8日、吉本興業は性暴力疑惑が報じられたダウンタウン松本人志の活動休止を発表。本人から様々な記事と対峙して裁判に注力したい、という申入れがあったとしている。
『ABEMA Prime』では、番組MCを務める同じ事務所の田村淳などと議論した。(放送時点では、松本さんはワイドナショーに出演する予定でした)
田村淳:報道があった時から、この件についてはずっと同じ意見を言っている。被害を訴えている方と、松本さんの意見が真っ向から対立している。裁判をする・しないもあるけれど、事実関係が明らかにならない限り、僕はコメントできない。被害に遭われた方からすれば、事実であればとても許しがたい行為だけど、事実ではないとしたら、松本さんの名誉やキャリアを奪うことになる。どこかで白黒はっきるつける場所、それが裁判なのか分からないけど、その経緯を見守らないとコメントはできないと言ってきた。一方で、ワイドナショーの出演に関しては疑問を感じた。松本さんが「とうとう出たね」と、投稿したところからモヤモヤしている。ワイドナショーはそもそも松本さんがやっていた番組で、いわばホーム的な場所。自分に有利に働く場所でコメントすることはあまり意味がないんじゃないかと思ったので、僕はツイートした。また同時に、被害に遭われた方が本当にやっとの思いで言えたのであれば、ここにも耳を傾け続けなければいけないなと思っている。僕に今できることは、ワイドナショーでコメントすることはやらないほうがいいんじゃないか、記者会見を開くべきなんじゃないか、っていうツイートが精一杯だった。
河崎環(コラムニスト):1月5日に松本さんがXで“とうとう出たね”と口を開いた。そして、飲み会の後に“どうもありがとうございました”と完全に迎合しているやり取りがあったLINE画面を投稿して、合意があったと言わんばかりのアピールをなさったことが、私は無理だと思った。あれを合意のしるしだと思うのか?合意があればしてもいいのか?そこに疑問を持たなかったのだと思う。謝罪もないし、反省もない。私たちがずっと追いかけ、賛美し、憧れたお笑いの世界はこれだったのか、みたいな大きな失望があった。
市原えつこ(メディアアーティスト):お礼のメッセージは、合意の根拠にはならない。ハラスメントというのは、相手が何も言えない、抵抗できない、反論できない場を選んで行われる。目上の人と会った時のマナーとして、会の後には“お時間とっていただきありがとうございました”と、社会人として書かなくてはいけないという圧力はある。8年前の出来事ということだが、当時は言えなかったけど、時代とともに潮目が変わるとか、相手や自分の立場が変わる。そうした長期的な目線で、“デスノート”を書いている人はいるだろう。“今なら言える“という告発はあり得ることだと思う。
田中萌(テレビ朝日アナウンサー):性加害が仮に事実だとしたら、8年前だからとかそういうのは絶対通用しない。また、最初は大きく報じられるが、結論が出た時にはそこまでの熱量を持って報じられない。メディアは最初だけではなく、経緯を追い続けて、最後の結果も同じような熱量で伝えなくてはいけないと思う。
佐々木俊尚(作家・ジャーナリスト):淳さんもおっしゃったように、現状では一方的な雑誌の報道でしかなく、吉本ならびに松本さんは全面否定で、争おうとしているので、軽々しくは言えない。ただ、LINEのやり取りの画面とともに“とうとう出たね”と。それがやっていない証拠だと思い込んでいるかもしれないが、性被害の事件では事後にああいう形で加害者に迎合してしまうというのが、幾多の事件でさんざん報告されている。そういう知識もないまま、報道・情報番組にやられていたのかと思うと残念。松本さんには厳しい話だと思わざるを得ない。また、ワイドナショー出演に関しては、テレビは公正を求められるので、バランスを取らなくてはいけない。でも、この性被害のケースで女性が番組に出演するのは、二次被害になってしまうのであり得ない。そして、文春の記者も出るかというと難しいだろう。松本さんはYouTubeなどで経緯を喋り、それに人々がなんらかの反応をするという形がいいのではないか。
仁科健吾(テレビ朝日アナウンサー):弁護士の見立てとして、民事裁判では1年~2年、最高裁までいけば4年かかる、と。松本さんが勝訴した場合の損害賠償金は数千万円もあり得るという。また、自分から休業の選択をして、裁判中は働けないことを理由に損害賠償を請求するというケースもあるという。
田村:僕は事実無根と言っているエリアがどこなのかがよく分からない。吉本の事実無根と言っているエリアと、松本さんが事実無根と言っているエリアは、どこのことを指しているのか?「とうとう出たね」っていうLINEをしたことで、飲み会があったことは事実じゃないか。そこから先の性行為が同意・不同意であったか否か。それに松本さんが女性に対して投げかけたいろんな言葉、「俺の子を産まないか」みたいなことを含めて、それが事実か事実じゃないかということを、真実を知るためには今のところ裁判しかないと思っている。でも、個人的には記者会見でも答えて欲しいと思う。会見にはデメリットもある。動画を撮られて、各メディアが好きなところを切り取って、意図しないところを投げかけられるというところを、松本さんが避けているのかどうか。でも、そのことを知る術がない。松本さんが、ワイドナショーのどの収録回に来るか分からないが、もし来られることがあったら、僕はYouTubeで誰にも編集されない状況のものを生配信して、アーカイブを残すほうが、松本さんの想いがきちんと伝わるんじゃないか?と伝えたいと思う。
(『ABEMA Prime』より)
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