声優・早見沙織が明かした、歌唱への細やかな積み上げとは？『駒田蒸留所へようこそ』主題歌へのアプローチを語る | アニメニュース

2021年放送のお仕事シリーズへ【動画】

　2023年11月10日より公開される劇場アニメ『駒田蒸留所へようこそ』は、P.A.WORKSの「お仕事シリーズ」最新作。2011年に放送されたTVアニメ『花咲くいろは』では温泉旅館、2014年の『SHIROBAKO』ではアニメ業界を舞台に、仕事に奮闘する人々の人間模様をコミカルかつリアルに描いてきた。

【動画】P.A.WORKSお仕事シリーズ『SHIROBAKO』

　『駒田蒸留所へようこそ』の舞台は、タイトル通りウイスキーを造り上げる蒸留所となり、亡き父のあとを引き継いで若くして女性社長となった駒田琉生（こまだるい）を主人公に、彼女にとって家族の絆となるウイスキー「KOMA」復活を目指して奮闘する様が描かれる。

　駒田琉生を演じる人気声優の早見沙織（はやみさおり）はアーティストとしても活躍しているが、本作の主題歌も駒田琉生名義で担当。本記事では早見へインタビューを行い、どのようなアプローチで楽曲が出来上がったのかについて尋ねてみた。

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――主人公の駒田琉生を演じられていますが、駒田琉生が歌う主題歌「Dear my future」も印象的でした。早見さんご自身の名義で歌われる楽曲とは、異なるアプローチがあったのでしょうか？

早見：キャラクターの名義で歌わせていただくときは、自分はもちろん、スタッフの方々がこういう風にしたいというイメージが、作品によって全然違っているんです。

　キャラクターがしゃべっているような歌にしたいという場合もあれば、楽曲としての完成系を目指していく……というように、さまざまなアプローチがあります。「Dear my future」は楽曲自体がソウルフルと言いますか、とてもカッコいい曲なので、琉生として表現するときに彼女の持っている素朴さや想いをどこまで入れていこうかな……というところがポイントでした。

――早見さんから見て、琉生の魅力はどんなところにあると思われますか？

早見：琉生はもともと絵を描くことが好きな子だったのですが、家業である駒田蒸留所を社長として引き継ぐほど、家族や「KOMA」というウイスキーに対して人一倍強い想いを持っている人です。そのことが彼女の原動力になって奮闘していき、上手くいかないことや1人ではどうにもならない局面にもまわりの人たちと一緒に立ち向かって進んでいく姿に、尊敬と言いますかカッコいい女性だなと感じました。

　その上で（琉生としてどのように歌うかについて）ディレクターさんたちとお話ししていくと、楽曲とボーカルの相性をすごく大事にされていることが見えてきました。それを踏まえてドラマティックな楽曲にミスマッチにならないように、琉生の持っている想いや作品全体に流れている芯のようなものを意識しつつも、楽曲に合わせるような表現で歌い方や言葉の発音の仕方を合わせていきました。細かくいろいろ試しながらでしたが、とても完成度が高くなったと思っています。

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――お話を聞いていると、まるで琉生が行っているウイスキーのブレンディングのようですね。

早見：そうですね。ディレクションも細かく入れていただきましたし、作品のラストに流れる楽曲なので、物語に想いを馳せながら聞いていただけるのではないかなと思います。

――ちなみに劇中で、琉生をはじめブレンダーの方はテイスティングノートに味の感想などを書き込んでいるのが印象的だったのですが、早見さんもお仕事柄アフレコ台本などに書き込みをしたりしますか？

早見：私自身は台本にはあまり書き込みはしないタイプですね。事前にいっぱい書き込むことはせずに、アフレコ現場で言っていただいたことを中心に書いています。ただ、現場が終わってから自分がいろいろ感じたことやこういうアプローチをした方がいいなということは、スマホのメモ帳アプリなどに書いていたりします。すぐに忘れてしまうので（笑）。

　劇場で『駒田蒸留所へようこそ』を観る際は、ラストに流れる主題歌「Dear my future」もじっくりと聴いて、物語の余韻に浸ってみてほしい。