原発処理水の海洋放出が始まって以降、中国から嫌がらせの電話などが相次いでいる。
外務省は28日、中国の呉江浩駐日大使を呼び出し、冷静な対応を国民に呼び掛けるとともに正確な情報を発信するよう改めて求めた。
実際に現地ではどのような状況になっているのか。ANN上海支局・高橋大作支局長によると「日本大使館や地元の上海領事館から『外で大きな声で日本語を話さないように』と呼びかけがあった」という。
「無用なトラブルが起こるかもしれないから、予防を張るためにこういった注意が出ています。27日に日系のスーパーや飲食店を見て回りましたが、もちろん市民に緊張感はなく、日本の海鮮・海産物を扱っているお店にも、たくさんお客さんが入っていました。私の周りには、日本に理解を持っている知人が多く、嫌がらせ電話といった実際の行動に出るのは、本当に一部です」
一方で、現地の日本大使館や日本人学校では、石が投げ込まれるなどの被害が寄せられている。
「中国各地には駐在員の息子さんや娘さんが通う日本人学校があります。そこに対して生卵や石が投げられるなどの被害がありました。投石をした男は逮捕され、中国当局が対応してくれていますが、これがエスカレートしたら本当に怖いなと思います」
実際に、処理水の放出による反日感情の高まりは感じているのか。
「本当に少しではありますが、普段から日本人に対してよく思っていない人は一部います。中国は人口の分母が14億人いますので、その数%はかなりの数になります。一定数、日本に対する悪い感情を持っている人が『小さな日本人』と言って馬鹿にするような言葉を使ってしまう。怖いのは、処理水の問題によって『中国政府の方針だから、今は日本を表立って攻撃しても止められない』と、精神的なストッパーが外れてしまっていることです。日本人にも、中国や韓国の人たちに心ない言葉をかける層はいますが、日本側が同じような土俵に立たないよう気をつけないといけません」