下げ止まらない内閣支持率、大きな不信を生んだ政治資金問題…。
【映像】「石破氏は党内人気がなく、小泉氏は嫉妬され…」党内のホンネは?
2023年は政治関連のニュースが盛りだくさんであったが、2024年はどうなるのか? テレビ朝日政治部官邸キャップ 千々岩森生記者に話を聞いた。
■内閣支持率で振り返る23年
━━岸田内閣の支持率の推移(ANN世論調査)を見ると、2023年の春頃に上昇しその後急激に下降しているが何が要因か?
「去年の3月には岸田総理のウクライナ訪問、日韓関係の改善もあった。5月にはG7広島サミットでは核なき世界を訴えたことで支持率は大幅に上昇した。だがこの後、“三番底”が待ち受けていた」
「一番目の底は5〜6月には岸田総理の長男の翔太郎秘書官更迭、マイナ保険証のトラブル続出だ。さらに、10〜11月には定額減税を掲げるも『人気取りのためでは』『選挙目当てじゃないか』と批判が集中加えて3人の副大臣・政務官が辞める“辞任ドミノ”が起きた。最後の底は12月における派閥の政治資金の問題だ」
■24年に待ち受ける“苦難の連続”
━━2024年の政治日程は?
「まず、1月に通常国会が開会するが岸田政権が無事にここに辿り着けるか、という問題がある。なぜなら、派閥の政治資金に関する捜査でどこまで政治家の立件が広がるか、政権に及ぼす影響は計り知れないからだ。
続いて2月から3月にかけては予算委員会が開かれるが、ここでも野党から政治資金問題と再発防止策について追求されるという“ヒリヒリする国会”が待っている」
━━9月には自民党総裁の任期満了となるが、“ここまで岸田政権がもたない”可能性はあるか?
「2割ほどだがあると思われる。そのカギは特捜部が握っている」
━━“安倍派一掃”によって党内基盤は不安定にならないのか?
「最大派閥である安倍派が離れることで数の面ではもちろん、“保守・タカ派”からの支持を失う恐れもあり、選挙に影響する可能性がある」
■“ポスト岸田”はどうなる?
━━苦しい状況の中で、岸田総理が自ら白旗を上げて総理大臣を辞める可能性はないのか?
「意外に思われるかもしれないが、総理大臣は『支持率が低いことが原因』で辞めるわけではない。支持率が低いからではなく、『すぐ近くに選挙が控えていて、支持率が低いあなたでは戦えない』と突き上げをくらい辞めざるを得なくなるという構図だ。岸田総理は、直近で選挙を抱えていない。そのため、9月の自民党総裁選まで続く可能性が、今のところ高いと見ている」
━━「自民党内で次の総理は誰がいい?」というANN世論調査では石破茂氏(23%)、小泉進次郎氏(19%)、河野太郎氏(11%)、高市早苗氏(7%)、上川陽子氏(6%)、菅義偉氏(4%)、岸田総理(3%)となっているが「党内」での人気はどうか?
「世論調査では人気だが自民党内において石破氏は『結局文句を言ってるだけじゃないの?』などと人気がない。小泉氏は能力もリーダーシップもあるが『あいつ若いくせに』などと嫉妬されがちだ。河野氏は“壊し屋”のイメージがあり『ついていけない』という人も多い。
一方で上川外務大臣は『女性初の総理大臣になるかもしれない』という声が自民党の中でもかなり高まってきている。高市氏も期待を集めているが、どちらかというと保守層に偏った人気だ」
━━菅元総理はどうか?
「菅氏は元々、裏でガバナンスをきかせて組織を束ねていくタイプ。実は、小泉氏、河野氏を裏で支えているのが菅氏だ。菅氏がキングメーカーとしてこれから誰を担ぐのかが、9月の総裁選に向けては非常に大きなポイントになると思われる」
━━その他に自民党内含注目されている人物は?
「茂木幹事長や林官房長官が主役になるのでは、と予想されている。ただ、どちらも知名度はあるが人気という観点ではまだ上がってきていない」
━━9月の総裁選はどうなるか?
「岸田総理の再選もまだ残っている。いずれにせよ、誰が勝ったとしても直後に解散総選挙に打って出るだろう。9月の自民党総裁選は『選挙で勝てる人』を選ぶ選挙になる」
━━野党の巻き返しは?
「実は最新の世論調査では、政党支持率で自民党が野党を圧倒している(去年12月・ANN世論調査)。1位が自民党で37.1%、2位の立憲民主党(9.9%)とは大きな差がある。かつて、自民党が政権を失った麻生政権を見ても、民主党が政権を失った野田政権にしても、選挙直前には野党の方が支持率が高かった。自民党には『9月の総裁選で人気のある顔を選び一気に解散する』という強力なカードがまだ残っており、それゆえ本当の危機感は広がっていない側面もある」
(ABEMA NEWS)