韓国で食用を目的とした犬の飼育・販売などを禁止する法案が国会で可決された。韓国における「犬食」の実情について、会食などで自らも口にした経験もあるというANNソウル支局 井上敦支局長に話を聞いた。
━━犬食禁止特別法はどのようなものなのか?
「9日に韓国の国会で圧倒的多数の賛成で可決されたこの法案は、食用の目的で犬を飼育・処分・流通・販売をする行為を禁止している。3年の猶予期間が過ぎた後の罰則は、3年以下の懲役、または3000万ウォン(330万円)以下の罰金となっている」
━━そもそも韓国において「犬食」とはどのようなものなのか?
「伝統食という位置付けで、韓国メディアによると全国におよそ1100の業者と1600の犬肉料理店があるという。日本おけるウナギのように、夏の暑い時期に食べて暑さを乗り切る、そんな健康食・滋養強壮食・スタミナ食という位置づけ。どちらかというと年配の方が好んで食べている。一方で、『過去1年で犬肉を食べたことがあるか?』という調査に対して9割以上の人が『食べたことがない』と回答している。食文化・伝統食として長く続いてきたものだが、近年では犬をペットとして飼っている人、人生のパートナーとして考える人も増えてきたため、この文化はだんだんと下火になってきている」
━━韓国での食べ方はどのようなものか?
「韓国では主に鍋で食べる。昔は犬の味噌の鍋という意味の『ケジャンク』という呼び方をしていたが、最近は『犬』という直接的な言葉は避け、補身湯(ポシンタン)・栄養湯(ヨンヤンタン)などとオブラートに包んだ呼び方をしている」
━━9割以上の人が食べない、とのことだが反対に好物だという人もいるのか?
「『9割以上の人が食べたことがない・食べるつもりはない』と答える中でも、1600もの犬肉料理店があるのは一部の熱狂的なファンが存在するから。日本でクジラなどを食べる人がいるように、犬肉が好きだという人とともに、犬肉を食べることを伝統食・食文化として肯定的に捉えている人もいる」
━━韓国の人々は今回の法案をどのように受け止めているのか?
「実際に街頭インタビューを実施したわけではないが、先ほど紹介した調査結果の通り『9割以上の人が食べない』という数字から考えると肯定的な意見の人が多いと思われる。一方で、私に会食で犬を食べさせた知り合いや、犬肉が好物だというような人たちは、『禁止になったら中国やベトナムに行って食べなければ…』と話していた」
(ABEMA/倍速ニュース)