「解ける氷河」北極グリーンランドで何が? 10年で7倍“黒ズミ”の正体 調査に密着
【映像】北極氷河の末端に行ってみた
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 かつてないほどの暑さが世界中で観測されている。気温上昇のスピードが最も早いとされる北極で今、何が起きているのか。

【映像】「本当に危ない」勢いよく流れる北極の川(現地の様子)

 取材班が目の当たりにした、氷河から湧き出る大量の水。限りなく透明に近いブルーの川だ。

 日本から約8000キロ離れた北極圏にあるグリーンランド・カナック氷河では、毎秒1万トンの氷が解けているといわれている。

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「今、まさに水が氷を削り取ってますね」

 地球の平均気温は過去100年でおよそ0.7℃上昇。しかし、ここグリーンランドはその7倍である5℃上昇しているという。衛星画像を見ると、10年で氷河は減少し、黒い部分が浮かび上がっている。

 北海道大学・杉山教授の研究チームは、2010年から毎年ここで調査を行っている。

「ここは寒いので、氷がものすごく冷たい。溶水が氷の中を抜けられないんです。みんな氷河の上をこうやって川として流れて、だんだん放流して巨大な川になっていく」(杉山慎教授)

 取材を続けていると、わずか数10センチの雪の下に激しい水の流れが。杉山教授も「これは本当に危ない。冬の間に雪が積もっているので、この雪だけ絶対踏まないようにしてください」と注意を促す。

 雪の下には、想像もつかない深さの川が。落ちてしまったらどこに流されるかわからない。

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 杉山教授によると、氷河から流れる水量を測定することで、毎年氷河がどれくらい減っているか、推測できるという。

 杉山教授は「氷は減っています」とした上で、毎年グリーンランドまで足を運ぶ理由について「解けている氷の量が増えてるかどうか、降る雪の量が減ってるかどうか。そういうところまで測定できる」と明かす。

 研究チームの調査に密着したテレビ朝日・松本拓也記者はこう話す。

「気温が高くなったことによって、グリーンランドの氷が薄くなっています。氷河の一部が解けてへこんで、薄くなった氷の下を川が流れています。川の深さは約5メートルといわれていて、その下にまだ50メートル以上の氷が凍っています。私が今立っている場所は、カナック氷河の末端ですが、この下にも50メートル以上の氷があるそうです」

 気温は約4℃。松本記者は「氷の上に立っているので、体感温度はもっと低い」と話す。

「新しい氷河は奥の上流で作られます。雪が降って、この末端部分に流れてきます。岩や石に覆われて茶色になっている部分は、表面の氷が解けた場所です。氷河の末端は、氷が解ける速度が最も速く、年にだいたい1〜2メートルぐらい解けて薄くなっています。横に岩の壁が見えると思いますが、150年前ぐらいまではあの1番上の部分まで氷河があったそうです。この場所も何十年か経つと、氷がなくなっているかもしれません」

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▲松本拓也記者。横には茶色い“岩の壁”が。

 よく見ると、氷の上には“黒ズミ”になっているような場所が至るところにある。

「“黒ズミ”はクリオコナイトと呼ばれる粘性のある微生物と鉱物の塊です。岩肌などから飛んできた鉱物と共に、微生物が雪の上に作っています。ある程度の数が集まると、黒い部分が太陽の光をより吸収して、そこだけ解けていく。氷河の表面に“黒ズミ”の穴がどんどんできていくんです。グリーンランドでいうと、この“黒ズミ”は10年で7倍になったことがわかっています」

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 一方で、クリオコナイトが増えた理由は、まだ研究途中でわかっていないという。

「微生物が生きていくためには、水が絶対条件で必要です。温暖化によって気温がどんどん上がって、氷河の表面が解けると、水っぽくなる期間が長くなります。その影響で、微生物の活動時間が長くなって、増えているのではないかといわれています。クリオコナイトが具体的にどのような影響を及ぼすのか、まだまだ研究途中です。増え続けると、より顕著に氷が解けるなどの影響が考えられますが、相関みたいなものはわかっていません。微生物自体、人体に有害ではありません」

 氷が解けることで、閉じ込められていた微生物が表層に出てきて、コロナウイルスのように人体に影響を及ぼす可能性はあるのか。

「クリオコナイトに関しては、外からやってきたものです。下から湧き上がってきた微生物ではないため、そういった心配はしなくて大丈夫でしょう

ABEMA倍速ニュース
 

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