日向坂46の齊藤京子が不貞の進化系「パラサイト不倫」に身を投じる、テレビ朝日系連続ドラマ『泥濘の食卓』(土曜11:30)。第5話では、パラサイト不倫女子・深愛(齊藤)に駆け落ち未遂の過去があったことが判明する。しかもその顛末はあまりにも過酷だった。
ドラマの原作は、2016年に『悪い夢だといいのにな』で第75回ちばてつや賞大賞に輝いた新進気鋭の漫画家・伊奈子による同名コミック。「パラサイト不倫」といういまだかつてないジャンルを誕生させた衝撃作だ。アルバイト先のスーパーの店長と不倫している深愛が、店長家族の中に入り込み、妻や息子の心にパラサイト。店長一家を泥濘へと引きずり込んでいく。
不倫相手・那須川店長(吉沢悠)の一人息子・ハルキ(桜井海音)に不倫バレした深愛は、ハルキを高台に誘って一緒におやつを食べる。そこで深愛は「変なものが入っているから」という理由で毒母・美幸(筒井真理子)から買い食いなどを禁止されている実情を明かす。そして深愛に想いを寄せるハルキから高校時代の思い出を問われると、知られざる過去を打ち明ける。
両親共に毒親であった深愛は、虐待を受け自尊心を削られる日々の中で、同じ高校に通う男子生徒から誘われて駆け落ちを企てていた。しかしその情報を掴んだ男子生徒の母親から阻止され、未遂に終わる。男子生徒とその母親は深愛の家を訪れて両親の前で謝罪するが、深愛の毒父は「うちのバカ娘が誘惑したのが悪い!早く謝れ、このバカが!」と深愛を一方的に断罪し、謝罪をさせるのだった。
そんな悲劇的な過去を回想する深愛は「私、あまりいい子じゃなかったから。お父さんとお母さんを裏切ったりして…。大事になっちゃって。高校受験もダメだったし」と自尊心の低さゆえに自分を責め続ける。予想外にヘビーな過去を引き出してしまったハルキは、「なんかすみません…嫌なことを思い出させてしまって…」と絶句するしかなかった。
第1話で毒母・美幸が深愛に向けて放った「あんたが高校の時に男と家出してから、あんたへの信頼とか期待とか?どーでもよくなっちゃったのよねえ」という小言にあった「家出」とはこのことだった。見事な伏線回収。そしていまだに毒母・美幸から買い食いを禁止されているという、怖すぎる支配構造も明かされた。美幸の目に怯え、大人になった今も好きなものを隠れて食べるという深愛の悲しき心理状態。“パラサイト不倫”というイビツな恋愛スタイルは、この歪んだ家庭環境によってバグった自己肯定感から生まれざるを得なかったものなのだろう。