北関東の山奥で狩猟生活中の東出昌大が1日、都内で行われた出演映画『福田村事件』の初日舞台挨拶に参加した。
関東大震災発生5日後のある村で起きた惨劇を描いた『福田村事件』。東出のほか、井浦新、田中麗奈、永山瑛太、木竜麻生、向里祐香、杉田雷麟、カトウシンスケ、水道橋博士、豊原功補、そして森達也監督も登壇した。
不倫を罵られる船頭を演じた東出は、キャップを反対にかぶり、ワイルドな髭面&白T姿で登壇。本作について「この映画の企画者である荒井晴彦さんが『ハリウッドだったら4回くらいリメイクされてもおかしくない程の大きな題材なのに、日本ではなかなか作れない』と仰っていました」ときわどい映画化だったと告白。
俳優としてのスタンスとして「日本の大手配給会社やテレビ局が出資するもので差別の問題や国の問題、同調圧力とかそういったものは描き切れないかもしれない。しかし楽しいエンタメだけではなく、負の遺産なども含めて、なぜ起きてしまったのだろうか?と考えながら物語として紡いでいくのも映画人として大切な仕事」と明かし「今後もそのような仕事に携わることが出来ればと思います」と気持ちを新たにしていた。
一方、満員御礼の客席を前に井浦は「満席の状態の映画館…いいですね」と声を詰まらせながら念願の封切りに感無量。「森監督からオファーを頂いたときにその場で『どんなことがあっても参加したいです!』と伝えました。森監督が劇映画でどのように現場の中心に立ってどのように映画作りをされるのか?それを最前線で何が何でも見たいという思いがありました。観ていただいた作品の熱量がそのまま撮影現場にはありました」と白熱した撮影を振り返った。
田中は「撮影中からたくさんの方々に『楽しみです!観たいです!』と今までずっと毎日のようにおっしゃっていただきました」と本作の注目度の高さに触れて「私はこの映画に関わるまで、この事件のことを知りませんでした。これほどまでの大きな事件がなぜ知られなかったのか?100年前のことでした、で終わることではなく、現代の私たちの生活にもこの事件からの問いかけは沢山あるはずです。より多くの方にこの事件のことを知っていただきたいので、身近な方にも勧めていただけたら幸いです」とアピールした。
役衣装を身に着けた永山は「企画書と準備稿を頂いて内容を知った時に、僕の出番をもっと増やしてほしいと初めて言いました。そうしたら…少しだけ増えました」とユーモア交じりに明かしつつ「素晴らしい映画が出来上がりました。日本に一石を投じる作品に参加出来て幸せです」と喜んでいた。
取材・文・写真:石井隼人