「ファンの方々に近づいた時、数人が突然私の胸を触ってくるというセクハラを受けた。あまりにも大きな衝撃を受けて、未だに怖くて手が震えている…」
SNSを通じ、その時の恐怖を改めて語った韓国の人気アーティストDJ SODA。13日に大阪で行われた音楽フェスで、客席に近づいた際に胸を触られるなどの性被害を受けたと訴えており、主催者側も法的措置を取ると発表した。
【映像】「この女も私の胸を掴みました」 DJ SODAが投稿した写真
「犯罪行為だ」「許せない」などの声があがる一方で、多くの人が密集し盛り上がる中でのセクハラ行為、痴漢行為はどこまで立証できるのか。さらに、今回DJ SODAは女性からの被害も訴えており、同性同士でも性犯罪を問えるのか。17日の『ABEMA Prime』で専門家に聞いた。
渋谷リヒト法律事務所の狩野優理子弁護士は、主催者側が出頭を呼びかけていることから、「おそらくまだ人物の特定ができておらず、罪には問えない段階だと思う」とした上で、性犯罪立証のポイントを次のように述べる。
「性被害事案は多くの場合、被害者対加害者の1対1で証拠が少ないところが難しい点だが、今回は動画があり、強い証拠にはなると思う。ただ、“わざとではない”“ちょっと手を伸ばしたら勢い余ってぶつかってしまった”“彼女が動いてきたからぶつかってしまった”など、法的にいう“故意”の部分が争われる可能性がある」。
映像では男性が腕を掴みにいっているようにも見えるが、これは性的な行為に当たるのか。「“わいせつ”には性的な意味合いのある行為の立証が必要になる。乳房や陰部を触っている場合は判断しやすいが、鎖骨に近いところや脇、胸の付け根といった部位だと、それが本当に性的な意味合いを持つ行為なのかについて争われやすくなる。また、手の甲や手のひらなど、加害者が身体のどの部分で触ったのかなどについては具体的な状況を判断して争っていくので、ケースバイケースだ」とした。
「そもそも刑法は他人の身体に勝手に触るというところから暴行罪で処罰をしようとしていて、犯罪自体は成立する。ただ、違法性を判断する上で、ちょっと肩に触れるぐらいなら刑罰まではいかないが、他人の身体に触るということでは暴行罪、さらに衣服の上から性的な目的で触った時には各都道府県の“迷惑防止条例違反”、さらに進んで直接的に性的な部分を触ったら“不同意わいせつ罪”で重く処罰しようということだ」
また、今回DJ SODAが女性から胸を掴まれたと主張している点について「性的な部位を触っていれば男女の区別なくわいせつ罪にあたり得るというのが刑法的な判断だ。男性が男性の胸を触る、女性が男性の胸を触る、いずれの場合も罪が成立する可能性がある」と指摘した。
一方で、性被害を受けた側は声をあげづらいのが現状だ。狩野氏は「性被害に遭うのは交通事故みたいだという話はまさにそのとおりで、気をつけるしかないと思うが、そうしなければならない義務は被害者側にはない。とにかく大前提として、“許可なく他人の身体を触ること自体が暴行罪になり得る”という認識を持つ教育をしていくことがもっと必要だと思う」との考えを述べた。
また、身近な人に相談しづらい面もあることについては、「弁護士への相談であれば、東京なら犯罪被害者のサポートセンターによる電話相談があったり、各都道府県にも電話で受け付けてくれるところがある。“性被害 東京都”とか“性被害 ◯◯県”と調べると出てくるはずだ。いきなり警察に行くのは怖いと思うので、そういったところを利用してもらえたら」と推奨した。(『ABEMA Prime』より)
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