【写真・画像】冤罪事件のなかにも信念を持った捜査員はいたのか 届いた告発文書に書かれた「無罪」の言葉【大川原化工機冤罪事件】 1枚目
【映像】弁護士から被疑者へ「黙秘してください」のワケ
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 不正輸出をめぐる大川原化工機事件(おおかわらかこうき)における、警視庁公安部によるずさんな捜査が問題になっている。
 
【映像】弁護士から被疑者へ「黙秘してください」のワケ
 
 大川原化工機事件とは、主力製品であるスプレードライヤ(噴霧乾燥機)が公安部から「生物兵器が製造可能な機械」と指摘され、不正に輸出したとして、外為法違反の嫌疑をかけられ、社長、取締役など合わせて3人が無実の罪で逮捕、起訴。11か月にわたって不当に長期拘束され、のちに冤罪が明るみに出た事件だ。この事件では、黙秘や否認供述している被疑者を長期拘束することで自白などを強要する“人質司法”の問題が浮き彫りとなった。
 
 国家賠償請求訴訟の原告代理人を務めた高田剛弁護士は、この事件について「当初は警察がミスをしたんだろうというふうに考えていましたが、実は警察はミスじゃなくて悪意を持って事件を作り上げたんじゃないか」「当初我々が考えていたよりも、ずっとずっとこの事件は闇が深い」と指摘した。
 
 なぜこのスプレードライヤが生物兵器を作れる機械として外為法違反とされたのか。外為法が輸出を規制する生物兵器製造の機械は、定置した状態で内部の滅菌または殺菌できるもの。つまり生物兵器を作るときに機械内部に残る有害な菌を完全に死滅させる機能が備わっているもの。菌が残っていると作業員が危険だからだ。

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 公安部の言い分は「このスプレードライヤには機械内部に残る有害な菌を完全に死滅させる機能が備わっている」というもので、会社はそれを知っておきながら無許可で中国・韓国に輸出した、という“筋書き”だった。以降公安部はみずから書いたストーリーに沿うような取り調べや実験結果を出し続けることになる。
 
 のちに明らかになったところによると、会社側は社長の逮捕前から「殺菌に必要な温度に達しない箇所がある」と詳しく説明。しかし公安部はそれを確認しないまま逮捕に踏み切った。さらに警視庁公安部は元役員に「殺菌の解釈をあえて誤解させ供述調書に署名捺印させる」など、取り調べの違法性も認定された。ほかにも「不都合な実験データを隠蔽」「粉状でやるべき実験をやっていない」「容疑を裏付ける専門家の意見を都合のいいように改ざん」など、証拠がねつ造されていた。
 
 元裁判官の木谷明弁護士は「公安が最近あまり事件がなくて、もうこのままじゃ人員縮小になっちゃうと。それであまり偉くなりそうもないと。ここらでひとつ手柄を立てなきゃというような気持ちがあったことは間違いないんじゃないか」「上層部の出世欲。それに対して抵抗するということは組織の中にいる人間としてはなかなか難しい」と公安部の内情を推察した。
 
 この事件を担当した捜査員は警察庁長官賞、警視総監賞をもらい昇級。賞は冤罪がわかり返上したが昇級はそのままだという。
 
 木谷弁護士は「検事はね、自分の方の証拠に自身がないときに限って、そういう強い態度に出る。自分のほうでもう強力な証拠を握っていれば少々のことをやられても大丈夫だから」と、自信がないからこそ強硬策に出たのではないかと分析した。
 
(『ABEMA的ニュースショー』より)

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