サッカーブラジル代表のネイマール選手が15日、中東・サウジアラビアリーグに移籍することがわかった。2年で約580億円ともいわれる超大型契約だという。
【映像】すごすぎる…！ 一直線のサウジ巨大都市「NEOM」CG動画
実はサウジアラビアにはサッカーだけではない、ビッグプロジェクトがもう一つある。それが、政府主導の都市計画「NEOM（ネオム）」だ。
中には“直線で街を結ぶ”プロジェクトもあり、その幅は200m、高さは海抜500m、そして長さは約170kmに及ぶ。再生可能エネルギーで稼働する高速鉄道を通し、自動車ゼロ、車道ゼロ、二酸化炭素排出ゼロ、100万人が居住する壮大なビジョンだ。
サウジアラビアは、なぜ巨大都市を作ろうとしているのか。ニュース番組「ABEMA Prime」に出演した、日本エネルギー経済研究所中東研究センター長の保坂修司氏は、こう話す。
「『サウジ・ビジョン2030』という巨大プロジェクトがある。サウジの経済力を上げていくための非常に野心的な計画で、NEOMという新しい都市をほぼゼロから作る。もう動き始めている」
実際にサウジアラビアで居住経験がある保坂氏。「ある意味、夢を売っている計画だ」と話す。
「もともと『サウジ・ビジョン2030』自体、アメリカのコンサルタントが作ったのではないかと言われている。実現可能性は置いておいて、サウジ人に大きな夢を与えてくれる点では非常に良い計画だと思う。少なくともサウジアラビアがこれまで行ってきた政策を一気に変えるだけの力を持っていると思う。2030年までにある程度の形になるだろう。技術的にできるか、お金が続くかは分からない。NEOMが完成する前に収入源の石油が売れなくなってきたら、もうその先がない。一方で、いわゆる脱炭素の流れはもう不可逆なので、言ってみれば競争だ」
ブラジル代表のネイマール選手だけではなく、近年ではフランス代表選手の移籍も目立つ。ネット掲示板「2ちゃんねる」創設者のひろゆき氏は「パリ・サンジェルマンのオーナーもカタールだ。結局、お金がある産油国に選手が動いているだけの話だ」とコメント。
「NEOM自体は賢いし、僕は好意的に見ている。世界で一番高いビル、ブルジュ・ハリファはドバイにあるが超無駄だ。でも、何もない砂漠のど真ん中に世界で一番高いものがあるから、世界中から観光客が来る。要は『石油以外のものを何か作らなきゃいけない。お金持ち向けに面白い観光都市を作ったらたくさん金を落としてくれる』から始まっていると思う。着工が2030年間近でも、世界中の人が見に来るのではないか。コンパクトシティというキーワードが人を集めるので、実態としてエコかどうかは関係ない。頭の悪いエコが好きな人たちが『なんかすごい』と見に来れば成功だ」
保坂氏によると、同国のムハンマド・ビン・サルマン皇太子は「非常にアグレッシブで賢い人」だという。
「1985年生まれで若い。現国王もその前の国王もずっと高齢の人だった。久々に出てきた若手の有力だから、現地では『若者の王子』という言い方をする。サウジの王族の中では、若い人たちの声を代弁できる稀有な存在だと思う。少なくとも、若い世代からの支持も高い」
ムハンマド皇太子は現国王と第三夫人との間の長男だ。現時点で、次の国王として期待されているという。
「現国王が国防大臣だった時代、皇太子が相次いで二人連続で亡くなった。皇太子になって国王になる中で、ムハンマド皇太子が引き上げられていった。第三夫人は結果的に一番寵愛されている妻だ。腹違いの兄も何人か閣僚にも入っているが、もうムハンマド皇太子に逆らうことはできないと思う」
その上で、保坂氏はムハンマド皇太子が進める解放政策に言及。
「国教はイスラム教だが、時代や地域によって解釈が違ってくる。長い間サウジアラビアの女性は、車の運転ができなかった。皇太子によって、女性の自動車の運転が解禁された。ほかにも突然、映画館が作られた街もある。いずれも宗教勢力が『駄目だ』と言って押さえつけていたが、それを皇太子がはねのけてやった。剛腕ではあるが、若者に人気が出たひとつの要素だと思う」
（「ABEMA Prime」より）
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