅子になった途端に苦になる。倒れたり、ぶつけるリスクもある」
騒音対策にもポイントがあるという。上田氏は「車やバイクの音が入ってくるような、交通量が多い道路と仮定する。左側の間取りには、道路側に和室がある。その右に玄関やリビングがある。くつろぐべきところに、たくさんの騒音が入ってきてしまう。右側の間取りは、道路側に玄関、水回り、キッチン。奥に和室やリビングがあって、道路から離れている。騒音がだいぶ減ると思う」と説明する。
DNKS(動線・日照・風通し・騒音)4点の優先順位について、上田氏は「基本的にはその4点を高いレベルで合致させるのがいい。全部の平均が80〜90点の家を作ると、ものすごく住みやすい」と話す。
作家・ジャーナリストの佐々木俊尚氏は「3拠点生活をしていて、賃貸にしか住んでいない。家を建てたことはないが、見聞きしていると結局『人の紹介が一番いい』となる。信頼できる不動産屋さんが紹介してくれる大工さんやリノベーション業者だ。田舎に行くと、網の目のように人間関係がつながっている。その網の目にちゃんとはまっている人じゃないと、信用できない。いきなりネットで検索して、適当な業者にお願いすることはやらない」と話す。
中には、子どもが巣立った後、子ども部屋を全く使わなくなって物置部屋になっているケースもある。
上田氏によると「近年はリノベーションで間取りを変えて、住み替えることが多くなっている」という。
「思い出という意味ではいいが、非常に無駄遣いだ。例えば、2階建ての家が2000万円だったとする。1階が1000万円、2階が2000万円。子ども部屋はだいたい2階の半分ぐらいを占めるので、1000万円の半分と考えると500万円かかっている。住み続けたり、帰ってきたりすることもあるが、だいたい子どもは10年ぐらいしか住まずに、実家を出て行ってしまう。親はだいたい40年住むが、子ども部屋だけは10年で500万円。ものすごい無駄な投資だ。何とかお金にできる間取りにならないかと常日頃思っている」
コロナ禍をきっかけにテレワークを推進する企業も増えた。上田氏は「家で仕事をする人に合わせた間取りも増えている」とした上で「今後、例えば自分が会社員をやめて自営業になった時にどうするか、リストラになって無収入になった時にどうするか、未来像を考えて設計することをおすすめしている」と述べた。(「ABEMA Prime」より)
■Pick Up
・「ABEMA NEWSチャンネル」がアジアで評価された理由
・ネットニュース界で話題「ABEMA NEWSチャンネル」番組制作の裏側