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 政治的なスタンスを表す“右・左”という言葉。一般的に右は保守とも言われ、わかりやすい例が右翼。伝統や習慣を重んじ、従来の制度を尊重している。一方、左はリベラルと言われ、理想の実現を重視し、自由と平等を唱える人たち。

【映像】牛田氏「きれいごと言ってる」、宇佐美氏「きれいごとって何、答えて!」 激論

 リベラルは1960年、70年代に盛り上がりを見せたが、今は下火ぎみ。2012年以降続く保守・自民党の一強時代で、劣勢を強いられている。

 2015年に安倍政権を批判し日本を席巻した、学生団体「SEALDs」。彼らも1年ほどですぐに解散したが、4日の『ABEMAPrime』では中心メンバーだった牛田悦正氏を招き、なぜ今リベラルが弱いのか、声をあげることで何が生まれるのかを議論した。

■牛田氏「普通におかしいことを主張してもいろいろ言われる」、宇佐美氏「“ロマン”はすばらしいけど、俺らは現実を生きる」

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 現在は哲学研究者・YouTuberの牛田氏は「自民党に投票している有権者は全体の20%しかいないのに勝っているというのは、システムがおかしい。一方、野党もバラバラで勝てないので、まとまろうよと野党共闘を呼びかけた団体だ。学生だからできるというのもあり、あらかじめ期限付きで考えていた」「安保関連法案に反対した団体として紹介されるが、たまたま来た波に乗っただけ。法案は通ってしまったが、野党共闘という意味では達成したと思っている」とSEALDsについて説明。当時の勢いは「間違いなくあった」と振り返る。

 いわゆる“左”になった経緯については、「大学に入って真剣に勉強していくと、社会構造などがわかってくる。社会や国を良くしたいという気持ちからボランティアなどもやっていたが、ちょっと足りないなと思った。その構造を見るようになってから左的な発想になっていった」。

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 周囲は冷たい反応だったというが、「変な目で見られて、“あいつはおかしくなった”みたいに言われた。ただ、運動が大きくなるにつれて“君もデモにいるんだね”と、どんどん広がっていったのは事実だ」と述べた。

 元経産省キャリア官僚、制度アナリストの宇佐美典也氏は「SEALDsを当時どう見ていたかというと、“なぜそんな貧乏くじを引きに行くのかな?”と。世の中には“右と左”と、“親米と反米”があって、反米に近くなると失敗する。結局、日米安保があって、うまくやっていくために安倍政権は親米に向かっていたからだ。憲法第9条で軍を持っちゃいけないのに軍事的な役割を拡大しようという、憲法と日米安保の矛盾は常にあるんだけど、それを言った人は誰も得をしない」と指摘する。

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 牛田氏は“貧乏くじ”には賛同した上で、「安保関連法案は憲法をぶち壊す内容だ。この国のルールを壊しておいて、“それは普通におかしいじゃん”と主張してもいろいろ言われる」と当時の状況を説明。

 これに宇佐美氏は「世の中の9割は“おかしいけどしょうがないよね”と、安保関連法案には納得している」「現状の大きな流れの中で、僕らは自分ができる範囲のことをやろうと思っているにすぎない。それを覆そうというロマンはすばらしいと思うけど、俺らは現実を生きる」と返した。

 コラムニストの河崎環氏は「結局、野党にもう一度政権を取らせることについて、国民が同意しなかったということだろう。2009年以降学んだのは、野党は批判することはできても、政権与党になることができないこと。自民党は右から左までものすごくバラエティがあるわけだ。政権の中に入って、実際に動かせる人たちまず任せておこうということで、自民党を選んだのだと思う」との見方を示した。

■保守とリベラル、どうすれば議論できる?

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 過熱するリベラルのネット運動について、牛田氏は「単純にSNSのハッシュタグデモは効果があるとわかっているので、それはやったらいいと思う」とコメント。リベラル系政党の現状については「立憲民主党もどうしようもないし、ちゃんとしてくれという感じ」と嘆いた。

 リベラルの主張は時に「理想論」と言われてしまうことについてはどのように考えているのか。「右も左も関係なく、“日本を良くしていきましょう”という議論が僕はしたい。しかし、それ以前の段階で、この国の行政府が解釈改憲という形で、一番重要なルールである憲法に見合わないような法案を作った。そもそも土台からおかしい。法案を通したいのだったら憲法を変えればいいが、その手順を踏んでいないのが自民党だ」との考えを述べる。

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 河崎氏は「私は育ちからしてものすごくリベラル。“自分が保守だ”と言ったことは1回もなく、中道左派だと思っている。それに対して、“保守だ、右だ”というラベリングをされてしまうことのほうが問題だと思った。いろんな人も政治家も右から左まで様々なグラデーションがあるはずが、“右だ”で終わってしまうのは納得いかない。こういう議論になってしまうことが、理解合えない原因ではないか」と問題提起。

 これに牛田氏は「僕は左と自称したことはない。戦後70年以上続いてきた、生まれた国の憲法の体制が破壊され、どんどん変わっていこうとしている。緊急事態条項の自民党改憲草案はそうなっているが、これを壊されたくないという意味では保守のつもりだ」と述べた。

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 ライターの中川淳一郎氏は「命を盾にすれば、極右も極左も仲良くする。コロナの時に、自民党が“緊急事態宣言を出して人の移動を制限しろ”と言ったら、野党は“それでは生ぬるい。ロックダウンしろ”と。両方が“人に自由を与えるな”というところで一致した。右も左もまとまれる」との持論を展開した。(『ABEMAPrime』より)

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