漫画家・倉田真由美さん(52)の夫で、映画プロデューサーの叶井俊太郎さん(56)が17日、すい臓がんのため亡くなったことがわかった。56歳だった。
叶井:いつ終わってもOK、明日死んでもOK。だから全然後悔もない。
ABEMAエンタメは2023年10月、叶井さんの著書『エンドロール!末期がんになった叶井俊太郎と、文化人15人の“余命半年”論』の発売に合わせ、インタビュー取材を行っていた。そこで叶井さんが語っていたのが「死との向き合い方」、そして「家族への思い」だった。
叶井さんは、2001年に買い付けたフランス映画『アメリ』が国内で大ヒットするなど、数々の映画作品を企画・プロデュースしてきた。
私生活では、2009年9月、「くらたま」こと漫画家の倉田真由美さんと結婚。20代の長男と中学生の長女がいる。
そんな叶井さんにすい臓がんが見つかったのが2022年6月。抗がん剤治療をしなければ、“余命半年”と診断されたものの治療をしない選択をした。
叶井:すい臓がんで本当に抗がん剤やって、がんが小さくなって切り取るっていう話だったけど、成功率が10%〜20%と言われたから、そのパーセンテージにかけるんだったらやめて、10%かけちゃうと4カ月とか半年入院になっちゃうんですよ。その間やっぱり仕事できないじゃないですか。もう治らないんだったら、そんな10%は賭けられないからやめて、その分ちょっと仕事優先でやろうかなという話を医者にも、くらたまにもして、そうした方がいいねって話になって、今に至るんですよ。
ところが、宣告を受けた半年を過ぎても死は訪れなかった。
叶井:本当は半年で死ぬ予定だったんですよ。だけど生きている。それがちょっと納得いかないです。転移ボンボンしろって言うんだよ、俺としてはね。もう転移したいんですよ。今がんで闘病中の人には申し訳ないんですけど、僕はもう全身転移してほしいんですよ。
―― 妻・倉田さんの反応は?
叶井:喜んでいるのかどうかわかんないけど、「半年が過ぎたね」ぐらいの感じだと思うけど、実際話してないかわかんないけどね。俺としてはちょっと拍子抜けだよね。
亡くならないことに怒りをあらわにしたのは、叶井さんが余命に合わせ、自らの生前整理を終えていたからだった。
叶井:仕事を全部先にこなそうと思って全部前倒しした。翌年の仕事もある。そういうのを全部前倒しして逆に忙しくなった。末期がんというのは、みんな知っている。僕の仕事をしている仲間は末期がんだから優先してくれる。そこは仕事が早く進むから末期がんになってよかった。だから全然後悔もないし、やり残したことも全くない。全てやり切った。
そして余命宣告から約1年8カ月後の2月17日、息を引き取ったことがわかった。
叶井:(妻に)もう死んだら葬式やるかどうするかという話は「任せた」としか言えないよね。会社で死ぬと迷惑がかかっちゃうから。そこは避けたいけど。外もやだ。家がいいかな。
生前、叶井さんは、妻、そして中学生の娘への思いを語っていた。
――家族と過ごしたいとかどこか行きたいところは?
叶井:行かない。だってみんな忙しいもん。くらたま(倉田真由美)は仕事忙しいし、娘は部活、彼氏、友達で忙しいからそれを全部調整してまでどっか行くとかね。こっちも行きたくない。
―― 娘さんは叶井さんの病気については?
叶井:理解しているのかどうか分かんないけど、重病だってことは分かっていると思う。今、中2だし。心配していないから。さっぱりしていて良かったと思います。こっちも大丈夫みたいな。死なないでみたいな、泣いたりするとこっちも困っちゃう。そんな感じになってないから良かった。逆に部活と友達と彼氏で忙しいみたいなんで、活発な子に育ってよかったなと思います。
――家族に残したい言葉は?
叶井:(娘には)特に何も残さないから「好きなように生きろ」としか言えない。(遺言は)特にないです。そんな言葉にとらわれたくないじゃないですか。そういうお父さんがいたなと。それでいいです。
(『ABEMA NEWS』より)
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