刑務所の受刑者が作る、いわゆる“刑務所発“の商品がヒットしている。その背景には何があり、受刑者にどのような影響を与えているのか? テレビ朝日社会部司法担当 岩下耀司記者に話を聞いた。
【映像】刑務所でしか作れない! 爆売れ石鹸「ブルースティック」
━━受刑者が作る商品はどれほどの人気なのか?
10月に行われた「矯正展」では土砂降りの中、「横浜刑務所で作ったパスタ」などを求めて 20~30人の大行列ができ、購入制限を設けられた。洗濯石鹸「ブルースティック」にいたっては、ものの数十分で完売した。ブルースティックは昔からの人気商品で知名度もあるためリピーターが多く、特に子どもの上靴、赤ちゃんの前掛け、Yシャツの襟などしつこい汚れに使う方が多い。
パスタは4月発売の新商品だが、元々横浜刑務所は乾麺(細うどん)が人気であるため、「横浜刑務所が作ったパスタなら絶対美味しいはずだ」と注目度や期待値が高かった。横浜刑務所の向かいにある販売所では一般客だけではなく、刑務所に務める刑務官も乾麺を購入していた。
━━なぜメイドイン刑務所の商品が人気なのか?
質のいいものが安く購入できるからだ。刑務所での製造は一定の人件費がかかる民間企業と比べコストを抑えられる上に原材料もきっちり選んでいる。売上が目的ではなく矯正協会から必要な数を受けて生産する方式であること、機械も導入しつつも受刑者が丁寧に手作業で行う工程が多いことも質を高めることに貢献しているようだ。
また、人気のパスタについて横浜刑務所の小山田勝作業専門官が「粉に与える水分量、麺自体の厚みなどを一から手探りで少しずつ改善した」と語っているように、開発過程にも相当の創意工夫がされている。
━━売り上げはどうなるのか?
商品を作る原材料の購入費や犯罪被害者支援団体の活動支援の助成金に使われる。つまり、購入することで受刑者の社会復帰、被害に遭われた方への支援にもつながるのだ。
━━自らが作った商品がヒットしたことは受刑者に影響を及ぼしているか?
インタビューをしたある受刑者は生き生きとした目で「自分の作った商品で社会との繋がりを感じられた」「感謝の手紙もらった。自分も人に感謝されるような仕事に就きたい」などと話してくれた。
(ABEMA/倍速ニュース)