異才・鈴木おさむ引退前最後の地上波連ドラ『離婚しない男―サレ夫と悪嫁(およめ)の騙し愛―』(テレビ朝日系土曜夜11:30)で、不倫妻を演じる元AKB48の篠田麻里子。不倫相手の小池徹平を相手にした変態プレイの数々も度肝を抜くが、夫・伊藤淳史に対する塩対応の凄まじさは“悪妻”そのもの。視聴者も衝撃を受けている。
妻の不貞現場を目撃した大手新聞社の社会部エース記者・岡谷渉(伊藤淳史)が、愛娘の親権を得るために父親の親権獲得率わずか1割の壁に挑むサレ夫逆襲ブラックコメディ。漫画家・大竹玲二による人気コミック「離婚しない男」をベースに、今年3月限りで放送作家業と文筆業から引退する鈴木が、最後の地上波ドラマとして放送コードギリギリの攻めた表現とテンションで唯一無二の不倫劇を描く。
幼い愛娘・心寧が通う芸能事務所のチーフマネージャー・司馬マサト(小池徹平)にゾッコン不倫中の綾香(篠田麻里子)。渉に対する愛情はもはや皆無なのか、日常生活の中に多種多様な嫌がらせを散りばめる。
夫・渉用の朝食にふるまうのは、ホットドック用のパンにソーセージではなく、一本の太いキュウリを挟んだベジタリアンもビックリの拷問メシ。その悪態は親族へも向き、渉のシェフの父親が作って持って来てくれた料理を「味が濃い。娘には体にいいものを食べさせたい」とシンクにぶちまけたりする。
さらに不倫中の自分を棚に上げて、在宅ワークに切り替えた渉に「昼間に浮気してる相手でもいるの?」と発言したり、出かける二人を玄関まで見送りに来た渉に冷めた視線を送ったり。夫に対するリスペクトゼロの高圧的態度のオンパレードには、サレ夫・渉同様に視聴者も怒り心頭だろう。
しかし悪の存在が際立てば際立つほど、それに立ち向かう者に対するエールを送りたくなるというもの。親権獲得のために水面下で孤軍奮闘する渉に共感を抱けるのは、神7とは思えぬ塩対応ぶりをリアルに演じる篠田の熱演あってこそ。あえて嫌われ役を買って出た篠田の新境地を見守りたい。