来週にも行われるとみられる内閣改造。大きな注目を集めているのが、玉木雄一郎代表率いる野党・国民民主党だ。永田町では、内閣改造で連立政権入りし、総理が解散総選挙に踏み切るのではないかとの憶測が飛び交っている。
去年の国会では党の政策を実現させるため政府予算案に賛成するなど、野党として異例の対応を取ることもあった国民民主党。それゆえ、時に与党でも野党でもなく“ゆ党”と言われたこともある。果たして、連立はありうるのか。『ABEMA Prime』で2人のジャーナリストに聞いた。
国民民主党の連立政権入りの可能性があるとみている政治ジャーナリストの青山和弘氏は、自民党側のメリットについて「一つは、憲法改正に慎重な公明党に対するプレッシャーになること。また、公明党の支持母体の創価学会は高齢化が進んでいるが、若い社員が入ってくる労働組合が国民民主党の後ろにはいくつかあるので、それを取り込みたい。あとはなんと言っても、解散総選挙をする時に“連立を組み替えたので国民に真を問いたい”という大義名分にしたい」と説明。
国民民主側にとっては、「叶えたい政策が実現できる。“対決よりも解決”というスローガンを掲げている政党としては、1つのメリットだ」。
一方で、現政権での連立政権入りはないとみている政治ジャーナリストの安積明子氏は「玉木さんは会見で否定している。自民党も私が見る限りそんなに前のめりではない。茂木幹事長の会見でメモを見たら、政策については“前向きに進める”ということで、これは玉木さんが言っていることと一致する。もしかしたら水面下で動いているかもしれないが、そこは玉木さんを信用している。労組の話は、実は選挙力はあまり強くなくて、やはり創価学会の、特に女性部のパワーはすごい。国民民主党の参議院の比例票は300万ちょっとで、その倍ある公明党を捨ててまではやらないと思う」との見方を示す。
また、選挙区情勢から組めない理由もあると指摘。「玉木さんが一番信頼しているのが幹事長の榛葉さんだ。“玉木は太陽で、自分は月”とおっしゃるぐらい覚悟がある方だが、2年後に参議院の改選を迎える。静岡は定数2で、これまで自民と非自民の指定席。自民・自民ということはなかった。次は自民党の牧野京夫さんと対戦するが、榛葉さんが勝った2007年は民主党に勢いがあった時。野党というスタンスを保持しないと、榛葉さんは泣くことになるかもしれない」。
連立を組むことで国民民主党や玉木代表の立場は弱くなってしまわないのか。青山氏は「かつての新自由クラブや、自社さ政権のさきがけも社民党も、どんどん自民党の派閥みたいになってしまった。もし連立を組んだら国民民主党が同じ道をたどる可能性は高いと思う。ただ、玉木さんは野党の中にいることに存在価値を見出していない。自民党に政策をのんでもらうということで、やはり最後は一緒になってしまうのがいいのではないか。連立の枠組みの中で政調の協議に参加したほうが発言もできるようになる。そっちに舵を切るかという瀬戸際に差しかかっていると思う」と話す。
安積氏は「今、玉木さんは5期目だ。自民党の中だったら大臣ポストまではいかず、副大臣レベル。国民民主党は独立した1つの政党で21人、仲良しクラブ的なところはあっても、不協和音は比較的少ない。みんなで盛り上げようというところで、自民党の枠組みに入ったら玉木さんはすごく苦労するだろう。ガソリンのトリガー条項なんか言えないと思う。連立に入らず、離れたところから電話・ホットラインで“これをやってください。そうしたら憲法改正を賛成してもいいですよ”とやるのではないか」と推察した。
一方の公明党について、青山氏は「自民党は今、参議院で過半数を取っていないので、公明党に頼まないと法律は通らない。でも、国民が入ってくれば少しゆとりができるのは大きいだろう。公明党は大阪と兵庫で6議席持っているが、もしかしたら全滅するかもしれない。そこに国民民主党の労組、例えば自動車や電気の企業が自分を支持してくれると、維新との争いの中で有利になるかもしれないということを言い始める人が出てきている。実は公明党もお尻に火がついている」と説明した。
では、自公国の3党連立が日本国民にとってよいことなのか。「これから3党協議になるわけだ。ただそれが過ぎるとだんだん存在感がなくなっていくという可能性もある。日本国民のために何がいいかというのは、その先で玉木さんがどれくらい逆に与党の中で暴れられるのかにかかっている」とした。(『ABEMA Prime』より)
■Pick Up
・「ABEMA NEWSチャンネル」がアジアで評価された理由
・ネットニュース界で話題「ABEMA NEWSチャンネル」番組制作の裏側