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 芥川賞受賞の私小説家・西村賢太も激賞した、岩浪れんじによるコミックが原作の映画『コーポ・ア・コーポ』(11月17日公開)。女性に貢がせるヒモの中条を、東出昌大が演じている。東出の現在の生活拠点は、北関東の山奥。バラエティ番組等でそのガチ生活ぶりが取り上げられたりして、再注目を集めている。自力で小屋を建築中という東出が、バラエティ番組出演時の心境や人生相談が届くというホームページ事情について教えてくれた。

【映像】東出昌大のワイルドな旅姿

「今年の冬までには完成させたい」東出昌大、山小屋を建てる

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――物語の舞台となるコーポは実際にあるコーポを使用して撮影されていますね。

撮影場所となったコーポに居住している方もいらっしゃったので、居住者の方々の迷惑にならないよう気を配りながらの撮影でしたが、セットではない本物ならではの迫力のあるレトロなコーポでした。キャストも笹野高史さん、藤原しおりさんら下町に馴染みのいい方も多かったので、スタジオで作られたセットではなく実際の青空の下で撮影できたのは良かったです。スタジオに比べて本物の場所で撮影をした方が現場の力をもらえるからです。

――ちなみに東出さんは高層マンションと鄙びたようなコーポだったら、どちらの方がお好みですか?

僕は断然、後者が好みです。立派なところだと自分が偉くなってしまったような勘違いを起こしそうだし(笑)。それに作家の好みでいうと、僕は石原慎太郎よりも坂口安吾の方が好きなタイプです。

――現在の長髪&髭面のワイルドな風貌も相まって、東出さんはすっかり山生活に馴染んでいますね。

山に住み始めて2年くらいしか経ってないのでまだまだこれからではあるのですが、今は小屋を建てている最中です。小屋は今住んでいる借家から斜面を10メートルくらい登ったところに建築中で、すでに床は張り終えているので内装に取り掛かって薪ストーブを置いて水道を引いたら完成です。自分の住む小屋を建てるというのは自分の生活を一から作るということだし、しかも自分で建てると壊れた時に自分で直せるから面白いし便利。なんとか今年の冬までには完成させたいです。

「スタジオに出て上手く喋れる自信がありません」バラエティ番組出演への本音

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――山籠もり私生活の興味深さも相まって、最近ではバラエティ番組での需要も増えています。東出さんの第二次ブレイクとも噂されていますが…。

確かに『世界の果てに、ひろゆき置いてきた』も含めて、最近はバラエティ番組やラジオ出演が増えています。『相席食堂』出演に際しては番組のプロデューサーから熱烈なオファーを頂きました。バラエティ番組ではあるけれど、人を活かす形で作りたいと。そのような熱をお持ちの方だからこそお引き受けして、結果的にいい出会いになりました。そのプロデューサーが新しいバラエティ番組『ゲストダイン』を立ち上げて、またオファーを頂きました。これまで出演してきたバラエティ番組はどれも楽しかったけれど、スタジオに出てペラペラと上手く喋れる自信が自分にはありません。素のままでいいと言われて喋っても、その喋った内容を面白おかしく編集されて特別変わった人間のように思われてしまうこともある。自分の本分は役者なので、何が何でもすべてを引き受けるという考えではなく。そもそも世間に知ってほしい自分なんて実はないんです(笑)。

――とはいえバラエティ番組やラジオ出演、トークショーなどでの飾らぬ東出さんの姿に好感を抱く人も多いです。

事務所に所属していたときは若さもあったし、携わっている人の数もあったので、ちゃんと作品を宣伝しなければとか、いい子でいなければという思いで喋っていたところがありました。でも最近は目の前にいる人とただ会話しているという姿勢になって、肩の力が抜けてきた実感があります。語弊があるかもしれないけれど、仕事を仕事と思わなくなったというか、自分を解放できているところはあるかもしれません(笑)。

東出昌大流ビジネスメール「最後に取り繕ったかのように『取り急ぎ』と書いて(笑)」

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――現在の東出さんは個人で活動していて、マネージャー業務も自分で担っていますよね?スケジュール管理や業務連絡など大変に感じることはありませんか?

大変だと思うことはあります。これがインターネットのない黒電話の時代だったら、電話に出られなかったら時間を改めてかけ直せばいいし、電話で簡単に用件を聞いて言われたことをすればいいだけでした。それなのに今はテクノロジーの進化によって変に複雑かつ忙しくなっている気がします。夜中でもメールが来るし、メールが来るとすぐに返さねばならないという強迫観念も生まれてしまう。便利のために進化した世界になったはずなのに、苦しいことの方が増えていないか?と感じます。

――ビジネスメールの作法にこれまで触れていなかった分、社会人の常識を得るのに苦労しそうですね。

最初の頃は「東出できるじゃん!」と思われたくて背伸びして「いつもお世話になっております云々」と頑張って書いていたところありました。でも今は…もう疲れた(笑)。最近では「東出です云々」の簡単な挨拶文があって、最後に取り繕ったかのように「取り急ぎ」と書いて済ませています。「取り急ぎ」が最後に記されていれば、その前の文章に多少難があってもある程度は認めてくれるだろうと思って(笑)。

――個人で仕事を受けるメリットを感じることはないですか?

役者だけをやっていると、映画のプロデューサーや宣伝チームと密になることが意外と少ないです。マネジャー業務も兼任するようになってからは関係者それぞれの顔がわかる様になってきました。すべて一人でやっている分、煩雑な業務を代行してくれていたマネジャーさんがいた時代に比べると、映画作りとか映画業界の仕組みがわかってきて面白さは増しています。もちろん前事務所の方々には感謝しかありませんが、作品に直接コミットする分、携わる作品への愛着も変わってきました。

インフォメールに届く人生相談「こっちだって迷っているのに!(笑)」

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――東出さんにお仕事を頼みたい場合、連絡はどうすればいいのですか?

僕個人のホームページ(https://masahirohigashide.com/)がありますので、そこに記されているインフォメールに連絡をください。

――そのインフォメールに仕事以外の要件が届いたりすることはありませんか?

僕がいる山に一週間滞在したいという問い合わせや、人生相談のメールも届いたりします。僕は表に出る仕事をしている分、耳目を集める存在ではあるので、藁をもすがる思いで悩みを打ち明けてきて、僕からの「大丈夫ですよ」という根拠もなく言った言葉で生きながらえる命があるならば、この仕事をやっていて良かったと思える究極的な意味にもなるかもしれないので厭いません。けれどそれで沢山の人生相談が届く様になったら困ってしまうので、なかなか返信はしません。そもそも僕に対して人生相談をするなんて。こっちだって迷っているのに!(笑)お仕事のご相談だけ返信しますので、お待ちしています。

――今後の目標を教えてください。

僕の直近の悩みは肩が痛くて、それはタバコの吸いすぎが原因のような気がするので禁煙をしたいと思っています。ただ5日くらい禁煙したらそれでOKみたいになってしまって、またタバコを吸い始めてしまったりして…。禁煙を成功させるとか小屋を早く建てるとか、そんな些細な事柄が今の僕の悩みなので、仕事のことや今後の大きな展望については、わからんです。とりあえず寒さが本格的になる前に小屋を完成させたいです(笑)。

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取材・文:石井隼人
写真:You Ishii

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