ビッグモーターの保険金不正請求問題で、創業者の長男、いわゆる2代目が実権を握り、取引先への圧力や従業員へのパワハラなどをしていた不祥事が次々と明らかに。これを受け、SNSではハッシュタグ「#2代目バカ社長」「#会社を潰す2代目」が続々と投稿されることになった。
【映像】ひろゆき氏「肩書きだけで実際は従業員」の辛辣コメントに二代目社長は
街でイメージを聞いてみると、「苦労せずに楽をしている」「人に対して丁寧ではない場合もある。“自分は誰かの息子だ”というのがさりげなく出てくる」「甘ったれ。ボンボン。親がすごいと子はすごくないもの。自分でどうにかする力がないと、2代目は務まらないと思う」とかなりマイナスな意見が多い。
イメージばかりが先行していないか。2代目社長とはいったいどんな人たちなのか。『ABEMA Prime』では当事者と、メンタリストのDaiGo氏とネット掲示板「2ちゃんねる」創設者のひろゆき氏を交え議論した。
■「先代社長の存在」「ベテラン社員との関係」 2代目社長ならではの苦悩
自動車修理会社、株式会社京南の2代目社長で、「2代目お坊ちゃん社長の会」代表理事の田澤孝雄氏。「後継者として入ってしまった後に、さまざまな事柄が漏れなく起きる。他の方には“贅沢な悩みじゃん”と見えてしまう部分もあるが、真剣に悩んでいる」と話す。
・先代社長にダメ出しされ面目丸つぶれ
株式会社高橋商店の高橋成紀社長は、継承後も先代からダメ出しされ、社員にも直接指示を出されてしまい、面目が丸つぶれだという。
「先代からの従業員と、私の代になってから採用した人がいて、どっちの言うことを聞いたらいいのかを聞かれることがある。オーナー系の企業は皆さん同じような悩みを抱えているのではないか」
折り合いをつけるため、高橋成紀氏は「1代目に譲る」そうだ。「代表権うんぬんの前に、大株主でもある。何か反論をした時、下手をしたらこっちが飛ばされてしまう」と述べる。
これにひろゆき氏は「2代目が決定権を持つために、“株を渡さないと社長にはならないし、この会社では働かない”という交渉をするべきだ。それができないなら入るべきではない。肩書きは社長かも知れないが、単なる従業員なのだと思う」と指摘。高橋成紀氏は「ある意味そうだと思う」と答えた。
・ベテラン社員に意見したことで逆境に
株式会社高橋の高橋秀仁社長は、入社して少し経った30歳の時、考え方が古いベテラン社員をキツめに指摘したところ、社員全員から無視されたほか、「後継者はアホボンだ」と陰口を叩かれた。
「やはり若くしてポジションが上になるので、全員通るものだと思う。僕は社長になって10年。辞めずにこの会社で頑張ってきて、従業員にも助けてもらった。大変だったが、今となっては良い経験だ」
会社に行けなくなるほど落ち込んだこともあるそうだが、「ボロボロになったところから、“なにくそ”と気合いを入れて戻った。ただ、その時にちゃんとした学びが必要だと思う。『経営』なので知識がないと勝てない」と語った。
・信頼関係を生かし業績UP
旭ハウジングの加藤吉廣社長は、売上を伸ばすことができているという。
「けっこう古くからある会社だが、わかりやすい商品を提示することに終始してきた。アパートの建築と管理を行っているのだが、そこにリフォームもセットでわかりやすい金額で提案する。お客さんは受け入れやすい、社員も説明しやすいという二段構えにすることによって、売上がそれなりに伸びたのだと思う」
社員に対しては、「自分なりに考えて、万人が許容できる範囲の変化をやってきたつもりだ。お客さんとの繋がりを活かすためにはどうしたらいいのか？というのは、普段から社員に口酸っぱく、繰り返し伝える努力はしている」と説明した。
■ひろゆき「つらいなら自分で会社作ればいい」、DaiGo「“比較”で人は不幸になる」
DaiGo氏は「人間が確実に不幸になる方法は、他人と比較すること。その時間を長くすればするほど不幸になる。2代目社長は常に先代と比較されるので、羨んでいるほとんどの人たちが同じ立場になったらメンタルが崩壊するだろう。2代目の立場はキツい」と指摘。
ひろゆき氏は「その苦悩を本当に味わいたくないのだったら、とっとと抜け出して自分で会社を作ればいい。その自信もないし、冒険心もない。親が作った会社で暮らして“俺はつらい”と言っていても、あまり同情できない」との考えを述べる。
これにDaiGo氏は「それは良い面も悪い面もある。京都の老舗菓子屋さんの友達とかに聞くと、会社の良さを息子にもわかってほしいから、大事なところだけは残して、それ以外は変えられるようにして次に、みたいに受け継いでいく大事さを持っている人もいる。全部捨てることが幸せになる場合とそうではない場合がある」と返した。
2代目お坊ちゃん社長の会では、「継：よく考えずに継ぐ、まずは飛び込む」「守：家業の型を理解する」「破：どこへ向かうかビジョンを立てる」「離：2代目の精神的・経済的な独立」を事業継承の理念にしているという。
田澤氏は「（先代を）うるさいなと思っていても、やはり甘えている部分は確かにある。ベースの上に乗っている自覚もある」とした上で、「この会で言っているのは、“自分の考えで経営しましょう”ということ」「親が亡くなる時が最も試される場面だ」と述べた。（『ABEMA Prime』より）
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