監督・深浦康市九段(51)のもとに集まった10人の九州男児。思いの強さで優勝を目指す。全国を8ブロックに分けた団体戦「ABEMA地域対抗戦 inspired by 羽生善治」で、九州(福岡・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島・沖縄)を率いる深浦九段は、少数精鋭の中から、さらにメンバーを絞り込んで大会に臨む。「よく顔を合わせるメンバー。その中から優勝を目指せるメンバーを考えているところです」と、熱い戦いに向けて思考を巡らせた。
将棋界を見渡せば、将棋会館がある東京・大阪が中心で、さらに近年では中部地域が大きな盛り上がりを見せている。九州出身者は、プロになるための奨励会に参加するだけでも一苦労。自宅からすぐに通えるところに住んでいた者から比べれば、長時間の行き帰りの中で、より「プロになる」という気持ちを強めたことも多かっただろう。
自分を含め10人がエントリーしたチーム九州だが、大会に出場する棋士4人を選ぶ前に行ったイベントでも、ファンから熱い思いを受け取った。「本当に多くの方に来ていただきました。すごく期待されている感じもしましたし、地元の方と棋士で盛り上がってくるのは本当にうれしいと改めて思った次第です」と、直接「頑張って」と伝えられたことで再度、期待を背負うプロとしての気持ちが高まった。
2023年の新語・流行語大賞では、将棋は指さないが見て楽しむ「観る将」がトップ10入り。かつてないほど将棋人気が高まっているところで「九州棋士、ここにあり」とでもいうように、この大会で活躍することには大きな意味がある。大会に出場登録が予想される棋士は、名人経験のある佐藤天彦九段(35)、深浦九段の弟子で2023年は2つのタイトル戦に登場した佐々木大地七段(28)らが有力視されるところ。人数は少ない分「チームワークで他の地域には負けていないと思います」と、がっちりと肩を組んで強豪チームと真正面からぶつかっていく。闘志溢れる深浦九段が、自ら先陣を切るような強襲作戦すらありそうな、そんな戦闘集団が完成する。
◆ABEMA地域対抗戦 inspired by 羽生善治 全国を8ブロックに分けた「地域チーム」によって競う団体戦。試合には監督とチームから選ばれた出場登録棋士の4人の計5人が参加可能。試合は5本先取の九番勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールール。試合は1試合以上出場する「先発棋士」と、チームが3敗してから途中交代できる「控え棋士」に分かれ、勝った棋士は次局にも出場する。先発棋士は1人目から順に3人目まで出場し、また1人目に戻る。途中交代し試合を離れた棋士の再出場は不可。大会は2つの予選リーグに4チームずつ分かれ、変則トーナメントで2勝すると本戦進出。ベスト4となる本戦は通常のトーナメント戦。
(ABEMA/将棋チャンネルより)