食べ物をバットで打ち続けるYouTube動画「24時間打ちやすい食べ物生活」が話題となった。家は食べ物の残骸でぐちゃぐちゃだが、それ以上に荒れたのがコメント欄。「食べ物で遊ぶ人間が一番大嫌い」「人として最低だと思う」。
この動画を投稿したのは、登録者70万人超えのYouTuber「オセロ」。これまでにも食べ物を粗末にする動画を投稿し、非難の声が殺到。11月末にリーダーのなおキング氏が引退を宣言し、現在はメンバーのたくみなかう氏が1人で活動を継続中。なぜ食べ物を粗末にする動画を投稿するのか。オセロの2人を招き、『ABEMAPrime』で倫理観について考えた。
■「再生数が伸びて、知名度が上がればいい」
オセロのメンバーは元々4人いたが、収益の分配で揉め、今の2人になったという。食べ物を粗末にする動画を投稿した経緯について、なおキング氏は「YouTubeはジャンルを1つに絞るのがとてもいい。例えば、食べ物を食べるだけ、コント、ドッキリは毎回視聴者が見てくれる。その中で食べ物を粗末にする系に決めた」と説明。
10月からそうした動画の投稿を始め、「アンチがすごい増えた。小学生や中学生から、とんでもないことをたくさん言われた」と話すが、「僕は過去に炎上したことがあったので、そこに関しては受け止められる」と、たくみなかう氏は気にしていない。
チャンネル登録者数は減っているというが、なおキング氏は「気にしてない。再生数が伸びて、知名度が上がればいい」と振り切っている。たくみなかう氏も「結局、嫌いな人も僕らの動画を再生して、コメントまで打ってしまう。それを活かしてやっていければと思う」と話す。
■法律・YouTube規約上は問題ない?
食べ物を粗末に扱うことについて、モノリス法律事務所の河瀬季弁護士によると、「法律上もYouTubeのガイドライン上も問題はない」という。豚汁など食べ物を体にかけることは、「その人の安全を脅かすようだと判断されれば、本人が同意していたとしても、傷害罪やガイドライン違反に該当する可能性がある」としている。
なおキング氏は「海外で食べ物を粗末にするだけのチャンネルがあるが、登録者は1700万人いる。それがBANされず今も続いていて、収益も多分止まっていない。だから、僕らも絶対に大丈夫だと思う」との見方を示した。
たくみなかう氏は「もちろん食べ物を無駄にするのは良くない」と自覚した上で、「食べ物を作った人に関しても、僕らは対価を払っているから、そこで契約が終わっている。あとはどう使おうが、僕らの勝手ではないか」と主張。
一方で、多くのYouTuberが行っている「メントスコーラ」などの炎上はあまり目にしない。たくみなかう氏は「なぜそれは炎上しないのか。誕生日の顔面ケーキも一緒で、食べ物を無駄にしている。実験ならいいのかって話だ」と訴えた。
脳科学者の茂木健一郎氏は「この議論、僕はどちらかというと中立的だ。若者は有名になったり、お金を儲けたりしたい。その時に、YouTubeのアルゴリズムを利用するのは1つのイノベーションだ。趣味の内容ならまだいいけど、こういう方向で拡散されてしまうのは、やはりアルゴリズムの脆弱性、限界だと思う」と問題提起した。
■「普段は食べ物を粗末にしない」「身内以外に迷惑かけないのがモットー」
Youtube上では食べ物を粗末に扱っている2人だが、なおキング氏は「普段の僕らは本当に食べ物を粗末にしない」と話す。
NPO法人「あなたのいばしょ」理事長の大空幸星氏は「僕はそれを聞きたかった。戦略としてやり、ビジネスとして成り立っているのだったら、批判する権利は誰にもない。しかし、対象が例えば物から人へと、次につながるゲートウェイになっている可能性があるなら、社会的に議論する意義が生まれると思う。その辺りの“自分たちはここまでしかやらない”という線引きが明確にあるのか?」と質問を投げかけた。
これにたくみなかう氏は「身内以外に迷惑をかけないことをモットーにやっている。だから、こいつ(なおキング氏)の家でしか食べ物をバットで打たない」と答えつつ、「このやり方で未来はないと思うので、今の人気だけでいい。いいことをやって有名になれるなら僕らもそっちに行きたいが」と付け加えた。
なおキング氏は「無名から勝ち上がるには、ヒールキャラが必要。ドラゴンボールでいったら、フリーザみたいな感じだ。考えは変えず、このままYouTubeを楽しんでいきたい」とした。(「ABEMA Prime」より)
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