多くの人たちが注目した、ジャニーズ事務所の記者会見。出席した新社長・東山紀之と井ノ原快彦などが説明したのは、61年掲げ続けた「ジャニーズ事務所」という看板をなくす決断。社名変更後の「SMILE-UP.」は被害者の補償業務だけを行い、それが終わり次第、廃業するという。一方で、マネジメントなどを担当する新会社を設立し、所属タレントがエージェント契約が結べる形だ。新会社の詳細は不明だが、1カ月以内に設立し、社長には同じく東山氏が、副社長には井ノ原氏が就任するとした。
会場に集まったメディアからは、被害者の補償に加え、新会社の役割や今後の体制、性加害への認識など多くの質問が寄せられ、混乱に陥る場面もあった。また、テレビ各局も声明を出す中、3日の『ABEMA Prime』でメディアの責任について改めて話をした。(記者指名のNGリスト報道が出る前日の番組です)
田村淳(タレント):NHKはいち早く『クローズアップ現代』で、こういう理由があって踏み込むことができなかったという趣旨の検証番組を作っていた。各メディアがそれぐらいやるべきだ。昔からテレビに出ている人間として、“なぜあの時に言えなかったのか?”という問いにもしっかり答えていきたい。僕は、噂として聞いていた中で、いちタレントが他事務所の社長の性加害についてどこまで言えたか?とずっと考えているが、やっぱり言えなかった。
仁科健吾(テレビ朝日アナウンサー):3月にBBCで報じられた時に各局は伝えなかったが、今回はどこかからか、ワーッと一気に始まった。私は入社5年目だが、その年次であっても、会社に”報道しましょう”と働きかけないといけないことだったのかなと思っている。
宇佐美典也(制度アナリスト):日本のメディアの特殊性は外部参入がないところ。電波も許認可でずっと同じ会社に与えられている。大きな会見であっても、基本的には記者クラブがあるため、外からは入ってこられない。ジャニーズ事務所からすれば、メディアを押さえやすく、コントロールできた構造があると思う。また同じようなことが起きてもおかしくない。
田中萌(テレビ朝日アナウンサー):”持ちつ持たれつ”みたいな関係はジャニーズ事務所以外にも何かしらあるんだろう、業界の構造から考えないと結局何も変わらないのかな、と感じる。“危なそうだからやめておこう”と見て見ぬふりをしていたけど、急に世の中が変わって“もう言ってもよさそうだ”となると、そこからは横並びでやってしまいがちな印象だ。
宇佐美:60年の性加害と言っているけど、大事なのは2022年11月から2023年3月の間だと思っている。ガーシーがYouTubeでカウアン・オカモトさんを出したくらいからみんな知っていたわけだ。その間、メディアは反応しなかった。でも、BBCが報道したら突然騒ぎ出したところに、自浄作用のなさを感じる。役員などが“これは調べなくてもいいのか?”と言えば変わったはずだが、それをやらなかったというのは、テレビ業界は腐っているということだと思う。
小原ブラス(コラムニスト):ネットなどで言われていても、自分たちで裏取りをした上で報道をしないと、性加害を受けていない人まで“あの人も”という噂が広まったり、被害者が傷つく可能性がある、ということは考えられていたのかなと思う。そんな中で、“万が一自分たちの判断が間違っていたら、叩かれて、取り返しのつかないことになってしまう”ということで、みんながリスクをとらない状態だったと思う。なぜ報じなかったのか、もしくはなぜ報じたのか。それが誤りだったというのなら謝ればいい。それとも本当に何も考えていなかったのか、明らかにして欲しい。
田村:実際に2日の会見はバンバン報じられたわけだけど、それをするに値するメディアなのか?を検証しない限りは、報じていること自体にも違和感がある。当時の社長さんや権限を持っていた人は、ジャニーさんの裁判の結果が出た時、何をもって報じなかったのか?できなかったのか?というのを聞きたい。そのメスを誰が入れに行くのかというと、吉本興業のタレントである僕じゃないような気がする。ジャーナリストの方なのか、テレビ局の社員さんなのか。自浄作用がちゃんと働いているかどうかを見極められることとして、今まさに見られているような気がする。
(『ABEMA Prime』より)
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