東出昌大、素の自分をさらけ出すことに抵抗消えた30代「どう思われようとも気にしない」
巻きタバコを作る東出昌大
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 「一度はアフリカに行ってみたいと思っていた」。そんな軽い気持ちで引き受けた仕事が、まさか自分の新たな一面を提供することになるとは…。ネット掲示板「2ちゃんねる」創設者のひろゆきと俳優の東出昌大がアフリカ横断珍道中を繰り広げる、ABEMAオリジナルのバラエティ『世界の果てに、ひろゆき置いてきた』が話題だ。

 ひろゆきをアフリカのナミブ砂漠に置き去りにし、そこから始まるアフリカ横断の旅に密着。東出はその旅のサプライズゲストとして合流し、初対面のひろゆきと長距離バスに揺られたり、宿を共にしたりしながら、親睦を深めていく。

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コミュ力の塊・東出昌大「国がどこであろうが一緒に同じ空を見上げられるし、楽しく一緒にビールを飲める」

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(その日に出会ったジョシュアに膝枕してもらう東出)

 東出曰く「初対面の方と長期密着で何が起こるかわからない海外旅ロケは初めて」というが、若き頃はアジア近郊をバックパッカーとして旅していた経験を持つだけに、肝が据わっている。未知なる土地で様々なハプニングが2人を襲うが、ひろゆきに負けず劣らず東出も冷静沈着に対応する。

 生活拠点としている北関東の山奥の小屋からオンラインで取材に応じた東出は「冷静沈着に見えるのは僕が単純にマイペースな性格だからかもしれない」と笑いながら「バックパッカーとして各地を旅した経験があるので、たとえハプニングが起こっても『まあ、命までは取られないだろう』という気持ちがどこかにある。交渉中に相手と揉めたとしても、お互いの中には“傷つき合いたくない”という思いがあるはず。主張するところは主張するけれど、基本的には感謝の気持ちを持って対応しています」と動じない心の持ちようを解説する。

 筋書きのない旅路ゆえに、映し出されるのは素の姿。俳優業の時とは違い、役を演じていない一人の人間としての東出昌大がいる。年上のひろゆきを敬うように飲み物を差し入れたり、家事役を自然に務めたり、現地の若者とあっという間に意気投合したり。東出の他者との距離の詰め方の早さに驚かされる。

 「ギリシャのある哲学者は『すべての友情は利益から発する』という格言を残していますが、僕はそれをしません。僕は相手に対して期待もしなければ要求もしない。お世辞も言わない。そういう態度で臨めば、国がどこであろうが一緒に同じ空を見上げられるし、楽しく一緒にビールを飲める」と損得計算なしの付き合いをモットーにしている。

「天上天下唯我独尊」だった20代…現在は「自分の素をさらすことで周囲にどう思われようとも別に気にしない」

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(ひろゆきに巻きタバコを作ってあげる東出)

 紆余曲折の半生ゆえに、東出には様々なイメージが付きまとう。しかし今回のアフリカ珍道中の旅を通して、図らずも新たな魅力が浮かび上がってきた。ある村では、その日出会ったばかりの村人の膝に頭を乗せて横になる無防備な東出の姿を見ることができる。本番組のプロデューサー・高橋弘樹が「東出さんの好感度爆上がり」というのも納得だ。

 東出自身、バラエティ番組に出演してありのままの素をさらけ出すことに抵抗感はないという。その境地に辿りついた理由は、ずばり「加齢」だ。「20代の頃はイケイケだったので天上天下唯我独尊状態で自分が常に正解という気持ちでいました。いい人に思われたいカッコいいと思われたいというブランディングもありました。でも30代になって周囲の先輩の背中を見たり、世の中の動きを目にしたりすると自分の知らない世界はまだたくさんあると気づかされる。そして30代後半になって自分の本分はお芝居というフィールドにあるという気持ちも確立してきました。自分の素をさらすことで周囲にどう思われようとも別に気にしないという気持ちになっています」と心境の変化を口にする。

 素をさらけ出す覚悟が吉と出たのか、一筋縄ではいかなそうなひろゆきともウマが合っているように見える。「ひろゆきさんは論破王と呼ばれるだけあるので、口論になって一瞬にして僕が負けるという姿がリアルに想像できました。でも現地で初対面した途端、それは杞憂だと感じました。移動中や食事中に人生や仕事について、そして日本という国に対して様々な話題で意見を交わしました。生きる上での価値観で共通することは少なかったものの、お酒を飲んで陽気になって楽しめた点は大きかったです。ディレクターを交えて毎晩のようにお酒を飲むのがアフリカ旅の日課でした」と飲みニケーションがその仲を取り持ったようだ。

「食べる理由がある食事」アフリカで感じた“肉”を食べる意味

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(牛をさばく東出)

 そんなひろゆきを感心させたのは、狩猟免許を持つ東出のハンターぶり。日本円にして8万円で購入した牛一頭を見事に捌いた。村人はその姿に熱狂し、解体した牛はその場でBBQ。村人を交えてみんなでペロリとたいらげた。「これまでの人生で自分が捌いた獲物の中でも一番大きい動物」と振り返る東出は「大きな牛を捌いて即食べるということへの葛藤もありましたが、現地の人たちの『肉が食べられるぞ!』という熱狂と喜びを見た時に、これも人間の営みの一つであると思わされました。この牛の肉が自分の血肉になる実感というのか、まさに“もの食う人々”。食べる理由がある食事だと感じました」と身も心も震えた。

 「一度はアフリカに行ってみたい」という軽い動機から始まった旅を終えた今、東出の中に軽はずみな思いは微塵もない。「旅はあくまで旅であって、この旅を通してアフリカのすべてを理解した気持ちにはなっていません。しかし色々な考えや問いを僕にくれた旅ではありました。日本でものを考えるときに、アフリカの日々を思い出して旅の間に得た感覚を参考にする気がします」と貴重な体験だったと心に刻む。

第2弾には慎重な姿勢も「いい出会いを果たした人と再会し、またいいものを作れたら」

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(旅を共にしたひろゆきと豊川Dと)

 ひろゆきに対する「論破王」という先入観も消えて「他人を思って他人のために何かをさらっとできる、本質的に優しい人」という好印象に変化。ならば第2弾の珍道中も期待していいのか?

 「いやいや!さすがに気安くOKというのは…しんどい気がする。そこは慎重に考えたいです!」とぶっちゃけて爆笑する東出だが「ひろゆきさんやスタッフの方も含めて、今回の旅がいい出会いであったことに間違いありません。大切なのはいい出会いか否か。それはバラエティでも俳優業でも変わりません。いい出会いを果たした人と再会してまたいいものを作る。いつかそんなことが出来たら嬉しいです」と少なからず珍道中リターンズを期待している。

取材・文:石井隼人

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 『世界の果てに、ひろゆき置いてきた』は、毎週土曜、日曜に、ABEMAにて最新話を配信される。

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