「頭蓋骨が開いてた。もう死ぬんだなと」クマ被害者を独自取材 頭は30針以上の怪我、耳たぶを噛みちぎられ、あと5mmで失明の恐れも…被害者が語った「恐怖の瞬間」
【映像】「頭は30針以上」クマ被害 発生直後の写真
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 クマの被害が全国各地でとまらない。クマと遭遇したら、どんなことが起こるのか。被害者に襲撃時のリアルな様子を聞いた。
 
【映像】「頭は30針以上」クマ被害 発生直後の写真
 
 取材で向かったのは、クマ出没が頻繁に伝えられる、秋田県北秋田市。取材に訪れたのは11月17日金曜日の昼だったが、駅前の通りには、人が歩いていなかった。クマを警戒してか、町を歩く人はほとんど見られない。

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 道の駅「たかのす・大太鼓の里」を訪れると、クマを見たことがあるという、地元に住む主婦に出会った。「1回見た、小学校のプールの脇で。警察に言われている『歩くな』って。怖い、今年は」と主婦は語る。また、地元の農家も「今年はさらに多い。普通にいつも見てるから、そう慌てるものじゃない」と明かす。また近くの養鶏場では、約30羽の比内鶏が襲われるという被害も。15年飼っているがクマに襲われたのは初めてだという。

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 クマに襲われ、九死に一生を得た男性にも話を聞くことができた。大正10年(1921年)創業で、秋田銘菓「バター餅」で知られる老舗菓子店「鷹松堂」の3代目、湊屋啓二さん(66)だ。10月19日、この地域で5人が立て続けに、クマに襲われた。被害から1カ月がたつも、湊屋さんには痛々しい傷跡が残る。

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「(頭の)真ん中が引っ込んでいる。たぶん噛まれて、皮持っていかれたんだと思う。あと『耳痛いな』と思って、(耳たぶが)ないでしょ。噛みちぎられた。もう死ぬんだなと……」(湊屋啓二さん)
 
 被害の一部始終を明かしてもらった。10月19日午前6時過ぎから、「バター餅」を切る作業をしていた湊屋さんは、奥の庭から若い女性が叫び声をあげ、走って行くのを見かける。外に出ると白い車が止まっていて、運転手の男性から「クマです」と伝えられた。

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「『えー、クマ?』と、びっくり。今までずっとここに住んでいるが、クマなんてこんなところに来たことも見たこともない」(湊屋啓二さん)

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 6時40分ごろ、83歳と81歳の女性2人が頭などを襲われ、うち1人は右肩を骨折した。7時ごろには、近くのバス停で82歳の女性が頭や背中などをひっかかれ、16歳の女子高校生が左腕を噛まれた。
 湊屋さんは10時30分ごろ、騒ぎを聞きつけたメディアの取材を受けていたが、11時20分ごろに自身もクマに襲われた。場所は自宅の敷地にあるはなれの建物だった。シャッターを開けると、「ここにいた。目があった」。体長約150cm、体重100kg(推定)のクマと、わずか1.5mの距離に近づいていた。
 とっさに逃げようとしたが、クマは猛スピードで追いかけてきた。湊屋さんは「手で防いでいたんだけど、耳噛まれて。やられている時は、もう死ぬかと思った」と振り返る。
 
「一瞬攻撃が止まって、その瞬間、反射的に立ち上がって、全速力で自宅に逃げてきた。クマはそこ(入口)まで追ってきた。寸前のところで戸を閉めて、ドアを押さえていたら、ウロウロしてどこかへ行った。鏡を見たら、頭蓋骨が開いていた」

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 湊屋さんは正午ごろ、ドクターヘリで秋田市内の病院へ搬送され、一命を取り留めた。頭は30針以上の医療用ホチキスで留められ、右の耳たぶは噛みちぎられた。背中や脇腹、ももの付け根は鋭い爪で引っかかれ、目はあと5mmずれていたら、失明のおそれもあったという。1カ月以上たった今も、目のかすみや貧血(立ちくらみ)、少量の出血などの後遺症があるという。
 秋田大学医学部附属病院の土田英臣医師は、「完治はなかなか難しい。(クマ被害者の)9割以上の方が顔面の怪我で来ているので。クマの習性で、弱点である顔面を本能的に知っていて狙っているのだと思う。交通事故とか高所からの転落と同じような外傷」と説明した。
 
(『ABEMA的ニュースショー』より)

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