韓国で社会現象級のヒットを記録したサスペンスドラマ「ペントハウス」シーズン1が、ABEMAで配信中だ。
2020年より放送され、シーズン1から3までが展開された「ペントハウス」。シリーズ総額で約32億円もの費用をかけて制作され、壮大なスケールの中でスリリングな展開が次々に描かれる。韓国では瞬間最高視聴率31.1%を記録し、出演した俳優たちはSBS演技大賞、百想芸術大賞などのアワードを続々受賞。シリーズ2、3は計30冠に輝き、大きな注目を浴びた。
物語の舞台となるのは、トップクラスのセレブたちが暮らす超高層マンション・ヘラパレス。ソプラノ歌手、医師、弁護士、建設会社代表などさまざまな富裕層が暮らし、誰もが成功した人生を歩んでいるように思えたが、その裏にはさまざまな秘密と愛憎が渦巻いていた。
物語の始まりはとてもショッキングだ。花火が打ち上がる豪勢なパーティーがヘラパレスで行われる中、ある女性がドレスをまとい、最上階からエレベーターを降りていく。すると彼女の視線の先には、転落していく少女の姿が……。この少女は誰なのか、そしてなぜこのような悲劇が起こってしまったのか。序盤の7話まででは、この事件の2か月前に遡り、ここに至るまでに積み上げられてきたドラマが丁寧に描かれていく。登場人物が多く、全体像を把握するのに最初は苦労するかもしれないが、人物相関図などを参照しながら、まずはここまで視聴を進めてみてほしい。
物語のテーマは韓国の格差社会、そして欲望。こう書くとよくあるドラマのようにも思えるが、「ペントハウス」は具材を全部乗せたラーメンのように、プライドや裏切り、夢、復讐、不倫、暴力、出生の秘密など、韓国ドラマ名物の要素が圧倒的な密度で詰め込まれている。怒りに身を任せて暴れたり、少年少女にも残酷な振る舞いを見せたり、すぐに取っ組み合いが始まったりと、登場人物に共感できる瞬間は正直少なく、非現実的で“ぶっ飛んだ”展開のオンパレードなのだが、そんな世界に浸れるのもフィクションならでは。ジェットコースターのように目まぐるしい展開から、気づけば目が離せなくなってしまうだろう。
中でもキーとなるのは3人の女性だ。ヘラパレスの85階に住むソプラノ歌手チョン・ソジン役を演じるのは、「IRIS-アイリス-」のキム・ソヨン。役にぴったりなゴージャスな雰囲気でドレスを着こなす姿はとても美しいが、その中に潜むソジンの冷酷さや過激な行動には、息を呑む瞬間も多い。
また「製パン王キム・タック」のユジンはシングルマザーのオ・ユニ役を体当たりで務め、声楽の道へ進む夢を持つ娘のため、危険を顧みず上流階級に立ち向かっていく。そしてヘラパレス最上階に住む財閥令嬢のシム・スリョン役を、「マイ・ディア・ミスター〜私のおじさん〜」のイ・ジア。儚げなムードを帯びた上品な女性が、ある事件をきっかけに復讐の道に足を踏み入れていくさまを繊細に演じ切った。
このほか陰で残忍な行いを繰り返すスリョンの夫チュ・ダンテ役では「被告人」のオム・ギジュンが見事にヒールに徹し、ユン・ジョンフン、シン・ウンギョンなども出演。名優たちの演技合戦も見ものだ。
(C)SBS
『ペントハウス』シーズン1はABEMAにて全話配信中。1話から3話までは無料公開されている。