“ドリル優子”こと小渕優子氏と加藤鮎子氏、自民党の大物政治家を父に持つ2人の「プリンセス」が、第2次岸田再改造内閣の発足と、それに伴う党人事で起用された。
【映像】“ドリル優子”の由来
小渕氏は自民党の党4役である選挙対策委員長、加藤氏は当選3回ながら子ども政策担当大臣として初入閣した。
小渕氏は1973年、小渕恵三元総理の次女として誕生した。大学卒業後にTBSテレビへ入社するも、2000年に恵三氏が脳梗塞で死去したため、同年の衆院選に出馬。16万票超を得て、父と同じ26歳で初当選した。2014年には経済産業大臣に就任するも、不透明な会計処理が報じられ、辞任に至った。
一方の加藤氏は1979年、加藤紘一氏の三女として生まれ、高校・大学と慶應義塾で学んだ。経営コンサルティング企業に就職し、野田聖子氏の秘書を経て、コロンビア大学へ進学。紘一氏の引退を機に、2014年に政界デビューした。谷垣派に属し、自民党副幹事長や女性局次長などを歴任している。
岸田政権は、安倍派(99人)の領袖が安倍晋三元総理の死去により不在なため、実質、岸田派(46人)、麻生派(55人、麻生太郎副総裁)、茂木派(54人、茂木敏充幹事長)による「三頭政治」で動いている。
岸田総理は、来年の総裁選を控え、出馬の機会を探る茂木氏を、幹事長から外そうとしていたとされる。しかし、政治ジャーナリストの青山和弘氏によると、「麻生さんと茂木さんは蜜月関係にあり、麻生さんが幹事長を続投させた」という。
そこへ、安倍派に強い影響力をもっている元総理・森喜朗氏から優子氏登用のプッシュがあったという。小渕内閣で官房長官を務め、森氏の総理就任を後押ししたとされる青木幹雄氏が、常々「心残りは小渕恵三さんのお嬢さん」と気にかけていたことが背景にあるそうだ。
青木氏は生前、茂木派に影響力を持っていた。また小渕氏が茂木派に所属していることから、小渕氏を厚遇することで「茂木氏へのけん制」と、森氏を通じた最大派閥・安倍派の取り込みの両方をねらえる。
また加藤氏の大抜擢は、岸田総理がひきいる「宏池会」で、かつて紘一氏がトップを務めていたことによる「恩返し」ではないかと、青山氏は指摘する。森総理(当時)の度重なる失言を受け、紘一氏が起こした倒閣運動が「加藤の乱」で、そこには若き日の岸田総理の姿もあった。
青山氏は、気が強い女性議員もいるなか、小渕氏や加藤氏は「年長者にも好かれて、おだやか」だと語る。
「一般的な感じの人。その一方で『自分が自分が』とガンガン出て行くタイプではない。小渕氏は2014年の政治資金事件以降、比較的ひっそり政治活動をしてきた。ここにきて脚光をあびたが、その(就任会見の)タイミングで涙を見せるなど、『野心的な政治家』とは違った対応になってしまった」(青山氏)
恵三氏も紘一氏も、安倍氏や岸田総理といった「今の自民党の政治」とは対極にいたと、青山氏は解説する。「中国に近い」「財政問題を大切にする」「沖縄に寄り添う」といったスタンスだった政治家の子を起用することにより、「政治の流れが逆回転するきっかけになりかねない」との見方を示した。
(『ABEMA的ニュースショー』より)
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