岸田総理は、自民党の萩生田政調会長に所得税減税も含めた税収増加分の還元策を検討するように指示を出した。これに対抗して出した、日本維新の会の政策案。社会保険料の負担を軽くすることを柱としたものだが、21日のABEMA『NewsBAR橋下』で橋下徹氏が苦言を呈した。
橋下氏は「維新は社会保険料を3割とか5割下げると言っているけど、今回は補正予算だから、来年の4月にまた元に戻すと。(政府の)所得税減税のほうも1年が期限とかで、そんなことなら現金を配ればいい」と指摘。
元経産官僚で慶應義塾大学大学院教授の岸博幸氏も「社会保険料の軽減をどうしてもやりたいなら、将来的にどうするのか、負担がどうなるのかという前提が必要で、目先のことを優先するのはおかしい。年金制度は負担に比べて給付を減らす必要があるのは明らかだし、医療も自己負担を増やしていかないとまずいからだ。一方で、みんなが健康でいるための予防医療の観点もすごく大事なのに、そういうものを主張している感じもない。断片的だ」と述べる。
橋下氏は「社会保険料が高いというのはネットの中で話題になっている。そこに飛びついた感がある」とした上で、「困っている人に何らかのかたちで手当てすることには大賛成だが、社会保険料を税金で下げることほど保険を歪めるものはない。まず適正な保険料を弾き出した上で、“所得の低い人は支えます”ということで税金を充てる分にはいいけど、今は先に税金を充てて一斉に保険料を下げる。僕は大阪で、むしろ税金を取り除いていったわけだ。ものすごいバトルの中で、頑張って大阪の歪みを元に戻してきたのに、『税金入れて下げる』と言うから、どないやねん!そこ行くんかい!と」と主張した。
岸氏は「大企業に勤務している人なんかは、本人と企業の折半で保険料を出していて、健康保険に税金は入っていない。対して、中小企業や自治体の健康保険は、実はもうすでにかなりの税金が入っている。また、他の健保組合からお金を入れてくるということもやっていて、実は個人の負担はそこまで大きくない」とした。
さらに橋下氏は「維新は給食費も数カ月無償にすると言うんだけど、それらをまた戻した時に自治体はクレームの嵐になる。これを現場の職員が対応するということを国会議員はわかっているのかと。本当に情けない話だ」と嘆いた。(ABEMA『NewsBAR橋下』より)