日向坂46の齊藤京子がパラサイト不倫女を怪演する、テレビ朝日系連続ドラマ『泥濘の食卓』。ついに迎えた最終回で、深愛(齊藤)が毒母・美幸(筒井真理子)に独立宣言をする。これまで恐怖で抑え込んできた娘のまさかの抵抗。激怒を交えた毒母のパニックぶりがリアルすぎて怖い。
ドラマの原作は、2016年に『悪い夢だといいのにな』で第75回ちばてつや賞大賞に輝いた新進気鋭の漫画家・伊奈子による同名コミック。アルバイト先のスーパーの店長と不倫している深愛(齊藤)が、店長家族の中に入り込み、妻や息子の心にパラサイト。店長一家を泥濘へと引きずり込んでいく。「パラサイト不倫」といういまだかつてないジャンルを誕生させた衝撃作だ。
那須川店長(吉沢悠)との関係を毒母・美幸に白状した深愛は、どんな人かを確かめると言う美幸に無理やりスーパーに連れ出される。深愛が恐怖に震える中、名札を見て那須川店長を見つけ出した美幸は、明らかに大きく年の離れた那須川に愕然。挨拶だけしてその場を去ったものの、自宅に戻ると「私は許さない!」と深愛を部屋に軟禁する。
美幸の監視が以前にも増して厳しくなった深愛は外出することも許されず、家にこもる日々を送り、自問自答。そんな中、美幸から晩御飯のリクエストを聞かれた深愛が「私?私の好きなもの?…唐揚げ」と、勇気を出して本音を告げると、美幸は「か、唐揚げ?あれ?私、え?出したことあるかしら?」と、深愛の意外な回答と、思いつめたような雰囲気から何かを察する。
すると深愛は「お母さんの作ってくれるご飯、大好きだよ。でもね、私、お肉とか揚げ物が好きだったかも。お母さんが悪いとかじゃない。本当に感謝しているの。私もう肉じゃが作れるんだよ?もきんぴらも。私これからは自分で食べたいものは自分で作ろうと思うんだ。お母さんはお母さんの好きなものだけをこれからは作って食べてほしい」と涙ながらに訴え、箸を置き、席を立つ。
この独立宣言に、あくまでも娘を自分の支配下に置いておきたい美幸は動揺。「どこ行くの?無理よ?あんんたには無理!大きな病気もケガもしないで今日まで生きてこれたのはなんでだと思う?私がすっごく考えた栄養バランスのいいご飯を作ってるから。お風呂掃除してお湯を張って、明日着るもの用意して洗濯して働いて…」などと並べ立て、泣きながら「それがあんたにできるの?できないわよね?だってあんたは何も成し遂げたことないじゃない!受験だって就職活動だって、選んだ男の人だって…。何一つダメだったじゃない!あんたが動くと不幸にしかならないの!ね、だからずっとここでじっとしとけばいいの!」とパニックになったようにわめく。
だがこれまでとは違い、深愛は何かを払いのけるかのような表情で「私は…」と言葉を押し出し「不幸でもいい!」と美幸を振りほどく様に家を飛び出し、全力疾走。美幸も必死に追いかけるが、その距離は縮まるどころか引き離されるばかり。
覚悟を決めてひたすらに走る深愛の一方で、美幸は「深愛!」と絶叫連呼。しかしその声はもう深愛の耳には届かない。前進しようとする娘に対して容赦なく否定的な言葉ばかりをぶつける美幸の言いぐさは典型的毒親行動パターン。結果、娘から見捨てられる毒親末路。ドラマを超えたドキュメントのような瞬間を目撃してほしい。