ひたすらに打つべし!レジェンド羽生善治九段、同じ場所に4度も歩を打つレア手順 解説棋士も「これは珍しい」/将棋・ABEMA地域対抗戦
【映像】解説者が驚くほど繰り返された▲3三歩

 急所と見たら、徹底的に打つべし!日本全国を8つのブロックに分けた団体戦で行われる「ABEMA地域対抗戦 inspired by 羽生善治」の予選Aリーグ第1試合、関東A対関西Aが1月20日に放送された。この試合では関東Aの監督・羽生善治九段(53)が2人目として登場し4連勝を飾るなど大活躍したが、第6局では同じ地点に歩を4度も打つというレアな手順で、解説の棋士からも「これは珍しい」という声が出た。

【映像】解説者が驚くほど繰り返された▲3三歩

 羽生九段は、日本将棋連盟会長として「将棋での地域活性化」を目指しており、今回生まれた新大会への意気込みも強いもの。まずは自分のチームが勝ち、地元が盛り上がるという好例を作ろうという思いからか、佐々木勇気八段(29)に続く2人目として第3局から登場すると関西Aの実力者たちを次々に撃破。3連勝し、第6局に勝てばチーム勝利も決まるというところまで迫っていた。

 第6局で対戦したのは第3局で1度戦っている稲葉陽八段(35)。タイトル挑戦歴もあり、同じフィッシャールールで行われるABEMAトーナメントでは優勝1回、準優勝1回という経験の持ち主だ。羽生九段の先手番で始まった一局は相掛かりの出だしから角交換も入り、難しい中盤戦に移行。手が広く、解説の村中秀史七段(42)が「お互い神経を使う将棋」と表現すると聞き手を務めていた伊藤沙恵女流四段(30)も「1手もわからないんですが…」と困惑するほどだった。

 すると57手目、羽生九段は相手の形を切り崩すきっかけ作りとなる▲3三歩と、持ち駒の歩を打ち込んだ。落ち着いて対応した稲葉八段に対し、羽生九段はさらに63手目も▲3三歩。そして4手後の67手目も▲3三歩。なおも73手目に4度目の▲3三歩と、徹底的に打ち込んだ。これを見ていた関西Aの佐藤康光九段(54)が「何回打ったんだろうな」とこぼすと、村山七段も解説で「手筋の歩でもこれだけ打ち続けるのはなかなかないと思います」と指摘した。

 ここが勝負の分かれ目と踏んだのか、4度も打った歩が功を奏し、徐々に稲葉陣にほころびが見え始めると、華麗な捌きでペースを奪取。一気に流れが傾いた。最終盤こそ稲葉八段が猛烈に追い上げて形勢逆転かと思われるところまでいったものの、羽生九段はなんとか逃げ切って勝利。羽生九段の勝利にかける執念が、いろいろなところに散りばめられた一局となった。

◆ABEMA地域対抗戦 inspired by 羽生善治 全国を8ブロックに分けた「地域チーム」によって競う団体戦。試合には監督とチームから選ばれた出場登録棋士の4人の計5人が参加可能。試合は5本先取の九番勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールール。試合は1試合以上出場する「先発棋士」と、チームが3敗してから途中交代できる「控え棋士」に分かれ、勝った棋士は次局にも出場する。先発棋士は1人目から順に3人目まで出場し、また1人目に戻る。途中交代し試合を離れた棋士の再出場は不可。大会は2つの予選リーグに4チームずつ分かれ、変則トーナメントで2勝すると本戦進出。ベスト4となる本戦は通常のトーナメント戦。
(ABEMA/将棋チャンネルより)

【映像】自らの4連勝を喜ぶ羽生善治九段
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【映像】解説者が驚くほど繰り返された▲3三歩
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