我々の生活に直結する2024年の「物価「給料」「金利」はどうなるのか?テレビ朝日経済部デスクの進藤潤耶氏に聞いた。
━━2023年12月に一度円高が進んだが、なぜか?
「金融、そしてお金の流れのカギは日本銀行が握っている。12月、植田総裁による『年末から来年にかけて一段とチャレンジングになる』という発言が『2023年の内にもマイナス金利が解除されるのではないか?』と捉えられ、円高が一気に5円も進んだ。マイナス金利解除の意図ではないと植田総裁は後ほど明確に否定しているが、発言一つで円高になるほど日銀の影響力は大きい」
━━そもそも「マイナス金利」とはどんな状態か?
「これは個人や会社ではなく、日銀と民間銀行の話だ。実は民間の銀行は日銀にお金を預けている。このお金の一部の金利をマイナスにすると『預けるだけでお金が減る』。結果、日銀に預けていた分のお金が民間企業への投資や融資に回り、経済が活性化されるという狙い。マイナス金利が解除されると、先ほどと反対に金利が上がり、円高方向に為替は振れやすい。こうなると海外旅行などは今よりはしやすくなるだろう」
━━今の日銀はどのような方針なのか?
「今の日銀は『大規模緩和策』、つまり金利を低く維持するとともに、お金をジャブジャブと市場に流して経済を活性化させる政策をとっている。この反対が『金融引き締め』という景気の加熱を抑制する政策であり、アメリカが選択している。
その結果、金利が低い円が売られて高いアメリカドルを買う『円安』が進んで輸入品の物価が上昇。資材もエネルギーも価格も上がっていくため、あらゆる物が値上がりする状況にもなった。ただ一方で、企業業績も回復しており賃上げの流れが見られる中、『2024年中にはマイナス金利政策が解除されるのではないか』と分析する市場関係者・専門家も少なくない」
━━マイナス金利が解除されると企業経営にどのような影響が出る?
「マイナス金利が解除されると金利が上がる。すると企業の資金調達コスト(借り入れ際の利払い)が増え、『投資は控えようか』という心理になる。とはいえ、一気に金利が上がると経済が急速に冷え込むため、タイミングとバランスを見るのではと言われている。つまり、金融緩和にも金融引き締めにもそれぞれメリット・デメリットがあるのだ」
━━マイナス金利の解除はいつ頃になりそうか?
「もちろん、明確にはわからない。だが、3月の春闘で大手企業の賃上げ、その後の中小企業の動きを見て、『賃金も物価も上がる』と日銀が確信すれば4月の金融政策決定会で解除されるかもしれない。もちろん、まだまだ解除されないと予想する人も、反対に『いつ解除されてもおかしくない』と話すメガバンクの幹部もいる」
(ABEMA︎ NEWS)