鈴木おさむ引退前最後の地上波連ドラ『離婚しない男―サレ夫と悪嫁(およめ)の騙し愛―』(テレビ朝日系土曜夜11:30)第2話で、不倫妻・篠田麻里子の夫いびりが激化。令和では久しく忘れられていた昭和昼ドラ的嫌がらせを炸裂させる。
妻の不貞現場を目撃した大手新聞社の社会部エース記者・岡谷渉(伊藤淳史)が、愛娘の親権を得るために父親の親権獲得率わずか1割の壁に挑むサレ夫逆襲ブラックコメディ。漫画家・大竹玲二による人気コミック「離婚しない男」をベースに、今年3月限りで放送作家業と文筆業から引退する鈴木が、最後の地上波ドラマとして放送コードギリギリの攻めた表現とテンションで唯一無二の不倫劇を描く。
第1話では綾香(篠田)お手製の、ビーガンもビックリ極太キュウリ丸ごと一本ホットドックを与えられた渉。第2話では綾香が握った海苔すら巻かれていないまん丸おにぎりが登場する。見た目こそ質素ではあるが、嫌がらせ感はない。だが齧ってみて驚いた。食材の具の代わりに入っていたのは綾香の結婚指輪だった。治療したばかりの前歯が取れてしまった渉を横目に綾香は「最近緩くなって外れやすいから、握っているときに外れちゃったのかな?」ととぼけた顔で言い、受け取った指輪をはめることなく箱にしまう。
また綾香は在宅ワーク中の渉に洗濯を頼むのだが、万能そうな洗濯機があるのにも関わらず「全部手洗いでよろしくね。洗濯板買ってあるから」と言い放ちニンマリ。娘の親権が欲しい渉は良き夫でいる必要があるためにその命令に従うしかない。しかし綾香が用意したのは、逆に今買うの難しくないか!?とツッコミたくなるくらい古風なタライと木製の洗濯板だった。昭和の昼ドラで描かれていそうな姑の嫁いびりを令和に蘇らせて、不倫妻の夫に対するいびりに変えて転写するというセンス。細部にまでいきわたる鈴木おさむイズムに震える。