“不法移民をルワンダへ” イギリスが苦渋の制限策? 「“なんとか仲良くできる”を超えた」 日本の進むべき道は
【映像】ボートでイギリスに向かう移民
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 ヨーロッパの国々で深刻化している、不法移民問題。イギリスでは対応策として7月、「ストップ・ザ・ボート」をスローガンに、小型ボートなどで不法に入国した人たちに対し、難民申請を受け付けないとする法律が成立した。これまで移民に寛容で、一時労働力として積極的に受け入れてきたが、ここにきて制限へと舵を切った。

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 少子化が待ったなしの日本も直面する可能性が高いこの問題。政府が検討しているのが外国人労働者の受け入れだが、Xでは「現実的に外国人と共存しないと、老人だらけの国になってしまう」「移民流入でどうなったのか、ヨーロッパの状況を見てほしい」「安い労働力を入れると、賃金は上がらないし、治安も悪くなる」などの声があがっている。

 移民との向き合い方、日本が取るべき対応について、『ABEMA Prime』で議論した。

■ルワンダ移送は裁判に…移民制限策は「自然な流れ」

 イギリスの不法移民法では非正規ルートで入国を試みた者は永久に入国できないほか、不法入国者を約6500km離れたルワンダに移送する協定を結ぶなど、過去にない厳しい措置となっている。これが非人道的だとして裁判になり、一審は合法判決、二審は違法判決となり、最高裁に上訴中となっている。

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 ロンドン在住の国際ジャーナリスト・木村正人氏は「まずウクライナ侵攻が起きているので、難民の数が増えるのは当たり前。特にアフリカだと食料がなくなったり、経済状況が悪くなったりして、国を出たいという人が増えてくる状況がある。一方、イギリスは欧州連合(EU)から離脱したことで、フランスとの関係が悪化してしまった。これまでフランス側で留め置いてもらっていた難民たちが、一気に海峡を渡ってきた。これは世界全体から見るとわりと小さな問題で、解決可能なのではないか」との見方を示す。

 英仏海峡を小型ボートで渡る密入国者の数は、2018年の300人から2022年には4万5775人と急増。受け入れ施設には年間5000億円以上の費用がかかっている。

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 移民問題に詳しい山形大学人文社会科学部准教授の源島穣氏は「イギリスの世論として、移民や難民に反発する感情が強いことを考えると、保守党の今回の対応は自然の流れと言わざるを得ない」と話す。

 一方、外資系IT企業で働く薄井シンシア氏は「本当の難民は、安全なところに行ければ目的達成だ。経済難民などはまず認められない。そういう意味で、安全ならイギリスじゃなくてもいいわけだから、ルワンダに送るのは非常に合理的な考え方だと思う」と述べた。

■イギリスは「“なんとか仲良くできる”キャパを超えた」

 イギリスへは、去年1年だけで116万人もの移民が入ってきた。人口に対する割合は14.4%となり、文化や経済をめぐって軋轢も生じてきている。

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 源島氏は「EUを離脱する争点として移民があった。2004年ぐらいから無制限で受け入れた結果、“このぐらいならなんとか仲良くできる”という社会のキャパを超えたわけだ。そこの軋轢はやはり大きいと思う」と話す。

 なぜ移民はイギリスを目指すのか。木村氏は「欧州の中では、他の地域に比べてまだ賃金が高いということで、ドイツ、スウェーデン、イギリスが基本的に目指す国になっている。イギリスでは、不法移民であれなんであれ、仕事は基本的に見つけやすい。少々のことは目をつぶって、そこで人権侵害が起きたりしているわけだが、使ってしまう。白人に限ると少子高齢化が進んできて、労働力不足が顕在化しつつあり、そこを埋めるかたちで移民を受け入れている部分もある。その仕事のインセンティブが大きいのではないか」と説明した。

■“共生”目指す日本、軋轢を生まないためには

 岸田総理は「人口減少に対して我が国社会が適応していく。外国人と共生する社会を考えていかなければならない」と述べているが、日本はうまく受け入れることはできるのか。

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 薄井氏は「これだけ人口が減っているから、その流れは仕方がないと思う。ただ、岸田さんの発言は経済界が主導で言っていること。私が元々いたホテル業界やレストラン業界は待遇が悪く、賃金が低いので、さらに安い労働力を入れようというのは反対だ。安くておいしいものは、だいたい誰かの安月給ででき上がっているもの。いる人だけでまかなって、足りなければ値段を上げるべきだ」と主張する。

 これに木村氏は「その意見に従ってイギリスがやったのがEU離脱だったわけだ。“離脱したらEUからの移民が来ずに、賃金が上がって経済が上に向かう”と言ったのに、今は悲惨な状況。小売店に万引きが集団で押し寄せてきて、棚ごとごっそり持っていく。それも、食料品の値上がりやインフレで食えなくなった人の代行業みたいな集団なわけだ。働き手がいなくなった時に国を閉じてしまうと、経済が回らなくなり、そういう崩壊現象が起きる。物事を単純な二極論で考えると悲惨な目に遭うと思う」と警鐘を鳴らす。

 源島氏は「難民と正規ルートで入ってくる移民をしっかり分けたほうがいい」とした上で、「後者は、少子高齢化の日本の労働力を補う人として不可避だと思う。では、実際どこから来ているかというと、技能実習生はベトナムや中国、最近だとカンボジアやインドネシアが多い。そういう人たちは比較的、日本社会にとけ込みやすい人が多いと言われている。大量に受け入れると軋轢が出るかもしれないので、少しずつ拡大していくやり方は可能ではないか」と述べた。

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 とはいえ、習得が難しいとされる日本語を学んでまで高度な人材が日本に来るのか。薄井氏は「どちらかというとスキルがあまりない人、要するに日本の企業が安く使える人材が来てしまう。では、作りたいのはそういう社会? 『多様性』という言葉はきれいに聞こえるが、そこまで辿り着くのはすごく険しい道。それをみんなわかっているのかと思う」と投げかける。

 源島氏は「今、移民の人材獲得競争みたいな流れになっている。例えば、台湾や韓国だと言語を覚えなくても大丈夫だとか、定住の期間が長いだとかで、ハードルが低い。そういった所に流れやすい傾向がある中で、日本ももっと受け入れやすい仕組みに変える必要がある。でなければ、移民が来なくなってさらに問題が深刻化する」と懸念を示した。(『ABEMA Prime』より)

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