「勇者があんまり良い人ではないというのも珍しい」岡本信彦と久野美咲が語るアニメ『最強タンクの迷宮攻略』の魅力とは？

　2024年1月よりTVアニメ『最強タンクの迷宮攻略～体力9999のレアスキル持ちタンク、勇者パーティーを追放される～』（原作・木嶋隆太・如月命）が放送中だ。タンクとは、MMORPGゲームなどで敵の攻撃や注意を引きつけてパーティーを組む味方の盾となる役職のこと。

【動画】最強タンクの迷宮攻略

　『最強タンク』の主人公・ルードも、勇者パーティーの盾役として妹であるマニシアの病気を治すために迷宮攻略に挑んでいたが、勇者の横暴によってパーティーを追放されてしまう。使えないスキルを持っているという追放理由だったが、マニシアの待つ故郷の街へ帰る道中、ルードは助けた少女・ルナによってタンクとして実は強力なスキルを持っていたことが判明する――という導入から、ルードと仲間たちの冒険譚が描かれている。

　物語が進む中でルード率いるパーティーと対峙する強敵として登場するのが、声優・岡本信彦（おかもとのぶひこ）演じるマリウスと久野美咲（くのみさき）演じるアモンだ。ともに迷宮の守護者としてルードたちと戦っていくことになるが、岡本と久野にインタビューを行い、原作の第一印象や感想、自分が使ってみたい能力について伺った。

――タンクが主人公というところがまずポイントとなる本作ですが、原作を初めて読まれた時の印象はいかがでしたか？

岡本：ルードが追放されてしまうという可哀想な目にあってから、どう這い上がっていくのかというお話なのですが、自己犠牲の精神と言いますか彼の持ち前の優しい性格がタンクという誰かを守る特性とリンクしている感じがしました。女の子たちにもルードはモテるのですが、モテるだけの要素があるなと（笑）。

　そういった意味でも主人公に魅力がある良い作品だと思っています。あと、僕にとって勇者という存在は子どもの頃から憧れていためちゃくちゃかっこいい存在だったのですが、『最強タンク』の勇者はあんまり良い人ではないというのも珍しいですよね。

――たしかに一般的な勇者のイメージとは真逆ですよね。

岡本：主人公を追放する側として、けっこうクズな描かれ方をしていて。

――普通は勇者が主人公で英雄的なポジションですよね（笑）。

岡本：そうなんですよね。魔王目線の作品でも（勇者は）強くて信念を持った良いやつというイメージですが、最初のうちはどこにも良さがないような印象でした。

――久野さんは本作の第一印象はいかがでしたか？

久野：読む前はタンクという言葉の意味がわからなくて……。

岡本：ああ、戦車のことなのかなって？

久野：そうなんです。読んでいくうちにこういう意味だったんだというのが分かっていって。

――MMOPRGなどをプレイしていないと身近ではないかもしれませんね。アタッカーやヒーラーのように直感的ではないので。

久野：アタッカーやヒーラーは聞いたことあります！

岡本：たしかに言われてみればタンクってわかりづらいかもしれませんね。

――作中でも現実でもタンクに陽が当たりづらいと言いますか。以前に（ルード役の）笠間さんのインタビューでもまわりにタンクをやりたがる人がなかなかいなかったから、やりがいを感じてタンクとしてMMOPRGをプレイしているとおっしゃっていました。

岡本：僕は魔法使いを選ぶことが多いのですが、身代わりになってくれるタンクがいないとすぐにやられてしまう存在なので（タンクがいないと）ゲームにならないですね。

久野：タンクって大事なんですね。

岡本：どのゲームでも必要な存在だと思います。

――タンクの役割はバトルシーンを読まれて理解されたと思うのですが、それ以外の描写で印象的だったことはありますか？

久野：岡本さんもおっしゃっていたように、ルードの性格がとても素敵で応援したくなる主人公と言いますか。等身大で一生懸命頑張っている姿に、感情移入してどんどん親近感がわきました。あと、ギャグシーンが多い印象もあるのですが、バトルシーンなどのシリアスなシーンとのバランスも良くて、テンポ感もあって一気に読んでしまいましたね。

――ちなみに、ルードをはじめ本作の登場人物はスキルや魔法を駆使して戦いますが、お二人がもし自由に能力を獲得できるとしたらどんなスキルがほしいですか？

岡本：僕はもともとアニメが好きで、好きな能力は？　と聞かれたら風属性の能力って答えています。幼少期は風使いになりたい！　と思って台風の日に外に出ていたくらいなので、アモンの風魔法を使ってみたいですね。

久野：私もアモンの能力を実生活でも……。

岡本：えっ、どういうこと!?　風を使ったMV撮影とか？

久野：あの……風が強い日や台風の日って、歩きづらくなっちゃう時があって。踏ん張って立っているだけで精一杯ということもあるのですが、お仕事があると移動しなきゃいけないじゃないですか。そういうときにアモンの能力が使えたら、自分の周りの風をシールド代わりにして。

岡本：はいはい！　なるほど！

――風を凌ぐために風を使うんですね。

久野：自分が風を起こすことによって、周りの風を気にせず歩けるようになるのではないかなと(笑)。

岡本：空を飛んでいくとかではなくて、風の力で守って歩いていくというところに、人の良さが出ている気がしますね。