「あの囲い、どうなってんの?」新たな囲いの誕生か「エルモ穴熊」の強度はいかに 解説棋士「流行るかわかりません」/将棋・ABEMA地域対抗戦
【映像】新たな囲い?実戦で生まれた「エルモ穴熊」

 新たな囲いの誕生か!?日本全国を8つのブロックに分けた団体戦で行われる「ABEMA地域対抗戦 inspired by 羽生善治」予選Bリーグ2位決定1回戦、関東B 対 関西Bが2月24日に放送された。第7局では関東B・増田康宏七段(26)と関西B・古森悠太五段(28)が対戦。古森五段の先手で始まった対局は振り飛車対居飛車の対抗形になったが、増田七段が珍しい玉の囲い方をしたことで、解説棋士から「あの囲い、どうなってんの?」と戸惑いの声が飛んだ。

【映像】新たな囲い?実戦で生まれた「エルモ穴熊」

 増田七段といえば、将棋ソフト(AI)を積極的に活用し、現在主流になっている戦法についての厳しい評価、さらには過去に使われていた戦法を再評価して使い出すなど、若手らしい発想と発言で知られる棋士。今期の順位戦B級1組では、暫定2位につけており、最終戦に勝利すれば初のA級入りを果たすという実力者だ。

 増田七段は第1局で敗れた古森五段と第7局で対戦。先手の古森五段が三間飛車に美濃囲いという同じ形を採用した一方、増田七段は居飛車ながら守りはエルモ囲いを用いて、急戦調の将棋へと進んでいった。ところが序盤を終えたところで、増田七段は1一の地点にいた香車をスッと1つ進めて穴熊に転換したことで周囲はびっくり。解説を担当していた藤森哲也五段(36)も「あの囲いはどうなってんの?エルモ穴熊?今新しい囲いが完成しましたね」と伝え、「今後流行るかわかりません」とも加えた。

 エルモ囲いは対抗形で居飛車側が用いる急戦の囲いの一つだが、ここからじっくり守りを固める穴熊とのミックスは、なんとも珍しいもの。その後も聞き手の和田あき女流二段(26)が「エルモ穴熊の堅さが未知数ですね」とこぼすと、藤森五段も「堅いのか。横からは強いですね」と答えていた。

 対局は古森五段が「エルモ穴熊」の隙を突く形で勝利したが、研究ではなく咄嗟の判断で生まれたと思われるもの。研究が進めば新たな囲いとして定着するか。今後の増田七段の対局に楽しみが1つ増えた。

◆ABEMA地域対抗戦 inspired by 羽生善治 全国を8ブロックに分けた「地域チーム」によって競う団体戦。試合には監督とチームから選ばれた出場登録棋士の4人の計5人が参加可能。試合は5本先取の九番勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールール。試合は1試合以上出場する「先発棋士」と、チームが3敗してから途中交代できる「控え棋士」に分かれ、勝った棋士は次局にも出場する。先発棋士は1人目から順に3人目まで出場し、また1人目に戻る。途中交代し試合を離れた棋士の再出場は不可。大会は2つの予選リーグに4チームずつ分かれ、変則トーナメントで2勝すると本戦進出。ベスト4となる本戦は通常のトーナメント戦。
(ABEMA/将棋チャンネルより)

【映像】激戦を振り返る両チーム
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【映像】新たな囲い?実戦で生まれた「エルモ穴熊」
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【映像】古森五段の玉が“引っ越し”の様子
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